駿河湾から大井川を1時間ほど遡ると、川根本町に到着する。
今日の目的地は、その川根本町の千頭駅周辺。
千頭駅は、大井川鉄道大井川本線の終点であり、アプト式とトロッコ列車で有名な井川線の始点でもある。
しかし平日の昼間は観光客の姿もなく、おそろしく静かな田舎町だった。
その千頭駅から数駅分だけ山奥に行った集落に、「てんでんこ」というお店がある。
お昼ごはんの飲食店を検索して見つけた店だが、なかなかおもしろい場所だった。
ランチは毎日やっている訳ではないらしい。
基本的に1種類。今日は魯肉飯(ルーローハン)だった。
丁寧に味付けされたそれは、以前どこかの台湾風屋台で食べた汁かけ飯みたいな雑なものとはまるで違っている。でも香辛料はしっかり効いていて、実においしかった。
昨今あちこちで食べられるようになった魯肉飯だが、量も味付けも、この店のものがいちばん好み。
食後にコーヒーと八雲煎餅*1を食べて、実に豊かな気持ちになれた。
ところでこの場所は、食事もできるが基本的には私設図書館に近い。
古民家のかなりのスペースを、本が占めている。
買うことができる本もあるし、知育玩具や伝統玩具の販売コーナーもある。今日のように食事が楽しめる日もある。
しかし基本的には、文筆家(?)である店主さんとその奥様が選んだ本を好きに読み、あるいはワークショップ的なものに参加する場所なのだという。
イベントやランチの日などは、随時Instagramで確認するのが良いだろう。
Webサイトには「としょかん,あそびば,喫茶・食事,販売」とある。
こういう文化と遊びと古民家の組み合わせは全国あちこちにある。瀬戸内海の小さな島や、古い城下町ならば珍しくはない。だけど、この川根本町のような「普通の田舎」で偶然に出会えるなんて、ちょっと驚いた。
時間があれば、長居してみたい場所ではある。仕事の合間に立ち寄る場所じゃない。
気になる本はたくさんあった。
猫はかわいかった。
本も猫も魯肉飯もあるなんて、夢みたいな場所だなと帰路には思ったのだった。
*1:店主さんの故郷、北海道の名産品らしい。