昨日の夜に自転車「タイレルFX」のハンドルを変えました。
標準装備の黒いスポンジのハンドルグリップも悪くなかったのですが、もう少し風合いが良いものが欲しかったのです。
買ってもいいけれどせっかくレザークラフトの道具(と大量の端切れ)があるので、ぽちぽちと穴を開けて縫って、それなりのものができました。
ハンドル周りのアクセサリー、ベルやライトホルダーのシム(厚さ調整の輪っか)も同じ革で統一して、全体の雰囲気を揃えています。
濃いグレーの車体に黒いパーツ類、ときどきシルバーのネジ、そして生成りの革。生成りの革は今のところベージュからオレンジ気味のブラウンですが、これから日焼けしてもっと濃い色になるでしょう。
しかしハンドル周辺だけ革素材があるのもバランスが悪い。
こういう時は眼鏡を取ってぼんやりした視界で眺めるとよくわかります。革が日焼け前とはいえ、いささか目立つ。
というわけで車体中央部にフレームカバーを付けてみました。
これも簡単。
手が慣れたせいもあって、ハンドルよりも楽に装着できました。自分の使いかたではこの部分をどこかに引っ掛けることもないのでほぼ飾りなのですが、でもまあミニベロのカスタマイズとしては定番でもありますし、がちがちのスポーツ車から肩の力が抜けて良い雰囲気だと自己満足しています。
ここまで生成りの革が増えると気になるのがサドル。
サドルはハンドルグリップと同じく柔らかい素材で、しかも目立ちます。ここを交換すると大きく雰囲気が変わりそう。
というか、標準の真っ黒なビニールレザーは現時点でちょっと浮いた存在になってしまっています。
革のサドルは自転車屋でも普通に売られています。
定番は「BROOKS」社の製品。真鍮の鋲で留めた厚い革は、使い込むことで風合いが増します。
サドルにしては高価ですが、買えない価格ではないし、間違い無く高品質です。
でも世の中で革のサドルといえば、(少なくとも香川県では)BROOKSばかり。それ以外となると、名のある工房で作っているような高級品かアンティークものになってしまいます。
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でも革のサドルが欲しい。
そして今回は、BROOKSのような重厚なものではなくて、ハンドルグリップと同じ生成りのヌメ革がいい。
というわけで寝る前にAmazonで安いサドルを1つ購入しました*1。これに革を装着すれば見た目はレザーサドルです。
サドルは今日の午前中に届きました。
たぶんAmazonのサドル倉庫が淡路島か愛媛にでもあるのでしょう。なにしろ早いです。ヌメ革の下拵えも済んでいないのにサドルが先に届いてしまいました。とにかく作ります。
とにかくレザーサドルの自作について、レシピを残しておきます。
完全に自己流、そしてこれは「張り替え」ではなくて「革カバーの制作と接着」であることに留意してください。
材料(1人分)
- 牛ヌメ革(生成り)・・・サドルをすっぽり包める大きさ
- サドル・・・1個
- スイカ・・・4分の1
- バジル・・・2枚ほど
- 麦茶・・・400mL
- ゴム用接着剤
- エキストラバージンオリーブオイル・・・適宜
- 塩、食酢またはクエン酸・・・適宜
道具
- カッターナイフ・・・よく切れるもの
- カッター刃折器・・・惜しみなくカッター刃は替えましょう
- ラップフィルム・・・台所用でも構いませんが荷造り用が便利
- 六角レンチ,ドライバー,ボールペン*2,布巾など
手順
- 牛ヌメ革を必要な寸法に切り出す。
サドルの全面と裏側のフチまで覆うサイズにする。迷ったら大きめ。心配なら四角くてもいい。 - 1を水に漬け込む。食酢またはクエン酸を少量加える*3。
- サドルを分解する。裏面にいくつかパーツが付いているのなら取り外す。
- サドルをビニール袋やラップフィルムに入れて防水する。
- 2を取り出し水洗いした後に、5.に押し付けながら巻き付ける。
先端部をぴったりと成形しながらまずはラップフィルムで固定し、次に後端を同様に固定する。その後に周辺を少しずつサドル下側に押し込んでいく。革が重なって邪魔な場合はハサミで切り込んでいく。 - 全体をラップフィルムで強く巻きこむ
- 周辺を掃除して麦茶を飲む
- ラップフィルムを少しずつ剥がし、皺やよじれた部分を調整しながら新しいラップフィルムで巻きなおす。前端と後端以外は革が露出してもかまわない。裏側で革が折り重なっているところは切り落としていく。
- 8.を日陰干しする。
- スイカにエキストラバージンオリーブオイルと塩、みじん切りにしたバジルをかけて食べる。美味しい。
- 生乾きの9.から少しずつラップフィルムを外していく。ハサミで一部を切り取ってもいい。
- 再び日陰干しをする。革の露出部表面が乾きはじめたら全てのフィルムを剥がし、全体を乾燥させる。
- 夏場なら30分ほどで型崩れがしない程度に乾く。中のサドルを注意深く外す。
- 成形された革を完全乾燥させる。
- カラスのパン屋さんならば「サドルぱん」と呼ばれそうな色合いになっている。しばし眺める。
- サドルのフィルムや袋を外し、暇ならばパーツクリーナーか何かで掃除をしておく。
- ゴム用の接着剤をサドルに塗布して、成型された革を張り込んででいく。使用方法は接着剤の説明書に従う。
接着剤は全体にはいらない。角や頂点、裏側の端には必ず付ける。 - サドル裏面には、革の皺や重なった部分が集まっているので、適当に切り取る。「どうせ見えない。誰も見ない」と唱えると安心。
- サドルに外したパーツを取り付ける。ほとんどが表皮を固定するものなので、これを付けると収まりがよくなる。
- 革にオイルを塗る。無ければ靴用のメンテナンス品でかまわない(無色のもの)。それも無ければニベアでいい。
- 完成。自転車に取り付ける。
今はオイル仕上げの途中です。
乾燥時間もあるし他の作業の合間に少しずつ手を動かしていったので効率はそれほど良くないにしろ、タイマーで計った限りでは2時間と少しで完成したことになります。
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そもそもヌメ革がサドルに向いているのかどうか知りません。椅子にも使うし、中身は市販のサドルなので多分大丈夫でしょう。
サドルそのものを雄型にする、雌型を用意せずにラップフィルムに任せる、といった辺りが自分なりの工夫です。
濡らした革を立体成型するのは「ウエットフォーミング」といって確立した手法があるので興味がある人はそれも調べてみると良いでしょう。
はじめて作る時はまず小さなもので試してみてください。僕はフリスクのケースや筆箱、ペントレーなどから始めました。
サドルが作れるのならばスリッパやバブーシュも簡単に作れるはず。
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まだ試走もしていません。
自転車なので走ってなんぼ、です。
でも見た目はなかなか気に入っています。このまま色が変わっていって濃いキツネ色になった時が、購入前に目論んだ完成形です。
余っていた中途半端な端切れも有効活用できたので嬉しい限り。
クラフト趣味の友人が「端切れを捨ててはならない。端切れを惜しんではならない」と唱えていました。なるほど確かに小さな革でも使い途はあります。
1mm厚のヌメ革はぎれがあれば、縫う技術が無くてもちょっとしたタグや持ち手、カバーが作れます。手芸趣味の人ならあると便利です。カッターナイフと接着剤でかなり活用出来ると思います。
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今週のお題「夏休み」