突然の雨に

さあ自転車で出かけるぞ、と玄関先で組み立て作業をしていたら、ものすごい雨が降ってきた。
急いで自転車を抱えて軒下に避難、庭に散らばったペダル(取り外し式)や古タオル(出発前に掃除をしていた)を回収しただけで、着替える必要があるくらいにびしょ濡れになってしまった。

三重県民が言うところの「べたべた」である。
静岡県の雨は三重県ほどに粘性が高くない。通常の水と同じ。だから濡れた自転車も拭けば元通りになる。

出発してから降られなかっただけ良しとしたい。
しかし雨雲レーダーでも感知できなかった雨なんて初めてだ。日差しの事を考えて組み立てていたのに、びっくりである。

 

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九州は台風で大変なことになりそう。
朝からNHKは、様々な言い方で警戒を呼びかけていた。
「自分が怖いと思ったら、早めに避難してください」
「自分だけで決めず、行政の指示に従い避難行動をとってください」
矛盾しているように見えるが、とにかく避難できる人は今のうちに動いておけ、ということなのでこれが正しいのだろう。

静岡では「朝から晩までNHKは大騒ぎで、いささかやりすぎではないだろうか」という声も聞こえてくる。
僕はそうは思わない。テレビの数チャンネルが騒いで、命が助かれば安いものだ。ドラマなんて後日でかまわない。
それに、今回の台風は「大型自然災害に対する国レベルでの社会実験」だと思っている。むしろ、今までがのんびりしすぎていたのではないか、とも考える。

 

 

夕方に友人とビデオチャットをした。
「遠くに住む人達に『天災が来るけれど、どうか無事でいてください』という挨拶みたいなものが必要な時代になるのかもしれないね」といった話をした。
春の”自粛期間”には「『お互いに健康でいますように』という意味の、お別れの挨拶が要るねえ」なんて話をした記憶がある。
「ご安全に!」は、ちょっと違う気がする。「ご息災に!」は変か?

 

久しぶりに、古い翻訳ものの小説を読み始めた。
電子書籍ではない、紙の本。これがもう、読みづらくて困る。久しぶりに、途中で投げ出しそうな予感を抱えながら読んでいる。最初の「登場人物一覧」を切り取って、壁に貼っておこうかとさえ考えている。

 

罪と罰 1 (光文社古典新訳文庫)

罪と罰 1 (光文社古典新訳文庫)

 

 

お題「気分転換」

靴、つけ麺、かき氷。

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新しく靴をおろした。
気に入って履き続けた靴がそろそろ古びてきて、ちょうど同じものが割引されていたので買っておいたのだった。
もう同じ品は製造されていないようなので、貴重な品ではある。
かといって、ネットオークションに出るような品でもない。
そもそも買い貯めるようなものでもない。見つけたら買う、そして10年くらいは履き続ける、というサイクルも今回で終わりだろう。

 

スニーカーファンブック2020 (双葉社スーパームック)

スニーカーファンブック2020 (双葉社スーパームック)

  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: ムック
 

 

https://www.instagram.com/p/CEvlQQ_geL8/

 

お昼は焼津市の「LEO」にてつけ麺を食べた。
この店のラーメンは、どれも盛り付けが綺麗。
「昆布水つけ麺」は、水に昆布を長く漬け込んだようなとろみのある水に麺が入っている。最初は塩とワサビ、その後は濃い目のつゆで食べる。
茗荷やレモンといった薬味も嬉しい。
麺が特別に多いわけでもないのに、満腹になる。そして満足感もある。
ラーメン屋の品なのに、「がっつり」食べずとも満たされた気持ちになれるのは、ちょっと珍しいかもしれない。

https://www.instagram.com/p/CEwb64nggm0/

 

そしておやつは、「LEO」から少し歩いたところにある「丸山園 茶舗」でかき氷を食べた。
熱中症注意報が出ていたので自転車は控えたのだが、運動不足解消のために散歩も兼ねた焼津市探検をしている途中の、昼食とおやつ(書店やホームセンターにも寄った)。

