スパイスカレー、という料理がある。奇妙な名前だ。「出汁醤油かけそば」とか「果実ジャム」は無いのに。あ、「ソース焼きそば」は普通か。
ともかくスパイスカレー、ここ3年くらいで急増した。
かつて古民家カフェといえば手作りの小さなお惣菜を盛り付けた和風ごはんか山菜ピラフが当たり前だったけれど、いつの間にかスパイスカレーが主役になっている。
田舎の、あるいは街の古い建物をリノベーションした「スパイスカレーの店」もずいぶん見かけるようになった。ちょっとだけ薬膳くさい、オーガニック系の流れをくむ「日本の食事」といった雰囲気がある。
これを自分で作ってみようと思う。
たぶん調べればいくらでもレシピは出てくる。しかしそれでは面白くない。情報を仕入れることで、スパイスなどを「あれも必要。これも買い足さなければ」と気にすることになる。
そうではなくて、最低限の構成要素のみで作るスパイスカレーを目指す。
つまり、演繹的な判断によるレシピの策定、である。
スパイスカレーとは何か、思い出してみる。
- 雑穀入りのご飯
- 小麦粉によるルーを使わない
- それほど辛くない
- 材料の種類は少ない
- エスニック料理の流れを感じる香り
- 付け合せは数種類のマリネ、和え物、漬物
雑穀入りのご飯は普段から炊いているし、マリネなども冷蔵庫に作り貯めしている。カレールーが無いと「しゃばしゃば」のカレーになってしまうけれど(苦手)、豆やタマネギを駆使すればなんとかなるだろう。
自分の印象だと、スパイスカレーとはいうけれど、スパイスの種類はそれほど多くない。
クミンは使うだろう。クミンが無いとカレーの風味が出ない。
胡椒や唐辛子粉も必要。辛さの調整用。
あとはターメリックか。色付けと、少しの抹香臭さに必要。
生姜は使うはず。にんにく臭いイメージは無い。
家に無いのはターメリックだけ。夕食の買い物のときに手に入れた。
クミンとターメリックと唐辛子で完成するはずだ。
油の香りも重要。
どの店のスパイスカレーも、どこか癖のある匂いがする。明らかにピーナッツオイルの時もあるし、もっとインド雑貨店みたいな匂いの時もある。
そういえば、昔買ったココナツオイルがあったのだった。
海外の通信販売でお茶を買った時に余ったポイントだけで手に入れた、大瓶の油。これがようやく使える。
というわけで作ってみた。
生姜とタマネギ(多め)をココナツオイルで炒める。
鶏肉を小さめに切ってさらに炒める。
クミン(ホール、適当に指で潰す)とターメリックと唐辛子(キムチ用)を入れて、少し豆乳も加えて煮る。
レンズ豆も入れて10分と少し弱火で火を通す。レンズ豆が柔らかくなったら完成。
なんと、これで本当にスパイスカレーが出来上がってしまった。
作っている時はココナツ臭で不安になったけれど、その匂いが「お店の味」になっていた。
砕いたピーナッツを入れたり、肉を変えたり、色々と応用は効くはずだ。にんじんのすりおろしが良さそうな予感がしている。
普段のカレーのように、多めに作って数日間食べる、という運用はできないだろう。
ただ、普段のごはん(一汁三菜)を作る手間を考えると、スパイスカレーのほうが楽。だから日常的に作って食べるものになるだろう。
さて、今から「本物」のレシピを検索しよう。
でもこの最低限の材料で作れるのなら、これで十分な気もしている。大好物というわけでもないし。