浜松 卸本町 ペルー料理店「ロボデマル」

所用のため、浜松市の卸本町へ行ってきた。
ここはなかなか興味深い町。一言でいうなら問屋街なのだが、その景観が独特なのだ。
少なくとも静岡県では他で見たことがない。

古くて低層のビルは商店街のように道路沿いに連なっている。
建物は高くて3階建てだが、横に長い。そして道は広い。

ぱっと見た限り、服や服飾雑貨の問屋が多いようだ。
空きテナントを利用して新しい店もできている。デザイン事務所やカフェ、自転車屋、イベントスペースなどがあるが、平日ということでぱっとしない。元は問屋街だったけれど今は再開発も進んで新しい町として賑わう…みたいな浮かれた感じはなくて、今も9割は現役稼働中の卸問屋の町なのだ。

建物は実に昭和っぽい。
タイルやブロックガラスで装飾されている。コンクリートでの細工も多い。こういう凝り方は、今のビルには望めない。東京や大阪のレトロビルほど古くはないし豪華でもないが、すでに”産業遺産”じみた雰囲気の建物もある。

 

特に町の中央にある協同組合のビル「アルラ」と、隣接するビジネスホテルはすごい。
「アルラ」は、打ちっぱなしのコンクリートで外装を覆ったビルだが、必要以上に段差や通路が多いあたり、自分が子供の頃の"ナウい感じ"がすごいのだ。
今は完全に古びていて、最盛期に目指したモダンな雰囲気とは違う良さがある。
天井は低いし、あちこち錆びて壊れているのだが、きちんとコストをかけて作られた時代の建物といった感じがして好きだ。

用事を済ませたあとに散策したのだが、本当に静岡県らしくない風景だった。
大阪や名古屋になら、ありそう。もう少し狭苦しければ沖縄っぽいかもしれない。
自分は香川県の「坂出人工土地」を思い出した。

町は全体的に静かだ。
事務所と在庫置き場を兼ねた問屋街というスタイルが廃れてしまったのだろう。今は流通センターや外注の倉庫が主流だ。
でもゴーストタウンというわけではなく、道も建物も丁寧に使われているように見えた。
アウトレット的な小売をしている店もあるし、上に書いたように若い人達の新しい店もあるけれど、現役の「プロの町」だから、散策も探検も節度は必要。今日は、大きなカメラを抱えたサブカル風味のおっさんが、勝手に建物に入って怒られていた。当然だと思う。

 

 

そんな卸本町を散策していて見つけたのがペルー料理店。
店名の「ロボデマル」は、かつて南米旅行中に何度も見かけた名前。スペイン語で「海の狼」、要はアシカ・アザラシ類のことを指す*1。レストランの名前としてポピュラーなのだろうか。ちなみにガラパゴス諸島で泊まったホテルが「ホテル ロボ デ マール」だった。

 

 

初めて入る店だが、店員さんはとても親切で、メニューもわかりやすかった。
おすすめされた「ロモ・サルタード」のランチセットを注文した。

炒ったトウモロコシ、チチャモラーダ(紫トウモロコシのジュース)、サラダ、ごはん、そしてロモ・サルタード、最後に焼きプリン。

チチャモラーダは好物。南米系のお店にあれば第一選択の飲み物だ。

ロモ・サルタードは、紫タマネギ、牛の赤身肉、じゃがいも、トマトなどを炒め合わせたもの。味付けは醤油やオイスターソースを感じる。ペルー料理といえばこれが定番で、確かにおいしい。

ご飯*2と合わせて食べるせいか、すきやき味っぽく感じる。何かのスパイスとトマトの酸味が異国料理だと伝えてくるが、とても馴染みのある味だ。
そういえば漫画「孤独のグルメ」の2巻でも、この料理が「馴染みのある味」と紹介されていた。

デザートのプリンは、しっかりと甘い。食後だから控えめ…みたいな日本式の遠慮が無いのが嬉しい。コーヒーを飲みたくなってしまったが、手元には水とチチャモラーダしかないのが残念。

このペルー料理は完全に想定外だった。
かばんには、昼食に食べるつもりの「ブランサンド」と野菜ジュースが入っていた。紅茶も魔法瓶に入れてきた。そういうものを取りやめにして衝動的に入ったお店がおいしかったのだから、今日はそれだけで幸せである。

また近いうちに、この卸本町には再訪することになる。
いつも近くを通って気になっていたのだが、車を停めて歩いてみたら面白かった。
近くには砂丘や公園もあるから、余裕があったらサイクリングもしてみたい。

 

お題「わたしの癒やし」

*1:エクアドル本土やガラパゴス諸島では、アシカの絵のこともあればアザラシのこともあり一定しなかった。英語でSea Wolfといえば、オオカミウオを指すようだ。

*2:少なめにしてもらった。

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