はんぶん仕事で他県に行く

フリーランスのIT屋をしている友人から、仕事の手伝いを頼まれた。

https://www.instagram.com/p/CBdPe5JJc44/

他県のいくつかの場所で機器を設置し、設定し、3時間ほど動作確認して完了、というお仕事。3時間ただ待つわけにもいかないから、次の場所に移動しつつ、問題があったら戻る、という手順となる。

 

ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)
 

 


まず車が必要。訪問先は、どこも僻地なのだ。
友人だけならバイクがあるけれど、荷物が多いから何日もかかってしまう。
そして配線や設定は1人で出来るとはいえ、手が4本あると便利な状況が多い。ちょっと離れた場所にケーブルを這わせる、といった時にも2人は便利。さらに、ちょっとした力仕事もある。

僕はこの仕事は「指示があれば1人でなんとかできる」レベル。
友人は前々職における"先生”でもあった。僕の入社とほぼ入れ違いで独立して、それから何かと気にかけてくれている。四国生活でお世話になった人を10人挙げろ、といわれたら必ず入るだろう。
基本的にドライな人間関係の職場ではあったが、職場を離れた後でも公私にわたり頻繁に連絡をしている。趣味が合うわけでもないのに珍しいことである。

 

なにしろ僕は暇である。
さらに、最近ずっと「遠くへ行きたい。何かをしたいけれど部屋にいるとぐだぐだしてしまう」とチャットやメッセンジャーツールでぼやいていたので、こうして声をかけてくれたのだ。ずいぶんと若いが、人間ができている。

 

なにより、この案件は、仕事にかこつけた「お別れ遠足」でもあった。
最後に、実際に会って長い話をする機会を見つけてくれたわけだ。
仕事自体は今週でも来週でも良かったのだが、今日が確実に晴れということで決行の運びとなった。

 

 

問題はやはり、防疫について。
我々は自粛期間の前後で顔を合わせることもあったが、今日は不特定多数の出入りする場所に赴くことになる。しかも県境を超える。
こういう時に「不要不急の移動は避けましょう」と言われると困ってしまうのだ。

とはいえ困っていてもウイルスは飛んでくるし、もしかしたら自分が感染源かもしれないし、困っている間は仕事は止まってしまう。
なのでマスクとウエットティッシュ、ハンカチは予備も含めてしっかり用意してきた。飲み物だって持参する。

友人は、もっと徹底していた。
朝に迎えに行ったら、大きな筒型のウエットティッシュを渡された。まずはこれで、僕の手指も、僕の車も拭く。
訪問先ではお茶も雑談も無し、というのは説明済み。どうせ機械室やサーバールームの隅での作業になるし、報告書は明日以降に書くので「お互いのために、どうかおかまいなく」と伝えてあるそうだ。

これは友人の性格というより、フリーランサーとしての自衛策なのだろう。
案件を抱えたまま入院や隔離措置となった場合、「そうか、新型コロナなら仕方がない。次の仕事でよろしくたのむよ」とはなりづらい。ライバルが多い業界なのだ。特に緊急事態に連絡がとれない、駆けつけられない人は、それだけで順位が下がる。
というわけで、トイレ休憩でも何でも、外に出て車に戻るときはしっかりアルコール清拭をする。そして、人のいる場所にはできるだけ近づかない。
個人的には、ここまでやれば十分だろうと考える。
どうせ行き先は、最初から人が少ない場所なのだ。

 

d design travel KAGAWA

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  • 発売日: 2019/10/04
  • メディア: 単行本
 

 

 

今日の訪問先は、愛媛の山間部と、高知の山間部および太平洋岸。そこに点在する訪問先で仕事をして、長い待ち時間に(人の少ない場所で)観光というか、ただ景色を眺めたり、おしゃべりをしたり、あるいは単にドライブをしていた。
名物らしいものも、ほとんど食べていない。

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しいていえば高知では「アイスクリン」を食べた。なるほどこういうものか…と思っただけ。
ミルク感を薄くして、フルーツ香料*1で牛乳くささを消した感じ。よく言えばさっぱりした味である。

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作業の合間に食べた*2「田舎寿司」が良かった。高知の名物は、個人的にこれがいちばん。湯葉や煮た野菜や山菜を具材にしたお寿司で、酢は柑橘類の汁を使っている。友人から分けてもらった青菜の寿司(小松菜を握ったもの)ですら、とてもおいしい。

