友人に印刷物の制作を頼まれた。
とりあえず打ち合わせ、と予定を合わせていたのだけれど、会うのは止めることにした。
お互いに家族もいるし、友人は飲食店を経営している。無用の感染リスクは避けよう、と決めたのだった。
世間の基準からすると、やや神経質ではある。しかし「工夫できるのなら、そのほうが良い」というのは僕たちの基本方針である。打ち合わせ内容については、LINEなどのメッセージで済ませることになった。
しかし、会わないことを決めたのは家を出た後だった。
僕の心の中では、今日のおやつは喫茶店で摂る気分。こういう「お腹が決めた気分」というのは切り替えづらい。
というわけで、お手軽に「コメダ珈琲店」に行くことにした。
ちょうど、いつも程々に空いている店が通り道にあったので立ち寄る。
久しぶりのコメダ珈琲店。
三重県や香川県よりも、ずいぶんと落ち着いている気がする。
というか、静岡県中部地方民にとって、コメダ珈琲店なる存在には、どうしても馴染めないのではないか。もじもじして、つい必要以上に内装を眺めたりする*1。
歳をとって色々な感性が摩滅した老人か、SNSか何かで話題になって盛り上がれる人でない限り、「うつくしい静岡県中部地方の民」としての何かと、コメダ珈琲店的な要素は、衝突と摩擦を生じる。
特に根拠は無いけれど、そう思う。これは実感の話だ。
注文したのは、「まっしろノワール」という期間限定商品と、ホットコーヒー。
コーヒーは、いつも通りの「古い喫茶店の味」だった。香川県高松市の喫茶店で、よく飲んだ味。
シロノワールを白っぽくしたのが、まっしろノワール。ソフトクリームと、加糖練乳とハチミツと粉砂糖がかかっている。
これはもうばかみたいに甘い。だけど、それが心地よい。
日本の喫茶店で、ここまで無条件に甘い食べ物も珍しい。「砂糖より甘い」というやつだ。これ以上に甘い品というと、トルコや中東料理の店、あるいは南米料理店のスイーツとなるだろう。
どうせなら特徴的なものが食べたかった。だからこの甘いお菓子は、個人的に大正解だった。
とびきりおいしいわけではないし、そもそもノーマルなシロノワールだって大して良いものではない(個人の感想です)。ただ、「コメダ珈琲店的なもの」としては、良い選択だったと評価している。
ちなみに友人もまた、別の店(たぶんデニーズ)でコーヒーを飲んでいた。
「こちらのドリンクバーのコーヒーは、コメダに比べて現代的な味わいである」という感想が届いた。
という風に、コメダ珈琲店については、どうしても辛辣になってしまう。
これは三重県で生活していた時の印象が大きい。
うるさくて、安くもなくおいしくもなく量が多くて、良いところは「気取らない」だけ。そして僕は、コーヒーを飲むときはある程度の緊張が欲しいのだった。だから、コメダ珈琲店は性に合わない。豆が付いてくる店は、三重県では当たり前だったから、豆のありがたみもない*2。