この店では「濃茶かき氷」ばかり食べている。
濃茶なので、ややくどい感じがする。それが好きなのだ。

甘さは薄め。しっかり渋みはあるけれど、見た目ほど苦くはない。
普段の生活では、カフェインはそれほど効いた実感が無い。でもこの濃茶かき氷を食べた後は、気分がしゃきっとする。毎回そうなのだから不思議だ。

 

 

そんな土曜日。
海の向こうでは不穏な雲が見えるけれど、基本的には明るく晴れていた。湿度はあったが、先週に比べたら驚くほど過ごしやすくなった。
でも、台風が近づくザワザワした予感だけはずっと感じていた。静岡県への影響は無いとしても、SNSとテレビは非常時の空気を運んでくる。実際、数字からしてもおそろしい台風なのだ。

 

たべるたのしみ

たべるたのしみ

 

お題「気分転換」

 

お題「これ買いました」

 

お見舞いとクッキーサンド

知人が入院したので、入院用品(タブレットやUSBケーブルや筆記用具)を届けてきた。
免疫が落ちていて新型肺炎なんてもってのほか、という病気なので、病棟へのルートも特別扱い。
事前連絡で知らされた受付は、どうみても通用口。実際、元は業務用通路だった廊下が「クリーンなルート」として確保されているようだ。
まず靴裏や手を消毒してから、業務用通路みたいな廊下を歩いていく。そして最上階直通*1のエレベーターで、入院病棟の上の端にある一角へ移動する。キアヌ・リーブスが本部のエンジニアの指示をイヤホンで聞きながら潜入するのにぴったりな雰囲気だ。

ここで、肘から指先までをしっかり洗い、ガウンとゴーグルとマスクと頭のカバーをつけて、ようやく病棟に行ける。
入院用品は看護師さんとチェックして、取捨選択した後に、綺麗に拭く。しばらく紫外線を照射して、消毒薬が乾いた頃に部屋に持ち込むことになる。紫外線については「おまじない」だと笑っていたが、とにかくやることは何でもやっておこうという気負いと気概を感じる。
なるほど徹底している。

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入院エリアの大半はWi-Fi使用可能だが、どうにも調子が悪かった。
看護師さん達に相談されて、簡単な処置をしてきた。インターネット接続の有無で入院患者のQOLは大きく変わるし、暇は誰にとっても良くない。だから、本来は放置したくないのだが、手も時間も足りないのだと言っていた。

確かに、医療に関わる人達が「Wi-Fiの不調について患者から聞き、問題箇所を突き止め、業者に連絡をして、修理業者を受け入れて作業時の衛生管理をチェックして…」なんて面倒なことができる雰囲気ではない。新型コロナの病棟ではないにしろ、いろいろとぴりぴりしていた。

知人はそれでも、元気にしていた。
こういうクリーンルーム的な病棟だから、普段は見舞いに行きづらい。予約も要るし、家族や親しい人達が優先される。だから今日、会えてよかった。

 

 

 

ちょっと待ち時間ができたので、浅間通り商店街を散歩した。
そして、YouMe&Cookies Bikini にてクッキーサンドを買って、歩きながら食べた。

 

基本のクッキーサンドは、いわゆるラムレーズンサンド。
今日買ったのは、栗とレモンという珍しい組合わせの品。

https://www.instagram.com/p/CEs6kVoADzD/


栗のペーストは、モンブランのそれによく似ている。
とろりとした透明なものが、レモン味の元だ。強い酸味と香り、甘みがある。

これは、今まで食べたことがない味だった。
栗の「木っぽさ」とほくほくした風味、たぶん栗好きな人が好む味わいに、なぜかレモンの酸味が会うのだった。

とにかく、不思議で面白くて笑ってしまった。
お店のInstagramで知って、これ1つだけ買ったのだが、他のものと食べ比べをしても良かった。

www.instagram.com


誰かに食べさせて、感想を話し合いたくなるクッキーサンド。自分には身近にそういう無邪気に甘いものの話をする相手はいないけれど、それはそれとして楽しい味。
世界は広く、食べ物の組み合わせもまた多い。良い経験ができた。

 

 