 

おばあちゃんの台所 元気に暮らす健康レシピ

おばあちゃんの台所 元気に暮らす健康レシピ

  • 発売日: 2013/09/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

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最も人が多かった、といっても視界に誰かが歩いているくらいの場所が「桂浜水族館」。これは明日に書くつもり。

 

桂浜水族館にクジラがいた頃

桂浜水族館にクジラがいた頃

  • 作者:丸林 友文
  • 発売日: 2014/07/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

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最高に快適だったのは「四国カルスト」。これも後日書く。
四国で、ここまで空が開けている場所、高原地帯は、良い意味で予想外だった。気温は20℃〜22℃で、からりとしてとても気持ちが良い。香川からは遠い、もっというと愛媛と高知の県境なのでどの街からも遠い。帰路、松山に寄ろうかと言っていたのに、断念することになってしまった。

 

日本の砿都:石灰石が生んだ産業景観

日本の砿都:石灰石が生んだ産業景観

  • 作者:岡田 昌彰
  • 発売日: 2017/02/28
  • メディア: 単行本
 
CEMENT

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  • 発売日: 2010/12/12
  • メディア: 大型本
 

 

 

 

総移動距離は480km強。
お仕事のほうは、再訪問は無く、全ての作業が1発合格。なによりである。

帰宅はずいぶん遅くなってしまったが、久しぶりに喋ったし、歩いたし、仕事もして、とても疲れた。疲れて楽しかった。
グーグルマップにピンを打っていた「四国で行きたかった場所リスト」の多くも踏破できた。楽しい1日でした。

 

d design travel KOCHI

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  • 発売日: 2019/03/19
  • メディア: 単行本
 
d design travel EHIME

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  • 発売日: 2020/04/03
  • メディア: 単行本
 

 

お題「わたしの癒やし」

お題「気分転換」

*1:バナナっぽい感じ。昔の『フルーツガム』が近い。

*2:訪問先の近所で売っていた。平日の高知郊外、開いている店が少ない…。

なんとかPayの現金化

午後は隣町のケーキカフェ目指しサイクリングをした。
そして、自転車で1時間弱ほど走ったところで財布を忘れたことに気がついた。
ナビにも使うのでスマートフォンは必ず持っている。財布とスマホ、両方を忘れることは無い。かばんを頻繁に変えるので、財布を忘れることは今までにも何度かあった。

https://www.instagram.com/p/CBaZwvqJRcL/

 

軽いサイクリングも兼ねた、気になっていたお店での息抜きのつもりが、単なる無駄足になってしまった。
その店は現金かクレジットカード*1での支払いとなっている。だからスマートフォンだけでは何も買えない。

仕方がないから、スマートフォンが使える別の店に寄ってから、すごすごと帰ってきた。雨は降り出すし、代替の店は残念な雰囲気だったので、なんというか踏んだり蹴ったりである。しかもそれが、自分の忘れ物によるものだから、参ってしまう。

 

 

 

しかしこういう局面は稀にあると思う。
以前、真夜中にコインパーキングの支払いができなくて(1000円札も貨幣も足りなかった)困ったことがあった。海外旅行なら予備の現金を分散収納しておくが、日常でそんな事はできない。
忘れ物、紛失といった状況で、数千円の現金があれば助かることは、人生において数回はある。

こういう時に、コンビニか何処かでPayPay等の少額決済サービスで現金を手に入れられたら便利だと思う。多少の手数料は払ってもいい。

とはいえ、今まで少額の現金を手渡すサービスというのは、銀行の預金引き出し以外では普及していない。次の手段は古物売買い、質屋になってしまう。
たぶんサービス供給側の旨みが無いからだろう。手間ばかりかかり、肝心のサービスを使ってもらえなくなる。基本的にトラブル対応用途であり、たとえチャージしたポイントの現金化に限っても、運用側に良い部分は何もない。むしろ「ポイントチャージ分」と「店側への入金」の時間差が資産運用の種になるので、この種の使いやすさはデメリットでしかないはずだ。

最高額や交換回数を決めておけば、サラ金の代用にはなると思う。未成年には使用不可、といった対策も必要だろう。
でも、そこまでしてATM周りも整備して、喜ぶ顧客は日曜日に財布を忘れるようなうっかりさんである。そもそも現金の振り出しは、たとえ少額でも難しい気がする。

 

 

