映画「ククルス・ドアンの島」

午後の空いた時間に、映画館へ行ってきた。
今日観たのは「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」。

子供の頃に見たTVアニメ「機動戦士ガンダム」の1エピソード「ククルス・ドアンの島」を原案とした劇場版アニメ。20分の作品を2時間近くに伸ばすのだから多くの改変があるはずだが、きちんと名エピソードの「ククルス・ドアン」だったので感心した。

ただ、いささか古臭い。
監督が当時のキャラクターデザイナーでディレクター、そして周囲を固めるのが若手という体制。
若手が監督と80年代アニメを強くリスペクトしているのだろう、昔のアニメの"くさみ"みたいなものまで完全再現していた。コメディパートが多いが、長い劇場映画としては、いささか浮いてしまっているきらいがある。

声優も、何十年も続演している主人公などベテランの「アニメっぽい」演技と、若手声優の普通っぽい喋り方(特に子役たちの演技が凄かった)とが噛み合っていない感じ。

モビルスーツ(ロボット)同士の戦闘も、殺陣のように勝敗が決まってしまう場面が多くて、ちょっと残念。すれ違った後にザクリと胴が切れて、やられる側は末期の台詞を吐いて死んでいく。

総じて新味は感じなかった。監督やベテラン達の”老い”を強く感じてしまう。


昨今、アニメに限らず様々な古い作品のリメイクが行われている。技術が追いついたのか、オタクの夢みたいに上手なリメイクが当たり前になってきた*1。そういう作品でも、"これから"に繋がる新しいものが感じられるのだが、「ククルス・ドアン」はそれが無い。

CGで綺麗に動く背景やモビルスーツは他作品からの有効活用だろうし、今後このフォーマットで昭和の作品を作っていくのだとしたら、その第一歩として新しいのかもしれないが。

なんだか厳しいことを書いたが、きちんと料金分は楽しんできた。
料金といえば「特別興行料金」として、サービスデーも優待券も関係なく1900円だったのは気になるところではあるが、ガンダムファンなので考えるは止める。

そういえば、今回は富野由悠季氏が制作には関わっていないようだ。
これも結果的には良かったと思う。「生命力」とか「未来の子供達へパワーを」とかエロスとタナトスとか、そういったメッセージは、この作品には合わないので。

待ちに待ったわけでもなく、映画館で観るつもりもなかったのだが、行ってみれば本当に楽しい時間を過ごせた。"ガンダム"を長く楽しんできた人達には、強くおすすめできる。

 

 

お題「ゆっくり見たい映画」

*1:邦画は…まるで駄目だ。

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