所用にて早朝から掛川市へ行っていた。
昼前から自由な時間は少しだけできた。掛川で2時間あれば、そして金土日ならば、僕は資生堂アートハウスと企業資料館へ行く。
いつ行っても居心地が良い場所なのだ。
無料施設なのに展示が充実していて、ふらっと訪れても存分に楽しめてしまう。
アートハウスでは、現代作家の工芸品と普段の生活を結びつけた展示と、収蔵作品と詩歌を並べて見せる展示があった。
前者は「上質な生活」が形になったようでおもしろい。
現代の工芸というと「すごいのはわかるけれど、生活に取り入れるのは難しそう」な尖ったものが多いが、そういうものも展示では使いこなしている。デザインコンシャスな家ならば*1、工芸の賞をとるような作品を普段の生活に使いこなすのかもしれない。そういうものをガラスケース越しに見るのは、なかなか興味深いのだった。
後者は、芸術作品は油絵や日本画、漆器など。それに合わせる詩歌は古今和歌集からハイネまで多種多様。解説も丁寧で、斬新ながらわかりやすい。
こういった企画展も良いが、僕はこの建物そのものが好きなのだった。
庭園を見渡す場所にあるチェアに座り、ぼうっと過ごす時間が贅沢。これでコーヒーでもあれば最高なのだが、無くても(もちろん)最高である。
企業資料館には、資生堂の創業時から現代までの広告・製品・企業活動がどっさり詰まっている。明るくて広い室内に、しっかりと分類されて並んでいるので、とても見やすい。
資生堂という会社はとにかく資料が残っている。創業時からデザインやアート・カルチャーに深く関わっている会社なので、化粧品に興味がなくても楽しめる。
化粧品というのは広告などで意外と目にしているので、全く関わりのない商品でも「あ、懐かしい」と思えるものがある。10年前や15年前のシャンプーの広告ポスターなど、今では歴史資料として楽しめるのだった。
資生堂アートハウスと企業資料館で時間を過ごした後には、少し離れた「生物循環パビリオン」に立ち寄ってみる。
立ち寄る、というかこの「パビリオン」のすぐ近くで用事があったので、散策ついでに行ってみたのだ。
果たして「生物循環パビリオン」とは、ただの市営の上下水道管理施設だった。いわゆる衛生センター、下水処理施設である。
おそらくPR・学習施設があるのだろう。ただ、市営の施設に予約無しで入れるとは思えないし、実際に入口は閉まっているようだった。
Googleマップにオススメされて、たいして調べずに行ってみただけ。正直なところ名前負けの感がある。でも、別に損をした気はしない。
この「生物循環パビリオン」や隣接する市役所、そしてその周辺は、高低差がある地形とたくさんの線路*2や河川が交わり、なかなかおもしろい風景となっている。
少しの時間だが、散策できて楽しかった。
仕事も家事も大変なことばかりで疲弊したが、この資生堂アートハウスと企業資料館のせいで、今日は良い日だったと思えている。生物循環パビリオンについては、「正体がわかって良かった」と思うだけだ。