どこにも出かけず家事をするつもりだった土曜日。
朝には瀬戸内国際芸術祭(の伊吹島)に行くつもりだったのだが、たぶん間に合わないだろうと諦めてからは、だらだらと過ごしていた。
でも今日は良い天気。室内より外のほうが過ごしやすいくらい。さらに家におやつの備蓄が無い。
だから家に籠もるのも損な気がしてくる。
遠くから祭り囃子の音が聞こえてくる。どこかの神社でお祭りをしていて、各地区の子どもたちが台車に載せた神輿を引いているのだ。
普段はすっかり忘れていたが、自分の住む土地は古い神社や寺が多いのだった。探検のつもりで自転車で出かけてみた。
神社はすぐに見つかった。
いくつか屋台が出ているけれど、少なくとも昼の間は神輿や神事がメインの様子。境内を散策しても10分とかからない。
なのでその近所にあった喫茶店に寄ってみた。
前々職でお世話になった方々が教えてくれた「良い喫茶店」のひとつ、「珈琲美人 文月」だ。
名前からわかるとおり、おばさん趣味の強い店だった。
お客さんの9割は女性、しかも若い人はほとんどいない。
おばさん趣味ではあるが、趣味は悪くない。店員さんもきちんとしていて、高松の古いお店によくある「まるで自宅のように過ごし知り合いのように接する店員さん」が一人もいない。
また訪れてみたくなる素敵なお店だった。
ここではコーヒーとホットケーキを注文した。
コーヒーは「日陰干しコーヒー」を、ホットケーキは「季節のホットケーキ:栗」を選ぶ。
日陰干しのコーヒーを飲むのは初めてかもしれない。飲みやすい味だった。薄くはないのにたくさん飲みたくなる味。
栗のホットケーキは、ハロウィンの装いになっていた。
9月の初めには雑貨屋や100円ショップにハロウィンの関連商品が並び、ああそういえばそんなイベントが秋には来るなあ、と把握はしていた。でも自分の生活には全く関係ないから、このハロウィン・ホットケーキは少し意表を突かれたかたちである。
静岡に住んでいる時も、三重の時も、カフェやケーキ店には頻繁に行っていた。だからハロウィンもクリスマスも節句も収穫祭も、何かしらのかたちで楽しんでいた記憶がある。しかし今はその辺の“機微”にすっかり疎くなってしまった。
友人がいない土地で一人で暮らすというのは、こういう事だ。不便ではないし、この事自体は寂しいとも思わないけれども、ここまで極端な(ひとりの)生活は人生で初めてだからその感覚は未だに慣れない。
お祭りを見物して、喫茶店に行った。
スーパーマーケットとユニクロと無印良品にも行った。無印良品では靴下を買った。
それ以外は特に何かをした訳でもない。新しい収納家具の図面を描いたけれど、まだ材料の調達もしていない。
天気や気温と同じく、穏やかな日だったといえる。物足りないが仕方がない。充実して忙しくて出鱈目で、疲れ果てて失敗ばかりの日よりもよほど良い。
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