福袋というものがある。
ほとんどの場合、年始に売り出される。
中身が見えない袋に商品が詰め込まれたもので、一種のサービス品だ。
少なくとも商品価格の合計は、福袋の売値よりも高くなる。
自分はこの福袋を買ったことがない。
それを言うと、ことさら強く反応する人がいる。
「きっと福袋を嫌いなのでしょう」「福袋を買う人達を馬鹿にしているのでしょう」と怒ったような口調で言ってくるのだ。
どういうわけか、福袋に対しては"中立でいてはならない"世界観を持つ人がいるようなのだ。
煙草や飲み会やロードバイクでもそういう発想の人はいる。一部の宗教もそうだ。
福袋もまた、それらと同じように、アドレナリンをどばどば出して夢中になって楽しめる存在なのだと想像する。
これといった特別な理由はないが、今年は福袋を買ってみたくなった。
自分は(いくぶん)甘いものが好きなので、大好きな焼き菓子屋さん「bikini」の福袋を人生初のものとして選んだ。
大袋と小袋があり、自分は小さいほうを購入。
なるほど、ずいぶんとお得だ。まだ中身を全部見ていないが、焼き菓子の数が多い。
賞味期限も十分にある。
そして、自分で内容が選べないから、まるで人からプレゼントされたみたいな楽しみがある。明日は何から食べようか、と悩む楽しさだ。
これは自分で食べたいものを財布と相談しながら選ぶ、普段の買いかたでは得られないことだ。
なるほど、祝祭である。
この焼き菓子の福袋で味をしめて、来年から服やアウトドアグッズのそれを買うことにはならないと思う。bikiniのパウンドケーキやクッキーならどれが入っていても大歓迎だが、靴下やシャツは自分で選びたい。
というわけで、なかなかおもしろい体験だった。
食べるのは明日から。だから、今日は中身の精査もしていない。ちらっと見て大好きなクッキーが見えて、その奥にも色々と詰まっていて「ずいぶんたくさん入っている」と驚いただけだ。
詳細は明日のお楽しみ。むしゃむしゃ食べるのはもったいない。