先ほどスーパーマーケットで、知らない壮年男性に声をかけられた。
「おいお前!カレー粉はどこだ?」と聞く。
自転車のヘルメットを右手に持ち、左手にカゴを下げた店員がいるとも思えないのだが、彼には僕が店員に見えるらしい。
ここだけの話、夜にわざわざスーパーマーケットに行く連中は、変人ばかりである。
でもカレー粉が見つからないのは気の毒だ。
おそらく彼以外の誰かが困るはず。台所でカレー粉を使う人間は、カレー粉の棚を把握していると思うので。
なので親切に教えることにした。
天井から下がっている札を指差して「はい、『香辛料・調味料』の表示が見えますか。あの下にスパイスはあるはずですよ」と伝える。
別に「ふたつ向こうの通路です」と言うだけも用は足りる。
でもここで表示について伝えるのが「教育」である。
彼は明日から、自分自身の力で、ルイボス茶でも庄内麩でも、天井の札を見て探すことができるはずだ。
自分の力で探すことができれば、横柄に「おいお前!」と言わずに済む。そして「なんだ店員じゃないのか!」と怒ることもなくなる。
僕だって平和な気分で買い物ができるし、店員だって同じだ。僕以外のサイクリスト*1も、スーパーマーケットで間違って声をかけられることが減るはず。
こうして、教育は社会全体を動かす。
僕は意識が高い人間なのである。
そんな今日の昼ごはんは、藤枝市の中華料理店「香港」で食べた。
ここしばらくは外食が増えそう。普段は行かない店を開拓していきたいところ。
「香港」は、知る人ぞ知る老舗と多くの人が語る(?)中華料理屋。いわゆる町中華である。50年続く老舗らしいが、今の店は新しい。ぱっと見た感じは、居抜きで始めた台湾料理の店(安くてボリュームたっぷり)に見えなくもない。
何を食べてもおいしいと聞いたが、なかでも「ジャジャー麺」が店の看板メニュー。
せっかくなので、このジャジャー麺を選んでみた。
ジャジャー麺は、醤油味の餡をかけた五目ラーメンといった趣の、おいしいラーメンだった。
細い麺に、たっぷりの野菜がうれしい。
味付けは甘辛い。唐辛子や豆板醤の辛さに、かなり強い甘さが組み合わさった、独特の味がする。この甘さは、田舎の日本料理やおせち料理の水準である。
しっかり甘くて、程々に辛い。日本の中華料理らしいと言えるかもしれない。
ところで一般に「ジャージャー麺」といえば肉味噌とキュウリの混ぜ麺である。台湾では、辛い肉味噌の「炸醤麺」を食べた。
この「ジャジャー麺」は、どちらにも似ていない。「辛い何かを載せたラーメン」という要素だけが継承されたのだろうか。
よくわからないが、50年続く人気メニューということで、これはこれで素晴らしい品だと思う。そして「他のラーメンもおいしいのではないか?」と期待できる味でもあった。そういうタイプのおいしさが世の中にはあるのだ。
老舗といっても、至って気楽な店だった。
住宅街の中にある小さなお店で、近所の勤め人が12時頃に一斉にやってくる感じ。そして12:45を過ぎると、急に落ち着いてくる。客も店も静かだったことも印象に残っている。
それが「香港」と「ジャジャー麺」。良い昼食でした。
では、おやすみなさい。
今日は疲れた。ヨーグルトの水切りをセットしたら*2、もう寝ます。