しかし往復で2時間弱、湿度80%を超える蒸し暑いなかでのサイクリングは、なかなかに疲れた。うっかりマスクを外さず走った時には、その数分だけで頭痛がしてきたくらいだ。飲み物はがぶがぶ飲んでいたし、まだ暑さも耐えられたのだが。
そして今も頭痛は少し残っている。鎮痛剤(『イブ』のジェネリックである『アダム』がお気に入り)を飲んだら、寝るつもり。

 

【指定第2類医薬品】アダムA錠 120錠 ※セルフメディケーション税制対象商品
 
【指定第2類医薬品】イブA錠 60錠 ※セルフメディケーション税制対象商品

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  • 発売日: 2005/06/01
  • メディア: ヘルスケア&ケア用品
 

 

お題「気分転換」

*1:3000円以上。そんな条件付けて良いのだろうか。たぶんクレジットカード会社に知られたら怒られるだろう。

緑豆ココナッツ豆乳汁粉と、口内炎の原因(推定)

何をやっても中途半端な日だった。
湿度は高いし、靴ずれはできるし、外は雨なのに花粉症みたいなくしゃみも出る。

こういう時は気分転換が必要。
家事と工作でお昼ごはんを食べられなかったこともあり、おやつはしっかりしたものを作ることにした。

といっても、先日茹でておいた緑豆を使った手抜きスイーツである。
緑豆は実家に持ち帰っても使いみちが無い乾物なので、今は積極的に食べている。
また、長く放置したせいか、甘みが薄かったサツマイモの有効活用策でもある。

しかしココナッツミルクの買い置きが無い。
わざわざ雨の中、買いに行くのも面倒だ。
幸いなことにココナッツオイルならばある。そして豆乳も冷蔵庫にあった。

ココナッツオイルと豆乳と砂糖を混ぜながら軽く温め、さらに緑豆も入れて40℃くらいまで加熱して、最後にサツマイモを入れる。
あまり甘くしない。そして熱くもしない。全体に淡くのんびりとした雰囲気にするのが、暑い地域のお汁粉だと思うのだ。

https://www.instagram.com/p/CBXca7Jpfyc/

 

人生で1回くらいは、どんぶり一杯の台湾-東南アジア系お汁粉を食べてみたかった。
だからこの、どこかで見たような、しかしどの国にも無いかもしれない豆の汁粉は、たとえ手抜きであろうと大満足。世の中には、もっとおいしいものもあるが、今日の午後はこれが最適だったと自己評価している。

少し澱粉を混ぜるなりして、とろみを付け、ココナツオイルの分離を防いだら、お店で出せるレベルになったかもしれない。
まだ茹でおきの緑豆も、他の材料もたっぷりある。明日以降に試そうと思う。

 

 

 

ところで、先日まで苦しんでいた酷い口内炎、もしかしたら原因は山椒の佃煮かもしれない。
青山椒を買って佃煮にした時に、一部だけは茹で時間と茹でこぼしを控えめにして、味付けも淡くしたのだった。かなり口の中がしびれる。薄味だから、一食でたくさん食べることができる。味はとても良い。しょっぱくて甘くした「ちりめん山椒」より気に入っている。
ただしこの山椒の(スーパードライな)佃煮の刺激が強すぎるようなのだ。口内粘膜と舌の、特に痛み・辛みを感じた部位が、食後も、歯磨きをした後も感覚が残っている。舌先に関しては、赤みを帯びた炎症状態となっている。もう口内炎の前駆症状といった雰囲気がある。

論理的とはいえないが、避けるに越したことはない。捨てるのはもったいないが、しかし健康第一である。
しかし本当に刺激的だ。虫除けになりそうな佃煮である。

 

山椒魚戦争 (岩波文庫)

山椒魚戦争 (岩波文庫)

 

お題「気分転換」

 

お題「大好きなおやつ」

お題「こだわりレシピ」

長崎の鼻

 

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雨上がり、午後には地面も半ば乾いた。

高松市屋島*1の突端にある「長崎ノ鼻」に行ってみた。

 

アイスの旅

アイスの旅

  • 作者:甲斐 みのり
  • 発売日: 2019/06/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 


自転車でも行けないことはないのだが、昨年に行った時に倒木で通行止めになっていたのだ。最後の1km弱が未舗装路かつ斜面だから、引き返すのは辛い。だから今日は車で行くことにした。

