静岡では探さないと見つけられないが、四国では当たり前に手に入る調味料がある。
「醤(ひしお)」という。
名前の通り、醤油や味噌のご先祖様である醤の形態を今に残している。嘗味噌の一種で、麦麹が使われているあたり、四国でも西のほうの食べ物だと思う*1。
現代のスーパーマーケットで売られている醤は、砂糖や醤油で調味されていて、そのままご飯に乗せる、あるいはキュウリなどに付けて食べるのが一般的。キュウリのそれは、全国的には「もろきゅう」と呼ばれる、つまり「もろみ味噌」の事だと考えるとわかりやすい。
麦や大豆の粒が残っていて「野菜抜きの金山寺味噌」の雰囲気もある。
最近これを何度か買っている。
味噌炒めの類に使うと、簡単に味が決まるので便利。和風の料理で「甘じょっぱくしたい」時に、味噌や砂糖をいちいち出さなくて済むのが楽だ。魚の切り身も漬けると、なんだか凝った料理みたいになる。
たぶん茹で卵や、生の卵黄も良い感じになるのではないか。今思いついた。
なぜかいつも安いし、日持ちもする。量がそれほど多くないのも、一人暮らしにはありがたい。
鶏肉でも豚肉でも、半日か1日前にこの醤に漬けておくと、簡単に味噌漬け味になる。
自分では作らない「こっくりした味」でもあるし、味の染み込んだ肉は焼いても蒸してもおいしい。
今日は、この醤に漬けた鶏むね肉をお弁当に使った。
作業の都合で、湯煎(というか真空断熱調理鍋)を使った。本来ならフライパンかトースターで焼いたほうがぜったいにおいしい。
でも糖分が多いから、焼く時は焦げやすい。
一味や七味唐辛子にも合うし、かなり雑なアレンジを受け付けてくれる便利な調味料だ。どうして全国区じゃないんだろう、と疑問に思うのだが、案外、帰省したら地元の「しずてつストア」で見つかるんじゃないかとも思っている。「我が家では買わない品」は意外と多いから。
さて今日のお昼ごはんはこんな感じ。
紫蘇の葉は、まとめて売られているときに塩漬けにする。葉柄の部分を切り取ると、重ねて漬ける時にスペースを取らない。もちろん切った部分も一緒に漬けておいて、こういう時に活用する。朝の忙しい時には、ちまちまと紫蘇を刻む暇が省けるだけでもありがたい。見た目は紫蘇ではないけれど、きちんと紫蘇の香りがする。
*1:水分を加えると、この「ひしお」になる茶色い麹も売られていて、ちょっと驚いた。いつか買ってしまいそう。