家族の入院の件で、病院に行ってきた。
医師から説明を受け、今後の方針などを聞き、何枚かの書類にサインする。
それだけで、僕も父もすっかり疲れてしまって、夕食は外で済ませることにした。
帰宅すれば醤油麹に漬けた魚の切り身もあるし、そろそろ食べておきたい煮物もある。庭のキュウリだって、どんどん大きくなっている。
でも疲労は全てを正当化する。心的な疲労ならば、なおさらのこと。
といっても(繰り返すようだが、なにしろ疲れているので)店を選ぶような元気はない。食べたくないものは沢山思い浮かぶのだが*1、それ以外の要望は出てこない。
結局、ごく庶民的な蕎麦屋さんに入ることにした。
蕎麦打ち趣味の父にとっては、普段ならば絶対に入らない店だ。
彼にとっての蕎麦屋とは、山奥の古民家にあって、ざる蕎麦が1400円くらいして、しかも少なくて、店主が「最初は水で、次はこの粗塩でお召し上がりください。今すぐに!!ほら今すぐに!!!」とか言い出すような、こだわりの店なのだ。
外回り仕事の勤め人がランチセットを食べにくるような店は、それこそ退職して以来ではないだろうか。
僕にとっても珍しい店ではある。
自分は外食ではもう少し"特徴のある店"を選びがち。蕎麦屋ならば、ワニ肉やダチョウ肉がメニューにあるのならば、行ってみたいと思う*2。
でも今日は、気の利いた店を探す気分ではないから、こういう店で良かったのだ。
とにかく僕も父もぐったりしていた。でも、メニューを見たら色々と迷ってしまう。
そして、「今日は食欲が無い」と言いながらも、小さな蕎麦と丼のセットなどを注文してしまうのだった。
僕は天丼と、冷たい蕎麦のセットを選んだ。
天丼には苦手なナスとピーマンが入っていたが、でも全体としておいしい。甘めの味付けは、昔ながらの蕎麦屋といった感じ。
蕎麦も、すっきりとした口当たりで、いわゆる手打ち蕎麦とは全然違うけれど、これはこれですばらしい。
二人でへろへろと店に入ったのに、食べ終えたときは「いいお店だったね」と言い合えるくらいにはなっていた。
そして今。
また父も僕も、ぐったりとしている。なんとかシャワーを浴びて、明日の準備をしたら、もう今日は寝るだけ。
考えれば考えるだけ心身ともにダメージを受けるタイプの疲労なのだ。そういうものは、天丼と冷たい蕎麦のセットでは癒せない。父はビールを飲んだが、アルコールが効くとも思えない。
というわけで、もう寝ます。おやすみなさい。