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柵も何もない、ただの寂しい岬だった。
誰もいないから、落ちたらおしまい。崖から海面を覗き込むと、ちょっと怖い。

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トンビが頭上を飛び、山のほうではウグイスがさえずっている。足元にはフナムシが当たり前に歩いている*2

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岬の先まで行くと、全周のうち300°くらいは瀬戸内海が占めることになる。
男木島や女木島は集落まで見通せる。大島、豊島、そして小豆島も見える。

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そして何より、高松の中心街と港が一望できる。
この方角から見ることは珍しい。
数年住んだ今では、港もポートタワーも県庁ビルも、それから工場や商業施設も見分けることができる。

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夕刻前のフェリーが多い時間帯ということもあり、船はひっきりなしに目の前を通過していく。

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なにしろ誰も来ない場所。今月後半に引っ越しを控えた身としては、落ち着くようなざわつくような、なんともいえない気分になってしまった。簡単に言えば「感傷」なのだが、上手く説明できない。胸がいっぱいになる、というのか。


瀬戸内国際芸術祭2016で初めて瀬戸内海の島に泊まったときに、静か過ぎる港の海面を見て目を離せなくなった。色々あって、いま四国に住んでいて、その暮らしももうすぐ終わる。今日この風景は、あの時の静かな海とはまるで違うけれど、やっぱり瀬戸内海らしく、島と船と明るい岩で出来ている。そしてやはり、目が離せない。

 

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この土地に、人生で二度と住むことはない、と思う。
ふと「なんで今、こんなところにいるんだろう」と考えてしまってから、その問いが頭の中でぐるぐるとまわる。
強い熱意があって住んでいるわけでもない。大きな事件があったわけでもない。大成功で意気揚々と引っ越すわけでもないが、後悔や不安ばかりでもない。


そもそも今日この「長崎ノ鼻」に来たのも、大した理由は無いのだった。「気軽に行ける、海が見える良い景色の場所」をグーグルマップで探しただけだ。

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特大のため息を3回くらい繰り返してから、車に戻った。
何度か岬を振り返ってしまったのは何故だろう。
綺麗な景色だったことは確かだ。

 

 

遠い太鼓 (講談社文庫)

遠い太鼓 (講談社文庫)

 

 

お題「ささやかな幸せ」

お題「気分転換」

*1:源平合戦ヤシマ作戦屋島景勝地

*2:海面からずいぶん離れているところなのにフナムシがいて、アリや他の昆虫と共存していた。

多肉植物を託し、トコロテンを貰う。

雨は降っているが、外出に差し支えるほどではない。
昼間には雲が切れて青空も見えた。

https://www.instagram.com/p/CBSmFSaJViR/

 

大雨のつもりでいたから、いささか拍子抜けした。
とはいえ、静かな日で何よりである。

午後に、昔の仕事で知り合った人がアパートに来た。
ベランダで育てていた多肉植物を引き取ってくれるという。全てではないが、わりと数があるので助かる。
近所の公園にでも勝手に植えて「野良多肉植物」にするという手もあったが、なんだか字面が良くない。不法投棄でもあるし、公園とはいえ野生化するのは望ましくない。元は直島や豊島の空き地から拾って増やした株だから、生育は容易だろう。

実家に持ち帰るのは、いくつかの小さな鉢だけにするつもりだ。引っ越しの際に、車のシート下に置けるくらいの数。旅先で手に入れたもの、お祝いで貰ったものなど、思い入れのある品だけに限定して持ち帰る。今は剪定や株分けで、できるだけ小さくしているところ。

知り合いに声をかけて数も減らすけれど、なにしろ友人知人が少ない(植物に興味のある人は、さらに少ない)から、まだまだ数がある。

今日は多肉植物と一緒に、いくつかの食器や布小物、本も引き取ってもらった。これも本当に助かる。少しでも荷物を減らせば、引っ越しの荷造りで悩むことも減る。荷造りよりも、同時に進行する片付け・取捨選択が難しいのだ。

植物で少し悩んでいるのが、フウセンカズラの苗。
4月に種を蒔いたものが、いま成長している。もうすぐ蔓も出すだろう。
これは元の職場にでも押し付けるつもり。朝顔のように鉢植えにすれば、オフィスの屋上でも育つだろう。
育苗ポッドに6つだから、車で持ち帰ることもできるのだが。

 

100文字SF (ハヤカワ文庫JA)