お題「大好きなおやつ」

*1:他の階へも行けるが、使わないルールになっている

雨の日、焙じ茶のかき氷。

焙じ茶のかき氷

お茶屋さん(製茶屋さん)で夏の間だけのかき氷があるというので食べてみた。
静岡の街から川沿いに山へ入っていった場所にある。車ならさほど時間はかからない。

緑茶と焙じ茶があるが、今日は焙じ茶のかき氷にしてみた。

https://www.instagram.com/p/CEqqEKlAxub/

 

焙じ茶を凍らせたものを削ってかき氷に仕立てているため、氷自体がほろ苦い。焙じ茶ならではの香ばしい香りもする*1
全く甘くないが、添えられたバニラアイスと粒餡を合わせて食べるので大丈夫。むしろ最初は甘くせずに楽しみたい味である。
別に白蜜と加糖練乳もついてくる。個人的には加糖練乳は合わない気がする。
粒餡多め、アクセントに白蜜で十分ではないだろうか。

静岡県に住んでいると、緑茶が生活の基本であり、焙じ茶は飲む機会が少ない。一段低く見る風潮すらある。自分も全く馴染みが無い*2。だから今回のかき氷も、それほど期待していなかった。
そういう意味では、期待を裏切るおいしさだった。また食べたいと思えるかき氷は少ない。

緑茶のかき氷も期待できる。
メニューには氷の写真が添えてあった。こちらは氷の中に茶葉が封じ込まれている。それを削るらしい。なかなか珍しい作り方をしている。

この店から数km下流側には、有名な中島園のイチゴかき氷がある。中島園が売り切れまたは大混雑していて、イチゴではなくて良い、そして一風変わったかき氷が食べたいのならば、この「茶の葉」に行き先を変えるのも良いだろう。
駐車場は狭いが、向かいにある道の駅にも停めることができるようだ。

かき氷以外にも、お団子が売り物の様子。
みたらし団子や餡団子といったスタンダードなものばかりだが、まとめて買っている人もいたから、きっとおいしいのだろう。

 

 

 

車検

無事に終わった。
今日は通り雨が豪雨という、よくわからない天気だった。
消耗部品がディーラーに無いため、後日交換の作業もある。でも概ね順調。
部品が無いほど混雑しているのは、例のマイナポイント狙いのお客さんが多いから、らしい。確かに車検や定期点検の費用を登録したカードで支払えば、それだけでマイナポイントキャンペーンの分は受け取ることができる。世の中の混雑は、本当に予想外の理由で発生する。びっくりした。

 

融通を効かせたお礼というわけではないのだろうが、作業リストには無い、ちょっと高級なガソリン添加剤を1瓶貰ってしまった。
次にガソリンを入れた時に、この添加剤も加えると良いらしい。全くこの種のものの効能を信じていないのだが、本当に変化が実感できるのだろうか。

 

 

お題「気分転換」

*1:食べ終えると、べったりと焙じ茶の粉が器に残る。製氷中に分離したのだろう。氷も縞模様になっている。

*2:四国生活では、焙じ茶の普及具合に驚いたものだ。

良い代車

車検のためディーラーに車を預けた。
予定では明日の夕方までかかる。
というわけで、代車を借りている。

 

フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)

フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者:小川 一水
  • 発売日: 2008/07/01
  • メディア: 文庫
 

 

代車というと、大抵は小さめで装備も最低限のことが多かった。
今日は自車よりも新しくて同じくらいの寸法、しかも「代車・試乗車使用」という珍しい車を借りることができた。

基本装備はベーシック、でもオーディオは豪華版。カーナビとスマホ連動の部分も、デモンストレーションモードがあって、数日間のお試しにはわかりやすい。
安全装備や派手めの便利機能も付いている。
短い期間で車の良さをアピールするためのカスタマイズが行われているわけだ。

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ディーラーから「どうかご堪能ください」と送り出された代車、確かに快適だった。
音響は「いかにもステレオ」というやりすぎなくらいの立体感があって、車内でポップソングを聞くのには最適といえる。
ボタンを押せば運転中でもバックカメラがモニターに映るし、その隣には車両を上からみた合成画像が表示される(駐車の際は自動で切り替わる)。便利さよりも目新しさが楽しい。
アナログメーターはよく見るとモニターで、手元のボタンで切り替えができる。

