父には、家庭菜園を趣味とする知人が多い。
それも、元兼業農家や、農家の家屋を引き継いだような人ばかり。そういう老人が家庭菜園を営むと、大失敗しない限りは作りすぎる。
その作りすぎた分が、我が家におすそ分けとしてやってくる。
冬、12月になれば、大根と白菜の季節が始まる。
我が家だって、それほど野菜を大量消費できるわけではない。
老人と中年の二人暮らしでは、野菜ばかりをもりもり食べるのは無理なのだ*1。
今日は人参と大根、里芋をたっぷりいただいた。
貰っておいてこんなことを言うのは良くないと思うのだが、家庭菜園の野菜というのは面倒が多い。虫や虫食い、枯れた葉、そして付着した土。スーパーマーケットで買うそれとは大違いで、手間がかかる。
なので休日だった今日に、まとめて処理をすることになる。
大根は薄切りにして、とにかく干していく。
かつてIKEAで購入した吊り下げ式の子供部屋片付けネットが、食材を干すのに便利だ。
人参の一部も細切りにして干す。残りの人参は、いちょう切りにしてから電子レンジで加熱し、冷凍する。
里芋も薄く切って干す。半乾きになったら冷凍。これは後日、汁の実となる。
干した大根も、数日後には取り入れて、冷凍する。
貰い物ではないけれど、レンコンや白菜、柿も干してみた。
漬物の類をほとんど作らないから、食べきれない分は「切る→干す→冷凍」を繰り返すしかないのだった。そうやって野菜室や根菜置き場のスペースを確保しつづける、地道な戦いが冬の間続く。目先の問題を先送りしているだけ、ともいえる。
それほど大変な作業ではないが、でも面倒くさい。
僕が若かったら、全てを放り出して都会に引っ越していたかもしれない。少なくとも、田舎を捨てる理由の1つにはなる。
大根を届けてくれた老人の「家(うち)では食べないもんで」という言葉を、作業中に思い出してしまう。
"家庭"菜園なのだから、食べないほど作らないで欲しいのです。
*1:独り暮らしなら、ひたすら大根を食べることもできる。親の前で、そんな餌みたいな食事はできない。たとえ合理的でも、それは僕ひとりの合理なのです。