母方の実家があった街には、古い洋食屋があった。
港町らしい風情の店で、今思うとロシアや東欧の料理が元になっていたのだと思う。
メニューはハンバーグやオムライスと普通なのだが、カブやパプリカの煮込みが添えてあるなど、普通の「欧風」とは違った洋食屋だった。
その店のロールキャベツには米が入っていた。
細かなディテールは覚えていないけれど、全体がまとまっていたから、チーズやホワイトソースも挽肉に混ぜてあったのかもしれない。
先日買った本に、この米を使ったロールキャベツが載っていた。
東ドイツからソビエトまで広い範囲で食べられているものらしい。
先週、その米入りロールキャベツを作ったところ、なかなかおいしかった。
かつての洋食屋では赤ピーマンや緑のピーマンを一緒に煮込んだトマト味だった。本でもトマトソース。でも僕は胡椒が強めのコンソメ味にした。
米がスープを吸って、食べごたえとやわらかな食感を追加している。
今日はもう少しアレンジして、押し麦と五穀米の元を使ってみた。
お粥など柔らかい米が苦手なので、これは自分好みの改良。
麦は煮てもぷちぷちした歯ごたえがする。これはスープでよく使うから知っている。
五穀米の元(白米に混ぜて炊くと紫色の雑穀ごはんになる)は、とうもろこし、ごま、麦、粟、稗、赤米、黒米などのミックス。これもぷちっと粒が楽しい。
今回もまたコンソメ味にしてみた。
これで普通においしいけれど、次はあの洋食屋の味を再現したいところ。
たぶんトマト缶とピーマンと赤や黄色のピーマンを使って、パプリカパウダーも使えば良いはず。
しかし僕は東欧料理もロシア料理も、ほとんどわからない。カツレツみたいなものやボルシチ、それにジャガイモのスープなどは食べたことがある。
正解を知らない料理は、どんなにおいしくても100点にならないのが困ったところ。子供の頃の記憶だから、尚更のこと。でも作りたい。