100文字SF (ハヤカワ文庫JA)

 

 

 

手土産にトコロテンを貰った。
そういえば、高松市から坂出市に向かう途中にトコロテンが有名な土地があった。スーパーでも地名付きで売られている。

味は普通だよ、と言っていたとおり、普通のトコロテンだった。
黒蜜入りは個人的に新鮮な感覚。酢醤油のほうが馴染みがあるしおいしいとも思うが、これはこれで悪くない、と思う。

 

四国懐菓子88

四国懐菓子88

 

 

お題「断捨離」

お題「捨てられないもの」

日が長くなったね

雨が降りそうだからと外出を躊躇っているうちに、午後になっていた。

天気図でも、衛星画像でも、もちろん天気予報でも、今日の昼間には雨が降ることになっていた。山のほうを見れば真っ黒な雲もある。でもアパートから海にかけては、ところどころで青空さえ見える。

とりあえず(何もしないわけにもいかないので)役所で書類手続きだけを済ませた。
今日は提出だけ。あっという間に終わった。
せっかく中心街に来たのだからと、街を散策しようかと考えてはいたが、まだ人混みは避けたいし、今の暮らしで買うものも無いので迂回する。いつ雨が降ってくるかわからないし。

https://www.instagram.com/p/CBPiVTRp5qs/

 

しかし夜になっても、まだ雨は降らない。
どうしたことか。Macで常駐させている天気予報アプリは、素早く「概況」を更新して、本格的な雨は明日からだと表示している。朝と言っていることが違うじゃん、と思ったけれど、iMacに声をかけても仕方がないので我慢する。

ところで、今とても暇はあるのだが、なんとなく映画を観る気にならない。
Amazonの有料会員だから、無料視聴できる映画も多いのだけれど、今は読書ばかりしている*1

 

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読書もかなり乱読気味。
難しめのノンフィクションや技術書にも挑戦している。
逆に普段は手にしない最近の小説も買っている。久しぶりにライトノベルも読んでみた。

ライトノベルは、半日もかからず読み切ってしまう。
今回は流行の「転生もの」というのか、ゲームみたいなファンタジー世界で生きることになった主人公が活躍するお話を読んでみた。ファンタジーRPGの後半のように、主人公が桁外れに強い。こういう形式は僕が若い頃にも見たな、と懐かしく思う。例えば漫画の「ファイブスター物語」がそうだった。理不尽な実力差(最近はゲーム用語を引用して”チート”と呼ぶらしい)も含めて愉しむタイプの物語だ。スポーツ漫画のような努力や友情とは真逆の、どちらかといえば暗いタイプの愉悦。だから悪いわけじゃなくて、ただ久しぶりに形を変えて見かけたので、懐かしくなってしまったのだ。

半日で読み切ってしまう軽いお話の何がまずいか。
生活をだらりと過ごすのに、これほど楽な娯楽は無い。「ああ、荷造りをしなければ」「縫い途中のレザークラフトがあったなあ」「人生でこれほど暇な時期は、もう無いのだろうから、何か実のあることをしなければ」と思いながらページをめくるのだ。
後で「もう少し何とかならなかったものか」と後悔すること必至である。

まあいいや。そういう日もある。
そういえばずいぶん日が長くなった。曇り空なのに、19時でもずいぶん明るい。
曜日感覚も時間間隔も狂いつつある今日このごろ。明日から本当に雨らしいので、引っ越しの荷造りを含めた整理整頓を進めようと思う。

 

 

 

 

*1:ちなみに映画館は古い作品を上映していたりと、よくわからない上映スケジュールになっている。イオンシネマなのにリバイバル上映をする時代なのだ。

オコゼの棘の痛み

差し迫った用事も仕事も無い火曜日。
いくつか画像作成などの請負仕事はあるけれど、急いで行う理由も無い。
近所で短期のアルバイトでもして引っ越し代の足しにしようかな、と考えてみたものの、今はそういう日雇いイベントのアルバイトが皆無なのだった。
それに、実家に帰れば「新型コロナウイルス感染→ほぼ間違いなく重症化」な状態の家族もいる*1。だから、僕自身の感染リスク回避が、独り暮らしの時よりも切実なものとなっている。不特定多数の人の中に無造作に入っていくわけにはいかない。