動力性能だって素晴らしい。
僕の車から1世代経った最新モデルだけあって、静かでなめらかで力強い。
せっかくなので海沿いの道をドライブしてみたが、ガソリン車でここまで静かなら、もう技術的向上なんて無理なんじゃないかと思えるくらいだった。

全体に、僕の車を全体的にブラッシュアップしたような出来栄えだった。
ヘッドアップ・ディスプレイは消えて、速度などの情報はフロントガラスに直接映し出される。ナビシステムのモニターは高精細になり、UIも洗練された。散漫な印象だった警告ランプや操作ボタンも、集約されてわかりやすい。
僕の車がWindows8で、代車がWindows10といった印象。
僕の車で勝っているのは燃費だけ(ハイブリッド車なので。)。

 

MAZDA DESIGN

MAZDA DESIGN

 

 

ディーラーの担当者が「どうかご堪能ください」と言うだけあって、助手席のポケットにはパンフレットと価格表が挟まれている。簡単な見積書まで添えてある。

とはいえ、もちろん買い替えはしない。
せっかく車検をするのだ。まだ故障もしないし、無駄遣いをしていられる状況ではないし。
ずいぶん感心もした。関心も持った。
でも、車検のコストを考えずとも、こういう単純な「正当進化」では食指が動かないのも確かなのだ。こういうところ、いわゆる「車好き」にはなれないなあと少し残念に思っている。車趣味者になれたらいいな、と思うことはあるのだが、なかなかあの境地には至れない。

 

ボダ子

ボダ子

 

 

https://www.instagram.com/p/CEn-rf5gWt2/

 

それはそうと、今日は宇治金時を食べたのだった。
家族の通院に付き合った時、待ち時間に入った店の品。特筆すべきところのない、凡庸な宇治金時。でも宇治金時なら何だって嬉しいから、これはこれで良しとする。

 

メゾン刻の湯

メゾン刻の湯

 

お題「気分転換」

お題「大好きなおやつ」

 

前髪を切ったよ

美容院で髪を切った。
前髪だけでなく、横も後ろも全て切った。かなりぼさぼさになっていたので。

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人との接触が多くなる場所へは、午前中のできるだけ早い時刻に行くことにしている。個人的な新型コロナ対策の1つ。宝くじを2枚買うか1枚買うかの差ほどしか無いとしても、これくらいは(僕の生活に限れば)何の負担にもならない。

 

《天冥の標》合本版

《天冥の標》合本版

 
天冥の標Ⅱ 救世群

天冥の標Ⅱ 救世群

 

 

今日は近所にある美容院へ行ってみた。
実家のある市とその周辺に数店ある、ローカルチェーンの本店。カジュアルなファミリー向け美容院だから、僕のような中年男性でもカットくらいはしてくれる、と聞いた。

しかしこの店が酷かった。
カットとシャンプーは問題なかった。だから今は何の問題もない。
でも、接客と雰囲気がとても悪かった。びっくりした。

スタッフは、自分達だけで通じる話題(バーベキューをした様子)を大声で話している。今日は出勤していない人の悪口も聞こえる。
店の奥にある幼児を遊ばせるエリアでは、スタッフのお子さんだろうか、小学生がテレビにゲーム機を繋いで(大きな音で)ゲームをしている。
「アタシ達はこういうスタイルなの!」という主張ではなくて、単に統制が取れていない感じがすごい。
「賑やかしになるから来てよ」と呼ばれて行ったライブが、大外れだった時みたいだ。しかも、ライブハウスと違って、僕は椅子に固定されている。

僕の髪を切り、洗ってくれた人達が”まとも”だったことは幸運だったといえる。
高い料金でおもてなしを受けるような店ではなかったので(セサミストリートのポスターが貼ってあった)、髪さえ短くなれば文句はない。
でも、帰りがけに貰った「お客様アンケート」は、今からきちんと書こうと思う。返信用封筒(切手無し)も付いている。書けば住所氏名電話番号が「お得意様リスト」に載るそうなので、住所氏名電話番号は空欄にしておこう。

 

海の見える理髪店 (集英社文庫)

海の見える理髪店 (集英社文庫)

  • 作者:荻原 浩
  • 発売日: 2019/05/17
  • メディア: 文庫
 

 

https://www.instagram.com/p/CEmFUQCgdxy/

 

