数日前に行った「ウォット」がとても良かったので書いておく。
水産海洋技術研究所のPR施設であり体験学習施設ということで、規模はそれほど大きくない。第一印象は、「子供が課外学習で活用しそうな場所」だった。
水槽は沢山あるけれど、基本は浜名湖と遠州灘、それに海の環境問題等に関するもの。好きなら楽しめるけれど、真面目なものと手作り感溢れるものばかりで、都会の大型施設を期待すると肩透かしを食うだろう。
しかし水産海洋技術研究所が関わっているせいか、あるいは海が近いせいか(敷地は浜名湖に面している)魚の状態は素晴らしい。元気いっぱい、そして展示方法も工夫していて見やすい。
施設やパネル類は、いささか古び始めているものがある。
でも、魚が元気ならば全然気にならない。水族館好きなら、ぜひ行ってみて欲しい。超大型水族館とは別の楽しみ方ができるから。
人も少ないし、入場料も安いし*1、ふらっと散歩気分で遊びに行くのが良いと思う。
実は僕、この場所には関わりがある。
学生時代に所属していた研究室(ゼミ)で、この施設の前身というか元になった研究所に出入りしていたのだ。実験に使う魚を貰ったり、設備を見学した記憶がある。ここに滞在して卒業研究をした仲間もいる。
行くまでの道中で、学生時代を懐かしく思い出していた。
車を停め、館内を巡っている時も、ヒラメやタイを見るたびに、昔の実験や学生生活のことが頭に浮かぶ。
そして展望台に登って、同じ敷地の「養殖棟」を見下ろした時に、「ああ、僕はここにいた事がある」と気がついたのだった。
その頃は外部への開放はしていなかった。今は養殖槽や池の部分も周遊できるようになっている。特徴的なかたち、まだ残っている建物が、昔の記憶を蘇らせる。
せっかくなので食事はその養殖施設群のベンチで食べた。
おそろしく暑かった。でも、ウナギ達の泳いでいる姿を見ながら食べるタコスやキューバサンドはおいしかった。思いがけないところで想定外のものを食べているなあ、と人生の不思議を思いながらの昼食。なかなか悪くない。
というわけで、個人的な事情も込みで、このウォットはお気に入りの場所になったのだった。
それにしても、どうしてここまで忘れていたのだろう。浜名湖自体は、何度も訪れていて、土地勘だってある程度は有るのに。いつもいつも「学生時代はこの辺りの研究所にも行った」「ウォット、いつか行きたいな」と思って通り過ぎていたのだ。
今回は「スズキ産業館」のついで、ちょっとした寄り道のつもりだったから、思いがけない”再開”となった。
もう一つ個人的に、そして地味に嬉しかったのが、トビウオの稚魚を見ることができたこと。
かたちが可愛いし、この小魚は四国生活で何度も出会っていたので。
いちばん安い「ちりめんじゃこ」を買うと、小エビや雑魚の中に、この細くて小さい魚が必ず混じっていた。7割は不純物みたいなちりめんじゃこ、他の土地では見たことがない。低価格よりも、食感や見た目が楽しくて買っていた。日持ちがしない気がするのと、苦みと匂いが(普通の)ちりめんじゃこより強いので、オリーブオイル漬けにするのが専らだった。
なんだか懐かしい思い出とばかりリンクした場所。また行きたい。
*1:駐車場のほうが高い。家族連れが、周囲の公園やキャンプ場を使うことを想定した料金なのだろう。