碧南海浜水族館

昨日に行った碧南海浜水族館について書く。
すばらしい場所だった。

愛知県碧南市の沿岸部、埋立地と引込線と工場ばかりの土地にある臨海公園。その一角にある、こぢんまりとした水族館だ。
科学館やビオトープも併設していて、おそらくは地域の子供達のための施設なのだろう。

だから、入ってすぐの大水槽も、それほど立派ではない。
近海のサメやエイやタイ、それに青魚の類がゆったりと泳いでいる。

サンゴ礁の魚やクラゲ、チンアナゴといった楽しい水槽もあるし、地元の海水魚や淡水魚の展示も充実している。カニやエビもたくさんいる。珍しいところでは、フジツボの飼育などもしていた。

トンネル水槽などの派手な施設は1つもないし、建物そのものは広くはない。雑に見ていけば30分で順路を終えるかもしれない。

でも、1つひとつの水槽がとても美しく、自分はこの水族館が大好きになってしまった。魚たちは元気。説明パネルを読んで水槽に目を移すとそこに生き物がいる。ただ生き物がぼんやりと収まっているような水槽はひとつもない。
なにより、水もガラスも擬岩も綺麗なのが印象に残っている。決して新しい水族館ではないけれど、水槽だけは先月にリニューアルしたみたいにぴかぴかなのだった。

公営の水族館だからか、説明表示が丁寧なところも好感が持てる。
昨今の流行でスタッフの手作り案内表示が多いのだが、ゲームやバラエティ番組のパロディじみた内容はひとつもない*1

 

建物の半分は、学習施設あるいは科学館というべきスペースになっている。
土地柄か、伊勢湾の自然や環境問題についての展示が多い。ワークショップが開けそうな部屋や、隣接する干潟の情報もある。
どの展示も生真面目で、丁寧に作ってある。壁に描かれた鳥たちのイラストも含めて、落ち着いている。
すぐに面白おかしくバラエティ番組的に盛り上げようとする昨今の風潮とは逆行するが、自分はこの水族館の真面目さ、抑えた雰囲気が大好きだ。
まさか通路の壁画を眺めるために順路を2周するとは、自分でも予想外だった。しかも芸術作品でもない、ペンキで描かれた干潟の鳥の絵だ。
これ、通路の入り口から見た時に歪んで見えないように、騙し絵的に描かれているのだ。だけど、その事に関する説明がない。万事このように控えめな水族館なのだった。

なんとなく、大好きだった(そして閉館してしまった)静岡市清水区の「東海大学海洋科学博物館」を思い出す水族館でもあった。気に入った理由の1つであることは間違いない。
規模は小さく、目玉商品的な水槽もない。自分だって頻繁に再訪することはないだろう。だけど、昨日の1回だけで、大好きになってしまった水族館だ。

こういう場所は、なかなか無い。近所にあったら通ってしまうカフェ、みたいなこぢんまりした素敵な場所を見つけてしまった。

 

maps.app.goo.gl

お題「ささやかな幸せ」

*1:小規模水族館にありがちな貧乏自虐ネタもない。

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