何事もなかった

濃厚接触者となって5日目。
今の時刻で発熱も咳も無いので、たぶん明日からは自由の身。
行動自粛といっても、「最低限の買い出し・運動のための外出」は許されていたから、それほど不自由は感じていなかった。
人と会えないこと、服や靴といった不要不急の買い物ができなかった事は、不便だったかもしれない。

例えば、明後日に予定している旅は、全く準備ができていない。
小さな旅でもキャンプでも、何かしら服など身につけるものを新調するのが今までの習慣だった。旅をきっかけにして、クローゼットやタンスの新陳代謝を少しずつでも行っていたのだ。

でも今は旅をする頻度がめっきり減って、その習慣が途絶えた。
旅をきっかけに発生していた物欲が、今はもうどこかに消えてしまった。困ったことである。

さらに今回の目的地は長野県の高原。
どれくらい寒いのか想像ができない。なにしろ静岡ではまだ室内ならば半袖でも平気なのだ。静岡でも柿がおいしい季節になったけれど、ようやく冬の服を出したばかりの陽気では、寒さに対する想像力はどうしても足りなくなる。

それでも、ショッピングモールにでも行って店を巡れば物欲が湧いてくるし、買うべきものも定まってくるだろう。でも、外出の自粛によって、それができなかった。

とはいえ、行き先は友人達の家、そして人混みを避け小綺麗な場所にも(たぶん)寄らない。さらに車での移動で一人分の荷物ならばいくらでも増やせる。だから、暖かそうな服を多めに運べば事足りるだろう。

 

旅の支度は明日にすればいい。
ともあれ5日間、発病せずに過ごせたことは幸運だった。
そうでない可能性だって十分にあった。良くも悪くも病気・健康には冷静な質だと思っているが、それでもふとした拍子に想像してしまうのが、長く続いた疫病の嫌なところだ。

 

 

お題「ささやかな幸せ」

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