美術館と喫茶店に行った。
美術館の特別展については、特に書かない。
香川市美術館の「絵本原画展 ニャー」。
つまらなくはなかったし、好きな作家の原画も見ることができた。でもまあ、雑誌で「猫の絵本特集」やムックで十分な感じがして、最後まで冷静なままだった。各地を巡回する展覧会ではよくあること。むしろ入場せずに図録だけ欲しかったくらいだ。
美術館の隣にある古い喫茶店「城の眼」、ここはずっと前から行きたかった店。
かつては文化人、アーティストが集った有名店。
確かに外装も内装も、とても凝っている。
椅子もテーブルもしっかりした素敵なデザイン。奥側の壁は石でできている。
高さ2mはある巨大な岩にスピーカーが埋め込まれていて、鳴ればとても良い音が出そう。古びた店ではあるけれど、昭和の豊かさを存分に味わえる店だった。
ただし、今となっては、商店街にある古い喫茶店である。
親切だがいささかマイペースなお婆さん2人が切り盛りしている。
ケーキを注文したのだが、しばらく待たされたあとに「無い」と言われた。そして「トーストにジャムを塗って、ケーキの代用としたらどうか?」と提案された。素敵な予感もするが、たぶんそれは裏切られる(普通のジャム付きトーストだから)。だから断り、「クリームコーヒー」を注文する。
アイスコーヒーに、アイスクリームが乗ったものが、クリームコーヒー。
まあ普通の味である。
でも店の雰囲気は最高だし、お店のお二人も気持ちよく働いていたので、とても居心地が良かった。
それこそ5年前に、観光客としてこの街を訪れてから行きたかった店だったので、感慨もひとしお。香川県高松市という、石とコンクリートのモダン建築の街らしい素晴らしい店だった。
高松市のアーケード街には、古い喫茶店がまだまだ残っている。
わりと繁盛している店が多いのは、昼も夜もお年寄りが街に出ているからだと思う。
席につくと「灰皿は使いますか?」と問われるのにも、もう慣れた。京都や奈良のそれとは違い、どちらかといえば大阪のビジネス街や名古屋風の喫茶店。
ただおいしいコーヒーを飲むだけならば選ばない店ばかり、でもつい行ってしまう。「街だなあ」としみじみ思う。
今週のお題「遠くへ行きたい」