しかし部屋にいてもつまらない。読書は捗るが、数時間続けて読んだ本がとてもつまらなかった場合、気持ちがくさくさする。

かといって、大掛かりな片付けや荷造りに手を付ける元気もない。
なにしろ昼間は暑いのだ。じっとしていれば過ごしやすいが、身体を動かすと暑苦しい、そういう時期が続く。

こういう日には「何かタスクを消化しよう」と考えると、安易な流れに身を任せることになる。具体的に書くと、お金を使うタスクばかり進めてしまう。世の中で何が楽かというと、やはり消費である。誰も彼もが、お金を使いやすい仕組みを整えてくれているのだ。

仕方がないので、スーパーマーケットに行き、生鮮食料品を買うことにする。
どうせ生野菜は買うし、スーパーマーケットならば無駄使いも無いだろう。

野菜も肉もヨーグルトも買った。
炊きたてのご飯も準備してあるから、夕食は魚を食べることにした。

四国に住んでいるうちは、四国らしい魚を食べたい。今日はお手頃なオコゼを買ってみた。

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オコゼは背ビレに棘がある。刺さると毒の作用で、ものすごく痛いらしい。1日は車の運転ができなかった、シュノーケリング中に溺れた、なんて話を聞いたことがある。
だからスーパーマーケットに並んでいる時には、もう背ビレは切り取られている。

スーパーマーケットでは、背ビレだけでなく、内蔵もウロコも取り除いた「調理済み」にしてくれる。これなら、帰宅して15分で煮魚を作ることができる。肉より魚のほうが簡単な環境、とても恵まれていると思う。

ところが今日のオコゼは、まだ棘のかけらが残っていたらしい。
まな板で邪魔な頭を落としている時に、左手の指先にちくりと痛みがあった。骨が刺さっても、こういう痛さは無い。なんだろうと料理を続けたが、まだ痛い。
疼痛、というのだろうか。見た目は変わりなくとも、指の先から中頃までが痺れるように痛む。熱を持っている感じもする。

とりあえずよく手を洗い、傷から血を絞り出す。ついでに手持ちの鎮痛剤を飲み、塗り薬(抗ヒスタミン剤)で誤魔化すことにした。

ご飯は炊きたて、他のおかずもできているし、オコゼも綺麗に煮上がった。指よりも、まずは夕食である。オコゼ、今日もおいしい。満足した。

 

村上龍料理小説集 講談社文庫

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  • 作者:村上 龍
  • 発売日: 1998/01/14
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誰かのエッセイで「磯魚を煮た汁で大豆を煮ると最高である」と読んだ。ちょうど煮て冷凍しておいた大豆があったので作ってみた。
感想としては「まあ、普通」である。
大豆を煮ておいしいのは、煮豚だと思う。これは静岡のとんかつ屋さんの人気メニューにあった。豚の角煮の汁で煮豆よりもあっさりと(芯まで味を染み込ませない程度に)煮ると、本当においしいのだ。

 

 

指は、まだ違和感が残る。
傷自体、もう探さなければわからない程度で、こうしてキーボードも打てている。ただミスタイプは多い。
魚は好きだがフィールドに出る程ではない人間として、こうして魚の毒についてマイルドに体験できたことは、かなり幸運だった。不便もなく後遺症も(たぶん)無く、どういう種類の毒なのかぼんやりと理解できた*2
確かにこれが本格的に身体に入ったら、おそろしく痛いだろう。
先ほどから手を握ったり開いたりしながら「なるほどー」と感心しているのだった。

 

山溪ハンディ図鑑 改訂版 日本の海水魚

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そんなわけで今日は、もうおしまい。
明日から雨の様子。それを見込んで、今日はスーパーマーケットへの移動に自転車を使ったのだった。オコゼを載せて四国の地を自転車で走る。たぶん人生で二度と無いだろう。そう考えると、しんみりしてしまう。

 

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お題「ささやかな幸せ」

お題「簡単レシピ」

*1:癌治療の関係で免疫が落ちている、でも入院するほどでもない。というか、病床の数が足りず、優先度が低い体調の人は後回しになる。

*2:アレルギー系の反応が無かった点もありがたい。

見積もりの日

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月末に予定している引っ越しについて、いくつかの会社から見積もりをもらった。
昨夜に「まとめて見積もり」Webサービス的なところで簡単な情報を送ったら、朝から電話やメールが何本も来ることに。

