今の家を建てた時は、まだ蛍光灯が一般的だった。
LED電球も普通に売られていたけれど、いささか高かった。なので新築の家でも、シーリングライトや脱衣所の電灯は、蛍光灯だった。
埋込式の照明、いわゆるダウンライトや間接照明だけがLEDで、ハロゲンランプなどは使用しない。そういった端境期だったので、この10年ほどで順次LED化が進んでいった。
以前、風呂場のランプが切れた時には、電球型の蛍光灯に切り替えた。
その電球型蛍光灯が、この数日で明滅するようになった。
なので先ほど、同じ口金のLED電球に交換したのだった。
自分の想定していた価格よりも、ずいぶん安い。そして明るい。
パッケージには「全方向に明るい」とあったが、確かに眩しい。防水カバーを付けても風呂場が眩しくて、あと2段階くらい暗い電球にしても良かったかと思えるくらい。
とはいえ、明るさというのはすぐに慣れる。
たぶん違和感を抱くのも、この数日だけだろう。
これで我が家のLED化は完了した。
父がぽつりと「人生最後の電球交換だ」と言っていた。
もしかしたら僕の人生でも最後の電球交換かもしれない。もしあっても、故障によるものだろう。
別にさみしいとも思わないが、こうして古い生活習慣(?)が無くなっていくことには不思議な感慨を覚える。宇宙への観光旅行も海底都市も無いが、電球の交換が不要な未来に生きているのだ。