長崎の鼻

 

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雨上がり、午後には地面も半ば乾いた。

高松市屋島*1の突端にある「長崎ノ鼻」に行ってみた。

 

アイスの旅

アイスの旅

  • 作者:甲斐 みのり
  • 発売日: 2019/06/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 


自転車でも行けないことはないのだが、昨年に行った時に倒木で通行止めになっていたのだ。最後の1km弱が未舗装路かつ斜面だから、引き返すのは辛い。だから今日は車で行くことにした。

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柵も何もない、ただの寂しい岬だった。
誰もいないから、落ちたらおしまい。崖から海面を覗き込むと、ちょっと怖い。

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トンビが頭上を飛び、山のほうではウグイスがさえずっている。足元にはフナムシが当たり前に歩いている*2

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岬の先まで行くと、全周のうち300°くらいは瀬戸内海が占めることになる。
男木島や女木島は集落まで見通せる。大島、豊島、そして小豆島も見える。

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そして何より、高松の中心街と港が一望できる。
この方角から見ることは珍しい。
数年住んだ今では、港もポートタワーも県庁ビルも、それから工場や商業施設も見分けることができる。

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夕刻前のフェリーが多い時間帯ということもあり、船はひっきりなしに目の前を通過していく。

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なにしろ誰も来ない場所。今月後半に引っ越しを控えた身としては、落ち着くようなざわつくような、なんともいえない気分になってしまった。簡単に言えば「感傷」なのだが、上手く説明できない。胸がいっぱいになる、というのか。


瀬戸内国際芸術祭2016で初めて瀬戸内海の島に泊まったときに、静か過ぎる港の海面を見て目を離せなくなった。色々あって、いま四国に住んでいて、その暮らしももうすぐ終わる。今日この風景は、あの時の静かな海とはまるで違うけれど、やっぱり瀬戸内海らしく、島と船と明るい岩で出来ている。そしてやはり、目が離せない。

 

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この土地に、人生で二度と住むことはない、と思う。
ふと「なんで今、こんなところにいるんだろう」と考えてしまってから、その問いが頭の中でぐるぐるとまわる。
強い熱意があって住んでいるわけでもない。大きな事件があったわけでもない。大成功で意気揚々と引っ越すわけでもないが、後悔や不安ばかりでもない。


そもそも今日この「長崎ノ鼻」に来たのも、大した理由は無いのだった。「気軽に行ける、海が見える良い景色の場所」をグーグルマップで探しただけだ。

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特大のため息を3回くらい繰り返してから、車に戻った。
何度か岬を振り返ってしまったのは何故だろう。
綺麗な景色だったことは確かだ。

 

 

遠い太鼓 (講談社文庫)

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お題「ささやかな幸せ」

お題「気分転換」

*1:源平合戦ヤシマ作戦屋島景勝地

*2:海面からずいぶん離れているところなのにフナムシがいて、アリや他の昆虫と共存していた。