数十年ぶりに遊んだゲームの刺激が強すぎて、日常生活に影響が出ている。
そう、「ゼルダの伝説 Breath of the Wild」の話である。
主人公のリンク氏は、ハイラルの大地を縦横無尽に駆け巡る。そしてこのハイラルという国、石を持ち上げればカエルやお金が隠れているし、板切れは動かせるし、キノコもハーブも採取すれば食材になるし、とにかくなんでもできる。
ただし百年前に大災厄があって今は魔物と自然に支配された、ほぼ廃墟の国でもある。
この世界に夢中になってしまった今の僕は、現代日本の衰退した地方都市においても、「ブレス・オブ・ザ・ワイルド」を感じてしまうのだ。
何しろ実家近くの「昭和の新興住宅地」は蔦がはびこり、門柱は意味ありげに傾き、公園も柔らかく丈の高い草が一面を覆っている。リンク氏だったら、爆弾で吹き飛ばしたり、火をつけているところだ。
いつも行く公園だってリンク氏なら走り回っていただろう。なめらかな起伏の丘と浅い池は、ほとんどゲーム内世界と同じである。毎日ほとんど同じ老人が集うベンチもゲームっぽさを増している。
僕は虚弱な中年男性なので彼のようにはふるまえないけれど、でも脳の隅のほうで「斜面を駆け下りて隣の崖に飛び移れば、より早く移動できる」などと考えてしまう。
大昔、まだ携帯電話がモノクロ液晶だった頃に、似たような状況に陥った。
プリインストールされていたパズルゲームに熱中するあまり、街にあるタイルやブロックも、ゲーム内の価値観で考えるようになっていた。
四角いマスというかブロックを繋げて点数を稼ぐ単純なゲームだった。
あのゲームをやっていた間だけは、マス目状のものをみると、意識の一部で繋げてみたくなってしまうのだった。実生活に影響は無かったはずだが、それでもなんとなく煩わらしいものだ。
小説だって映画だって夢中になるけれど、あまりこういう"現実世界への侵食”は無い。せいぜい、映画館を出たあとに半日くらい世界が違って見えるくらいか。音と映像と操作感覚が、没入度を高めているのではないかと想像はしている。
今日は所用で静岡県西部に行ってきた。
空いた時間に掛川城に立ち寄った。
当然、緊急事態宣言を受けて天守閣も博物館も閉まっている。それでも場内は散策できるし、天守閣も門までは辿り着ける。
こういう場所で、上記の「ブレス・オブ・ザ・ワイルド」を感じてしまうのだ。
誰も見ていないから少し石階段をかけあがってしまったくらいだ(すぐに息が切れた)。樽があったら持ち上げていただろう。
ちなみに今日のおやつ*1は、ブラジルショップにあったレストランの甘いもの盛り合わせ。ビュッフェ形式で、手袋を付けて盛り付ける。
特にプリンがおいしくて、同じものを2回も食べてしまった。
南米ごはん屋さんは、こういう無反省な色使いが素敵。
おっさんも老人も、嬉しそうに、こういうものを食べている。コーヒーではなくて、レモンジュースやコーラを飲みながら、濃厚なプリンを食べている。
今週と来週に、ふたたび西部に赴く予定。
そして仕事や場所の関係で、また同じ店でブラジルごはんを食べることになりそう。ちなみに食事(米、豆と肉の煮物、ラザニア的な何か、サラダ)もたいへんにおいしかったです。
*1:昼食後のデザート