電話だけで見積りを済ませる会社が、最も安い。何度か電話を繰り返し、そのたびに値下げを提案する。
次に安いのは、全国チェーンの大手。ここは下見次第で変わります、という。
高いけれどサービスも手厚そうなのが価格競争では3位。

それ以外は「島しょ部には対応していなくて…*1」という会社や、「費用ではなくて、別のサービスで勝負です」といった運送会社が多い。特に後者は、実家へ引っ越す場合には何の旨みもない。インターネットプロバイダーの通信料金が3ヶ月無料になろうが、中古車の買取査定が良くなろうが、僕には関係ない。

 

営業担当者が部屋に来て、実際に見積もりをする会社は3社。
全てベテランと新人の組み合わせ。
4月と5月の自粛期間の影響で、まだ新入社員がは本当に何もしない・できない、つまりただ横に立っているだけだった。彼らにとっても今月からが本番。

官公庁の異動は来月から、民間企業の転勤は「傾向がばらばらだが、今月後半からになりそう」と言っていた。
そのせいか、以前の引っ越しよりも、値引きやサービスによる「営業合戦」がえげつない事になっていた。ぼんやりとしたスケジュールで期日が曖昧(アパートの引き払い日以外は変更可能)な、ちょっと荷物の多い独身男性の長距離引越しは、彼らにとって良い客なのだろう。特に今の時期は。

つまり「即決なら○○万円」とか「いま相見積もり先へ電話をかけて断ったら、このお値段に勉強させてもらいます」といった話が、対面でも電話でもぽんぽん出てくる。
静岡の人間は「西日本の人は、家電量販店で値切る」と驚くが、そういう「価格交渉文化圏」な感じもする。

結局、価格では2番手で、代わりに梱包などサービスが手厚い会社*2を選んだ。
あまり安い会社だと、予定外の荷物増加(必ずある)だけで出費が増えるようなので。レビューサイトでも、安さで勝負しているところは、トラブルの報告も必ずあった。

こうして、引っ越しの日取りが決定した。
アパートの荷物の大半をトラックに載せるのが、引っ越しの前日。
その晩は、空っぽのアパートで寝袋かエアーベッドで寝る。
翌日、アパートを引き払ったら、実家に帰る。そんな感じ。

こうして予定日が決まると、気分もすっきりする。
それに、家に人が来るということで、午前中にはてきぱきと掃除片付けもできた。
どこまで営業の人達に見せるかわからないから、クローゼットの中もすっきりさせたし、ならばついでにとTシャツも夏に向けて洗い直したり、不用品をまとめたりと、とにかく家事が進んだ。椅子に積んであった冬のシャツも衣装ケースに移すことができた。

何か動き始めた気がする。なんとなくだが、今日から「引っ越し」の秒読みが始まった感じだ。

 

 

君とのDistance

君とのDistance

  • アーティスト:ZARD
  • 発売日: 2005/09/07
  • メディア: CD
 
止まっていた時計が今動き出した

止まっていた時計が今動き出した

  • アーティスト:ZARD
  • 発売日: 2004/01/28
  • メディア: CD
 

 全然関係ないけれど、今日のおやつは「豆かん−寒天」だった。
これも引っ越し準備といえるかもしれない。つまり、買い置きの赤えんどう豆を煮て食べれば、おやつにもなるし、荷物も減る。寒天が無くてもおいしかった。

お題「断捨離」

 

*1:四国の民よ、怒れ!

*2:トラックに隙間があれば、自転車なども無料で積んでくれるという。

四谷シモン人形館 淡翁荘

坂出市にある「四谷シモン人形館 淡翁荘」が再開したので、行ってみた。
四谷シモン氏の人形は「自分の好きな様々なジャンルに食い込んでくるけれど、それ自体は趣味というほど好きではない」のだが、県内で実物が見られるのなら行くしかない。僕の住む高松市からは車であっという間の隣市ではあるが、行こう行こうと先延ばしにしているうちに新型コロナウイルス禍で休業になってしまったのだ。

坂出の街そのものは、何度も行っている。仕事で関わった場所も多いし、古い商店街を散策するのも好きだ。
特に今の時期は、坂出の商店街は

  • アーケード完備で日陰
  • 人が少ない

という2点において、暇潰しの散策に向いている。
気がつくと前にも後ろにも人がいない、でもBGM(10年前のJ-Pop)が流れていて、いくつかのお店は開いている、という白昼夢じみた状況が楽しめる。

