昨日に書いた通り、家族の入院に関する諸々の面倒は、一区切りとなった。
治療は続くし、僕たちの日常はそれなりに忙しいままだが、でも交渉や調整や契約に煩わされる日々は、しばらく無いはず。
というわけで、どたばたした日々に心配をかけた親類の家に、報告とお礼をしてきた。こういうことが恙無く行えるようになってしまった自分。歳をとったものだ。
親の状況も感謝の言葉も、すらすらと叔父叔母に伝えることができてしまう。
加齢といえば、やはり今回は体力不足が堪えた。
ちょうど運動不足だったところで親の入院、その後の諸々で疲弊し、唯一の運動手段兼気晴らしの自転車に乗る機会が激減した。
少し歩いただけで、あるいはお見舞いや医師との面会をしただけで、どっと疲れてしまう。
仕方がない。まずは栄養をつけよう。ビタミンBを摂取するのだ。
そう考えて、親戚宅からほど近い、清水区は三保半島にあるトンカツ屋の「五郎十」で遅めの昼ごはんを食べてきた。
ここのトンカツは分厚く、巨大だ。
男性用のビーチサンダルを、さらに厚くしたようなトンカツが名物となっている。
メンチカツも巨大だった。
今日は大食いをするつもりではなかった。
メニューを検討している際に、隣の席の老婆達が注文した「豚ロース生姜焼き定食」を、僕もお願いすることにした。「ごはん少なめでお願いします」と言い添えて。
でもこの生姜焼き定食の肉が、生姜焼きの常識から外れていた。
少なくともスーパーマーケットの精肉売り場にある「生姜焼き用」の薄切り肉とは全く違う。30mm以上の厚みがある。
つまり、トンカツ用の肉をそのまま使っているのだ。
タレだって、いわゆる生姜焼き、ポークジンジャーのそれとは違う。甘辛くて、生姜の辛みは控えめで、照り焼きの味というか。
四日市市名物の「トンテキ」から、ニンニクとケチャップと中濃ソースを抜いて醤油と味醂を足したものが近い、かもしれない*1。
こんなにたくさん食べられるだろうか…と心配したのだが、最後の一口までおいしくいただいてしまった。脂もおいしいし、中心がうっすらピンク色の肉もすばらしい。
濃いめの味付けが表面を覆い、中心は肉々しくて、良いバランス。糠漬けも良い感じ。
この店ではトンカツばかり食べていた気がするが、これからは生姜焼きシリーズを選ぶかもしれない。鶏や"メンチ"やヒレ肉など、様々な生姜焼き定食があるのだ。しかもプレーンな生姜焼きと、ゴマ入り生姜焼きがある。
とにかく、こんなにめちゃくちゃな生姜焼きは想定外である。
隣の席の老婆達は、僕より早く食べ終えていたが*2、自分としては狐につままれたような気分だった。
でも、外に出て、むわっと熱い空気*3に触れたときに、なんだか元気になれたのだった。腹をぱあんと叩いて、ガハハと笑うような気分。
そのまま三保半島の先端まで行き、少し散歩をしたら、暑さで倒れそうになったけれども、それはまた別の話。
そんな火曜日。明日はようやく、日常が戻ってくる。