静岡市清水区のフェルケール美術館に行ってみた。
お目当ては企画展の「文字とデザイン」。常設展示も、ずいぶん昔に見ただけだから、この機会に楽しむつもり。
ここは清水区発祥の会社「鈴与」の美術館*1。
企業が文化活動にお金をかけていた最後の時代、平成の初期に作られた建物は、重厚でモダン。通路や階段がいちいち凝っていて素敵ではあるけれど、特別展示室そのものは狭め。
唐突にジュエリーデザイナーの小さなコレクションが展示されているのも、いかにも地元企業の施設っぽい*2。
ちなみにフェルケールとはドイツ語で「交通」とか、そんな感じの意味だったはず。
鈴与株式会社は、清水港の海運がスタートの会社。だから美術館と名乗っているが、常設展示は「清水港の歴史と発展、日本の海運業」といった感じ。併設して「日本の缶詰博物館」もある。つまり、美術館というより博物館の趣が強い。というか、僕は今日まで、博物館のつもりで見ていた。
企画展の「文字とデザイン」は、ちょうど自分に興味がある分野だったから、見て良かった。ただし、タイポグラフィに仕事や趣味で関わっていない人にとっては、「ふーん」で終わってしまいそう。
タイポグラフィの協会が毎年開いているコンクールと、毎年発行している年鑑を、そのままパネル展示しているような感じ。大きな美術館で開催されるような親切なものを想像すると、がっかりするだろう。
とはいえ入館料は格安で、客も少なく、とても居心地の良い美術館。
休日の午後を過ごすには最高の場所。傘がいらないくらいの雨だったが、それほど寒くもなくて、居心地良く過ごせた。
常設展示、特に海運や缶詰に関するところは現物と模型がたっぷりで、大人も子供も楽しめそう。タイポグラフィ目当ての人ならば、缶詰ラベルも楽しめるはず。
ちなみにお昼ごはんは静岡市葵区の九州風ラーメン屋さんで食べた。
極めて凡庸な豚骨ラーメン。しかし奇をてらわない、ごく普通のとんこつラーメンを食べたかったので、これで嬉しい。
お隣の乙女が豚足とハイボールだけを注文していて、なんか格好良いなあと感心していたのだが、よく見たらブランドトートバッグから焼酎を注ぎ足していたアル中の人だった。静岡では見かけたことがないタイプの治安の悪さ。びっくりした。