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そんな商店街の片隅に、四谷シモン人形館はある。
香川では最も有名な醤油メーカー「鎌田醤油」の本社工場に隣接した、駐車場完備の小さな美術館だ。展示品は四谷シモン氏の人形だけ。

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というか、この鎌田醤油の社長だか会長だかが、彼のファンでコレクターでパトロンであった縁で、「お屋敷=淡翁荘」をまるごと人形館という美術館に仕立て上げたのが、この場所である*1

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だから建物は、おそろしく豪華だ。
いかにも昔のお金持ちの屋敷という感じがする。応接間には暖炉があり、家具も調度も磨き込まれていて、まるでNHKのドラマに出てきそうな雰囲気。

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今はその館のあちこちに、氏の人形が展示されている。

展示方法もユニークだった。
普通にガラスケースに収まっているものも多い。とはいえ、素晴らしいソファやチェアのすぐ横に、あの人形が立っているのである。不思議としか言いようがない風景になっている。

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そして、元が屋敷なので扉も多い。廊下の物入れ、トイレや風呂場や書斎、そして金庫室の扉を開けると、そこにも人形たちがいる。「この先には人形はいません」という札が無い場所は、基本的に展示品がある。

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この「探索」する感じが面白い。
人に近いが人ではないものが、扉の向こう側に佇んでいるのだ。瀬戸内国際芸術祭にありそうな、しかしもっと手のこんだ*2豪華な異界だ。

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最初に書いたように、四谷シモン氏の人形、球体関節人形やドールの世界は、自分の趣味そのものでは無かった。でもこの館は本当に好きだ。何人か「こういうの好きそう」な友人を連れて行きたいし、叶うことなら夜にも入館したい。

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たった500円でこんな異世界を存分に楽しめて良かったのか。
今日は完全に貸し切り状態だった。

 

 

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企業の私設美術館ということで、なかなかアナウンスが足りていないからこそ、そして県外からの来訪者が皆無だからこその「独り占め」だったのだろう。
スタッフの方の親切な説明も、とても良かった。

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まだ他県の人に「じゃんじゃん来てください」とも言えないが、本当におすすめの場所。古い建物好き、例えば京都の大山崎山荘美術館などが好きな人も楽しめると思う。広い建物ではないが、ずいぶん長い時間を楽しんでしまった。

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人形作家 (中公文庫)

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SIMONDOLL―四谷シモン

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四谷シモン 人形日記 (コロナ・ブックス)

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お昼はこの人形館から徒歩数分のところにある「どんや」で食べた。
ちょっと入るのに勇気がいる古い店だが、普通にフレンドリーな「街の食堂」である。
うどん、そば、そして押し寿司といなり寿司*3がメニューにある。小学校の時に

  1. 赤:身体を作る食べ物(蛋白質を多く含む食品)
  2. 緑:身体を整える食べ物(ビタミン・ミネラルを多く含む食品)
  3. 黄:身体を動かす食べ物(エネルギー源となる食品)

のうち、「黄色」のみで構成しているストロングなスタイルの店である。
しかも、押し寿司が大きい。僕が普段使っているお茶碗と縦横がほぼ同じ、ということは「半球<直方体」ということで、明らかに押し寿司だけで一食分である。
なので今回は、うどんがおかず。小麦粉は植物、ネギも生姜もついている。

こんな炭水化物ウィズ炭水化物な食事ではあるが、うどんはつるっとしてコシもあるし、押し寿司のエビや穴子もうれしい。こういう「西の食べ物」も、あと少しでお別れとなると、少しさみしくなる。

 

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夕方には、あの有名な「坂出人口土地」に隣接した喫茶店(サザンクロス)でコーヒーを飲んだ。ドーナツも食べて、満足に満足が重なって大満足である。

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それではおやすみなさい。
明日は引っ越しの見積もりが来る予定。色々あって、いま部屋が壊滅的に散らかっているので、明日の午前中に片付けなければ。今のままだと「ゴミ屋敷の強制片付け」になってしまう。

 

 

分解図鑑 日本の建造物

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お題「ささやかな幸せ」

 

お題「気分転換」

 

*1:いちジャンルのファンとしては「あがり」だと思う。うらやましい。

*2:瀬戸芸はどうしても、即興や即席の要素が多くなる。持ち味であり、大好きな部分だ。

*3:きつね寿司、の表記あり

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