今日はもう一つ、小さな悲劇があったのだった。
おやつに鯛焼きを買ったところ、粒餡を注文したのに、漉餡を渡されたのだ。

僕「鯛焼きを1匹*1ください。つぶあんをお願いします」
店員(以下:店)「わっかりましたー。150円になります」
(支払いをする)
店「こちら袋の絵があるほうが漉餡、奥が粒餡です。ビニール袋は必要ですか?」
僕「いえ、注文したのは粒餡1つです」
店「そうでしたね(笑)。すぐ新しいものをご用意しますね…はい、粒餡1つでーす」
僕「ありがとう」

(帰宅する。頭が少し涼しい)
僕「もぐもぐ。あ、漉餡だ」

 

 

気がついた時には半分食べていたし、鯛焼きには「お客様アンケート」は付いてこないし、漉餡でも別にかまわなかったから、これくらいは気にしない。店名だってここには書かない。

でも次は許さない。
半分以上食べた状態でも、お店に駆け込んで、粒餡の鯛焼き(半分)を要求するつもりだ。粒餡も漉餡も好きだが、いつでもどちらでもかまわないというわけではないのだ。大切なことだ。

静岡県中部全域の鯛焼き屋さんは、緊張感を持って仕事をして欲しい。もちろん美容院も、だ。

 

 

 

お題「ささやかな幸せ」

お題「気分転換」

*1:実際は、1個と言っていたはずだ。大人なので。

映画「リトル・ジョー」

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映画「リトル・ジョー」を見てきた。



映画の説明は、静岡シネ・ギャラリーの文章がわかりやすい。引用する。

シングルマザーの研究者アリス(エミリー・ビーチャム)は、幸せになる香りのする新種の植物リトル・ジョーを開発するが、仕事にのめり込むあまり息子のジョーと向き合っていないことに後ろめたさを感じていた。ある日アリスは、リトル・ジョーを植えた鉢を持ち帰り息子にプレゼントする。しかし、花の香りをかいだジョーや、花粉を吸い込んだアリスの助手クリス(ベン・ウィショー)の様子が徐々におかしくなる。

SF風味のサイコサスペンスといったところか。
なぜか劇中の音楽が和風。篳篥や笛を駆使した現代音楽なのだが、どこか「外国の映画で描かれたJAPAN」な雰囲気がある。始めは面食らったし、「これから怖いことがはじまるぞ」という場面では必ずこの和風な曲が流れるため、Ninjaでも出てくるのではないかと気になってしまった。

とはいえ、映画は最初から最後まで真面目に進行する。
クリーンな建物と端正でモダンな生活。研究所のパステルカラー主体の色合いもかわいい。

主人公の周辺の人達がどんどんおかしくなっていくストーリー。
ただし、警察も特殊部隊も軍隊も出てこない。あくまで研究所とその関係者が、普通の生活を続けながら、少しずつ変わっていく。おかしな人がまともな事を言い出したり、最も客観的で正確な判断ができる精神科医が(そのまともさ故に)考え違いをしたりと、様々な要素が、ほんの少しずつ変化していくところはじわりと怖い。

SFと考えると、科学要素は100点満点で40点。
サイコサスペンスではあるが、精神医学や心理学を齧った人からしたら笑ってしまいそうな嘘くささもある。35点。
主人公たちは阿呆ではないし偶然の要素も少ないが、もう少し賢く振舞えないのかと思う場面も少しあった。50点。

でも、不思議と惹き込まれる作品だった。
新種の植物がもたらす、おそろしい出来事ではあるのだけれど、上述の通り「世界と人類の危機」は描かれない。むしろ関わった人達の多くは、幸せになったようにさえ見える。ただし何も解決しないまま映画は終わる。

こういう味わいは…と記憶を辿ると、荒木飛呂彦の短編マンガが一番近い。
連載の「JoJoの奇妙な冒険」とは違い、短編集では「ちょっとおかしな、決定的に現実からズレた、奇妙な味わいの非日常トラブル」が多く描かれる。
現代日本SF小説だと、こういうじめっとした短編は少ない気がする。「いろいろあって人類は滅びました!」くらいのからりとした方向に飛び抜けて、ようやくSFとなるのが今の時代だ。ホラーでも「因果応報も問題解決もなく、ただ”現象”が広まっていく嫌な感じ」だけで終わる短編は知らない。

