庭のキュウリが採れはじめた。
田舎の家庭菜園にはよくあることで、父は過剰に苗を植えていた。うまくいかなかった時のことを考えると、ついたくさん植え付けてしまうのだ。
しかしキュウリなんて、放っておいても育つもの。まず失敗しない。
数日前に1本目が見つかり、「初物だ」とおいしくいただいた。
そして、今日になっていきなり、6本も収穫できてしまった。
こうなると我が家だけでは食べきることができない。
近所や知人、親戚に配ることを考えたが、少し躊躇してしまう。なにしろ自分たちは、冬場に大根や白菜、春にはキャベツ(虫食い多し)やタケノコを大量に届けられて大変だったのだ。
それに田舎の年配者におすそ分けをすると、贈り物の応酬が始まってしまう。キュウリを起点に、そういう不毛なやり取りを続けたくはないのだ。
加えて、おそらく数日中に、近所の高齢世帯からキュウリのおすそ分けが届く。田舎では似たような人達が似たような生活をしているから、収穫する野菜も似てくるのは当然なのだ。
対策は必至である。
取り急ぎ数本は親戚に届け、残りは自宅で消費することに決めた。
農家をしている知り合いに大量消費策を聞いてみたところ、乾燥させるべしと返信があった。
ちょっと調べれば「干しキュウリ」の情報はたくさん見つかる。
完全に乾燥させるレシピもあれば、半乾きにして料理に使うものもある。とりあえず後者を試してみる。
- キュウリはピーラーで全体の1/4ほどの皮を剥く。
- 約20mm幅の輪切りにする。
- 塩水に通したあと、ペーパータオルで水気を切る。
- ペーパータオルを敷いたザルに並べて日陰干しする。
- 8時間ほど干して半乾きになったら完成。
今日は午後から天気が崩れ始めたので、まだ十分には干せていない。夜は冷蔵庫に移して、明日以降に追加で干すことにした。
現時点で水分が浮き上がるようなことはなく、食べてみると甘みが強くなっている。
レシピサイトによれば、8時間ほど干した後には調味液(砂糖と酢と醤油など)に漬けたり、炒め物などに活用するようだ。
父が火を通したキュウリを好まないので、唐辛子や胡麻油を加えた中華風の漬物にする予定だ。
正直なところ、全体がむにむにする位に干したとしても、体積はそれほど減らない。
ただ、料理の幅が広がることはありがたい。
毎日が生食あるいは浅漬けばかりでは飽きてしまう。酢の物、生姜などと刻んで冷奴にかける、サラダ、酢漬けに海苔和え。老人と中年の2人暮らしは食が細くなりがちなので、キュウリなんていう水分ばかりの野菜でボリュームを増やすわけにはいかないのだった。
あまり期待はしていないが、日持ちだって生よりは伸びるだろう。
調味液の濃度が(生よりも)薄まらないから、お弁当などでも使いやすいはずだ。
そんなわけで、この干しキュウリが、この夏には習慣になる予定だ。
ちなみにナスやシシトウやゴーヤーも後に控えている。そんなにたくさんは食べない野菜を、父はどっさり植えてしまったのだ。
トマトだって、同じ種類のものを同じ時期に植えたから、収穫時期が重なっている。
困ったものである。