妥協ラーメン

今日もまた志太地区や榛原郡の沿岸部へ行っていた。
同行者の希望で入ったのは古い中華料理店。
最近、昼食をとるのはこういう店ばかり。
今日はお弁当の用意は無かったが、外食にしても中華・食堂系は避けるつもりだった。
良いパン屋を探してサンドイッチでも買って、素敵な公園でひとり静かに食べたかった。

でもまあ、そういう面倒な希望は、複数人で行動する時には叶えられないものである。うまく提案することも難しい。もとより、同行者達よりも強い動機があるわけでもない。

 

 

そんなわけで小さくて古い中華料理店へ入ったわけだが、本当にのんびりとしたお店だった。
厨房を切り盛りする老夫婦は、テレビニュースの進行具合によっては料理の手を止めてしまう。鉄板に並べる直前の餃子は作業台に置かれ、お玉で計っていた調味料は戻されてしまう。もちろん注文を聞きにくることもない。

さらに、僕は炒飯を注文したのに、ラーメンが届いたのだった。
テーブルで受け取るときに「えっ」と言ったら店主も察したようだ。ずいぶんと柔らかな調子で「これ、替えたほうがいいかな?」と問われたので、そのままラーメンを食べることにした。「申し訳ありません。すぐ交換します」と丁寧に言われたら憤慨していたかもしれない。それでも勿体ないから、不満を抱えながらラーメンを食べただろう。
でも、のんびりと「いいかな?」と問われると「ラーメンでいいじゃないか。何が問題なのだろう?」と、こちらものんびりとした気持ちになってしまうのだから不思議だ。

実際、このラーメンはきちんとおいしかった。
脂も出汁も塩気も控えめな、昔食べた味だ。
ナルトは鮮やかで、チャーシューはみっしりと密度があり、麺の量は程よい感じ。僕達よりも後に来た人達は餃子ばかり注文していたから、餃子が有名なのかもしれない。でも僕は、炒飯でも餃子でもなく、このラーメンで満足したのだった。

食後に近くの海岸を歩いてから帰宅。
午後のほとんどは自宅でパソコンに向かっていた。キーボードを叩きながら、昼食のことを思い出していた。「店の選択も、メニューの間違いも妥協してしまった」と思ったけれど、思っただけで後悔は無い。
そういう木曜日だった。

 

お題「わたしの癒やし」

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