夕方に病院へ。今日は入院している家族に着替え等を渡す日。洗濯物や本の受け渡しはできるが、入院患者のいる棟へ入ることはできない。
行くだけでそれなりに忙しいのだが、合間の時間に映画を観てきた。
今日の映画は「ハッチング 孵化」。
好きな人は予告編だけで大好きになると思う。
ホラーやスリラーではよくある筋書きの物語。
無垢な少女が偶然か必然か「おそろしいもの」に出会う。幸せそうに見えていた家族の"嘘"に触れるたび、その化け物は成長し、やがて悲劇が…といった話。
冗談みたいに幸せそうな家族だが、冒頭3分で既に嘘臭い。
特に北欧素敵ライフを配信するママは別格なのだが、パパの歪みかたも凄い。これなら怪物が育ってしまうのもわかる気がしてくるのが、この作品のおそろしさだろう。
年齢制限がある映画らしく、むごたらしいシーンもそれなりに多い。
ただ、血や死体だけではない、生理的に多くの人が嫌うものが当たり前に登場して、しかもその気持ち悪さが全て物語に必要なのだから参ってしまう。ともすれば大昔の悪趣味ホラー映画になりそうなところを、しっとりとした色使い・質感によって「ミニシアターっぽい作品」になっている。
ところでこの映画の見どころはなんと言ってもラストシーン。
なるほど、ここで終わるのかと感心してしまった。
あまり他人とワイワイ楽しむ作品ではないと思うのだが、ラストシーン後に「どうなるのか」は誰かと話したくなる。そこで「孵化」の意味するところが(劇中の"孵化"とは別に)ひとつ追加されるのだ。
ずいぶんと巧みな作品という印象。なにしろ残酷で不快で痛いシーンも多いから万人には勧められないけれども、でも良い映画だった。
予告編あるいは冒頭シーンで気になる人には、おすすめしたい。