 

変人偏屈列伝 (集英社文庫(コミック版))
 
岸辺露伴 ルーヴルへ行く (愛蔵版コミックス)

岸辺露伴 ルーヴルへ行く (愛蔵版コミックス)

 

 

 

万人向けではない、と思う。
人によっては「地味だ。カタルシスに欠ける。わけわからん」と不満に思うかもしれない*1
しかし僕には、十分に面白かった。
奇妙な味わいの作品。狙って出会えるタイプの映画ではない。
見るのなら映画館が一番だが、家ならば夜中に、落ち着いた気持ちで鑑賞すると良いだろう。ナイフでぐさり、といった暴力や痛い表現はほとんど無いので、そういうのが苦手な人にもおすすめ。
それと、役者の演技、表情が細やかで印象に残っている。キャストに興味があるのなら、とりあえず見て損はないはず。

 

 

STONER 自動車用芳香剤 リトルジョー チェリー 1743

STONER 自動車用芳香剤 リトルジョー チェリー 1743

  • 発売日: 2019/03/07
  • メディア: Automotive
 

 

 

さて寝ます。夕方は、西の空は雨と雷が、北は真っ暗な雲が、そして東には月が見えるという、よくわからない天気となっていた。今は豪雨。たぶん通り雨。雷もがんがん落ちている。
こういう日は寝るに限る。おやすみなさい。

 

ミニシアター巡礼

ミニシアター巡礼

  • 作者:代島 治彦
  • 発売日: 2011/09/01
  • メディア: 単行本
 

 

お題「ささやかな幸せ」

*1:だいたい予告を見たら、好みかどうかわかるだろう。

コーヒーの店がみつからない・スポーティー

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車で親戚の家に行き、用事を済ませてきた。
帰路、せっかく遠くの市まで来たのだからと、コーヒーを飲む店を探したのだが、全く見つからない。
何度か行ったお気に入りのカフェは閉店していた*1
茶店も閉まっている。
そもそも店の数自体が少ない。いわゆる西日本的な喫茶店文化は、静岡県中部には無いのだった。

もうドトールでもなんでもいいや、とチェーン店を探したところ、できたばかりのスターバックスコーヒーが見つかった。でも、店に入る車で車線が1つ埋まるくらいに混んでいた。別にスタバが珍しい土地ではないのだが、でもみんな並ぶのだった。

コーヒーだけでは利益が出ない時代らしいが、ここまで店が無いのはさすがに驚いた。
土地勘があるばかりに、探しても無いことがわかってしまうのだ。

 

純喫茶とあまいもの: 一度は訪れたい30の名店

純喫茶とあまいもの: 一度は訪れたい30の名店

 
47都道府県の純喫茶

47都道府県の純喫茶

 

 


ステーキとサラダバーが主体のファミレスや、インドカレー屋さんが、おやつの時間にカフェタイムを設けてくれたら嬉しいのに。
サラダをもりもりおかわりしながらコーヒーを飲んでもいいし、インドのスイーツや甘いナン(以前食べたドライフルーツ入りのナンはおいしかった)も楽しみたい。
コーヒーならファストフード店でも飲めるのだが、もう少し囲われた空間で楽しみたいのだ。そういう意味ではコメダ珈琲店なのだが、どうにも好きになれないのが困ったところ。

 

 

 

仕方がないから、ただ景色の良い場所を車で走ってみた。
海沿いの道と、山の中の曲がりくねった道。
普段は気にもしていなかったけれど、僕の車はスポーツ的な運転もできるのだった。なるほどMAZDAの人が誇るわけだ、安心して走ることができる。よたよたしない。

これが「ドライブ」なのかと再認識した。自分は、娯楽のために車を走らせることがほとんど無いので、今日はなんだか変な感じだった。
引っ越し、仕事、そして旅行と、移動手段および運搬手段として多少の不便を感じながら使い続けてきた車(数日後に2回目の車検)だから、あまり無い感覚。


