フリーランスのIT屋をしている友人から、仕事の手伝いを頼まれた。
他県のいくつかの場所で機器を設置し、設定し、3時間ほど動作確認して完了、というお仕事。3時間ただ待つわけにもいかないから、次の場所に移動しつつ、問題があったら戻る、という手順となる。
まず車が必要。訪問先は、どこも僻地なのだ。
友人だけならバイクがあるけれど、荷物が多いから何日もかかってしまう。
そして配線や設定は1人で出来るとはいえ、手が4本あると便利な状況が多い。ちょっと離れた場所にケーブルを這わせる、といった時にも2人は便利。さらに、ちょっとした力仕事もある。
僕はこの仕事は「指示があれば1人でなんとかできる」レベル。
友人は前々職における"先生”でもあった。僕の入社とほぼ入れ違いで独立して、それから何かと気にかけてくれている。四国生活でお世話になった人を10人挙げろ、といわれたら必ず入るだろう。
基本的にドライな人間関係の職場ではあったが、職場を離れた後でも公私にわたり頻繁に連絡をしている。趣味が合うわけでもないのに珍しいことである。
なにしろ僕は暇である。
さらに、最近ずっと「遠くへ行きたい。何かをしたいけれど部屋にいるとぐだぐだしてしまう」とチャットやメッセンジャーツールでぼやいていたので、こうして声をかけてくれたのだ。ずいぶんと若いが、人間ができている。
なにより、この案件は、仕事にかこつけた「お別れ遠足」でもあった。
最後に、実際に会って長い話をする機会を見つけてくれたわけだ。
仕事自体は今週でも来週でも良かったのだが、今日が確実に晴れということで決行の運びとなった。
問題はやはり、防疫について。
我々は自粛期間の前後で顔を合わせることもあったが、今日は不特定多数の出入りする場所に赴くことになる。しかも県境を超える。
こういう時に「不要不急の移動は避けましょう」と言われると困ってしまうのだ。
とはいえ困っていてもウイルスは飛んでくるし、もしかしたら自分が感染源かもしれないし、困っている間は仕事は止まってしまう。
なのでマスクとウエットティッシュ、ハンカチは予備も含めてしっかり用意してきた。飲み物だって持参する。
友人は、もっと徹底していた。
朝に迎えに行ったら、大きな筒型のウエットティッシュを渡された。まずはこれで、僕の手指も、僕の車も拭く。
訪問先ではお茶も雑談も無し、というのは説明済み。どうせ機械室やサーバールームの隅での作業になるし、報告書は明日以降に書くので「お互いのために、どうかおかまいなく」と伝えてあるそうだ。
これは友人の性格というより、フリーランサーとしての自衛策なのだろう。
案件を抱えたまま入院や隔離措置となった場合、「そうか、新型コロナなら仕方がない。次の仕事でよろしくたのむよ」とはなりづらい。ライバルが多い業界なのだ。特に緊急事態に連絡がとれない、駆けつけられない人は、それだけで順位が下がる。
というわけで、トイレ休憩でも何でも、外に出て車に戻るときはしっかりアルコール清拭をする。そして、人のいる場所にはできるだけ近づかない。
個人的には、ここまでやれば十分だろうと考える。
どうせ行き先は、最初から人が少ない場所なのだ。
今日の訪問先は、愛媛の山間部と、高知の山間部および太平洋岸。そこに点在する訪問先で仕事をして、長い待ち時間に(人の少ない場所で)観光というか、ただ景色を眺めたり、おしゃべりをしたり、あるいは単にドライブをしていた。
名物らしいものも、ほとんど食べていない。
しいていえば高知では「アイスクリン」を食べた。なるほどこういうものか…と思っただけ。
ミルク感を薄くして、フルーツ香料*1で牛乳くささを消した感じ。よく言えばさっぱりした味である。
作業の合間に食べた*2「田舎寿司」が良かった。高知の名物は、個人的にこれがいちばん。湯葉や煮た野菜や山菜を具材にしたお寿司で、酢は柑橘類の汁を使っている。友人から分けてもらった青菜の寿司(小松菜を握ったもの)ですら、とてもおいしい。
最も人が多かった、といっても視界に誰かが歩いているくらいの場所が「桂浜水族館」。これは明日に書くつもり。
最高に快適だったのは「四国カルスト」。これも後日書く。
四国で、ここまで空が開けている場所、高原地帯は、良い意味で予想外だった。気温は20℃〜22℃で、からりとしてとても気持ちが良い。香川からは遠い、もっというと愛媛と高知の県境なのでどの街からも遠い。帰路、松山に寄ろうかと言っていたのに、断念することになってしまった。
総移動距離は480km強。
お仕事のほうは、再訪問は無く、全ての作業が1発合格。なによりである。
帰宅はずいぶん遅くなってしまったが、久しぶりに喋ったし、歩いたし、仕事もして、とても疲れた。疲れて楽しかった。
グーグルマップにピンを打っていた「四国で行きたかった場所リスト」の多くも踏破できた。楽しい1日でした。