焼津 小泉八雲記念館

静岡県中部の港町、焼津市を自転車で散策してきた。
東の端の海岸に車を停め、まずは海岸線に沿って西へ。大井川に突き当たったら、Uターンして戻りつつ市街地を目指す。

文化会館にある図書館で休憩した後、隣接した「小泉八雲記念館」へ立ち寄ってみた。

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小泉八雲ラフカディオ・ハーン
日本語訳した怪談をいくつか、紀行文みたいなものも読んだ記憶がある。
夏に焼津に滞在していたことも知っている。海に近い元・漁師町に滞在中の家の跡を示す看板が建っていた。

もちろんこの記念館は、その滞在の縁で焼津市が作ったものだ。
無料施設だが、小泉八雲氏の功績や生涯が、わかりやすく展示してある。
20世紀初頭に没した人だから、生活用品から手紙まで様々なものが残っている。メモなどは今でも読めるほど。
滞在中の借家にあった達磨などもあって面白い。

日本に興味を持ち帰化までした欧米人ということで、いささか日本を美化しすぎなきらいはあるけれど、ずいぶん数奇な人生を送ったように思える。
焼津といえば知っている地名や建物も多い土地。そこに百年と少し前に、ギリシャ生まれイギリス育ちの男がアメリカ経由で日本を訪れ、結婚・帰化して夏に遊びに来ていたというのは、なんだか途方もない話だ。

じゃあ小泉八雲の本を今から読んでみようかというと、そういう気分にもなれないのだった。以前、手に取った本はどれも文体が古すぎて馴染めなかった。子供の頃に国語の授業で読んだ怪談*1くらいがちょうどいい。

 

この小泉八雲記念館と市立図書館には、焼津市の民俗資料館も隣接している*2
こちらは縄文時代から近代に至る焼津市の歴史資料が並んでいる。唐突に県外の遺物なども展示してあって"盛りすぎ"ではあるが、人の交流の多い土地でもあるので見ていて飽きない。

 

愛読している漫画「新九郎、走る!」の最新刊が、室町時代後期の焼津を舞台にしているので、この資料館は思いがけず楽しめた。最新刊を読んだのは数日前だったので、尚更のこと。

 

展示室の後半は「第五福竜丸」と「ビキニ諸島被爆事件」に多く割かれている。こちらも、被害者(被爆者)の手記から新聞、それに風評被害対策のチラシまで実物の資料が多い。

 

 

有名な観光地も文化施設もない焼津市。少なくとも旅行ガイドに「おすすめスポット」として載るような場所は本当に少ない。
この記念館や博物館だって、そういうわかりやすいレジャースポットとはいえない。でも、少しでも興味がある人には、勧めたい。
なかなか良い場所だった。

 

今週のお題「名作」

 

*1:静岡県ゆかりの作家として副読本に載っていた。

*2:3施設は、文化会館という大きなホールのある建物に含まれている。

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