「おお、これがコーナーを攻めるというやつか!」「ボディの剛性感!タイヤから伝わる路面状況!」と、頭の中で文章にしてしまう。


後部座席には折りたたんだだけの自転車が積んであって、スピードは出せない(荷崩れが怖い)。そのため傍目からはのんびりした運転に見えたかもしれないが、それでも僕にとってはスポーツ・ドライビングである。少なくとも、ミニバンでひたすらアクセルを踏む人よりも、スポーツしていたと思う。

 

MAZDA DESIGN

MAZDA DESIGN

 

お題「気分転換」

 

*1:ウイルスと日本政府が悪い。

まっしろノワール

友人に印刷物の制作を頼まれた。
とりあえず打ち合わせ、と予定を合わせていたのだけれど、会うのは止めることにした。
お互いに家族もいるし、友人は飲食店を経営している。無用の感染リスクは避けよう、と決めたのだった。
世間の基準からすると、やや神経質ではある。しかし「工夫できるのなら、そのほうが良い」というのは僕たちの基本方針である。打ち合わせ内容については、LINEなどのメッセージで済ませることになった。

 

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

  • 作者:村上 春樹
  • 発売日: 2010/06/10
  • メディア: ペーパーバック
 

 

しかし、会わないことを決めたのは家を出た後だった。
僕の心の中では、今日のおやつは喫茶店で摂る気分。こういう「お腹が決めた気分」というのは切り替えづらい。

というわけで、お手軽に「コメダ珈琲店」に行くことにした。
ちょうど、いつも程々に空いている店が通り道にあったので立ち寄る。

https://www.instagram.com/p/CEdxSKzJU7X/

 

久しぶりのコメダ珈琲店
三重県香川県よりも、ずいぶんと落ち着いている気がする。
というか、静岡県中部地方民にとって、コメダ珈琲店なる存在には、どうしても馴染めないのではないか。もじもじして、つい必要以上に内装を眺めたりする*1
歳をとって色々な感性が摩滅した老人か、SNSか何かで話題になって盛り上がれる人でない限り、「うつくしい静岡県中部地方の民」としての何かと、コメダ珈琲店的な要素は、衝突と摩擦を生じる。
特に根拠は無いけれど、そう思う。これは実感の話だ。

注文したのは、「まっしろノワール」という期間限定商品と、ホットコーヒー。
コーヒーは、いつも通りの「古い喫茶店の味」だった。香川県高松市の喫茶店で、よく飲んだ味。
シロノワールを白っぽくしたのが、まっしろノワール。ソフトクリームと、加糖練乳とハチミツと粉砂糖がかかっている。
これはもうばかみたいに甘い。だけど、それが心地よい。
日本の喫茶店で、ここまで無条件に甘い食べ物も珍しい。「砂糖より甘い」というやつだ。これ以上に甘い品というと、トルコや中東料理の店、あるいは南米料理店のスイーツとなるだろう。
どうせなら特徴的なものが食べたかった。だからこの甘いお菓子は、個人的に大正解だった。

とびきりおいしいわけではないし、そもそもノーマルなシロノワールだって大して良いものではない(個人の感想です)。ただ、「コメダ珈琲店的なもの」としては、良い選択だったと評価している。

ちなみに友人もまた、別の店(たぶんデニーズ)でコーヒーを飲んでいた。
「こちらのドリンクバーのコーヒーは、コメダに比べて現代的な味わいである」という感想が届いた。

 

するめ映画館

するめ映画館

  • 作者:吉本 由美
  • 発売日: 2010/10/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

という風に、コメダ珈琲店については、どうしても辛辣になってしまう。
これは三重県で生活していた時の印象が大きい。
うるさくて、安くもなくおいしくもなく量が多くて、良いところは「気取らない」だけ。そして僕は、コーヒーを飲むときはある程度の緊張が欲しいのだった。だから、コメダ珈琲店は性に合わない。豆が付いてくる店は、三重県では当たり前だったから、豆のありがたみもない*2

 

 

心は孤独な狩人

心は孤独な狩人

 
村上T 僕の愛したTシャツたち

村上T 僕の愛したTシャツたち

 

 

*1:「ハンバーグレストランさわやか」とよく似て、でも少し違うところも、我々静岡県民を落ち着かなくさせているのかもしれない。

*2:居住地は、名古屋の喫茶店文化圏だった。

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