午前中に部屋の片付けを済ませて、午後は高松市の中心街へ出かけた。特にこれといった目的は無いが、久しぶりに喫茶店にでも行こうと思い立ったのだ。
高松市の中心街は、日本一の規模を誇るアーケード街でもある。
今日のような雨がいつ降るかわからない時には便利だと僕は思うのだが、郊外のショッピングモールほどには混雑していない。自分だって郊外のイオンのほうが、買うものが多いと思う。
しかしいわゆる「旧市街」のわりに賑わっているとは思う。
特にお年寄りが目立つ。こんなにたくさんのお年寄りが昼も夜も出歩いている街は珍しい。
古い喫茶店だって現役である。
有名な「城の目」や「皇帝」もあるし、和菓子屋の喫茶コーナーもお客さんが絶えない。
官庁街にある「アン」はラーメンが有名で、ラーメンを食べてからコーヒーを飲む人が多い。うどんがある店もある。こうなるとなんだかよくわからないが、とにかく「安い食事、喫煙可、長時間滞在OK」というのがこの土地の喫茶店である。
だから名古屋のようなモーニングメニューがある店も多い。
仕事の知り合いは「朝は基本食べない、必要ならばモーニングかうどん」と言っていた。小さくても都市型の生活ができる街なのだ。
そして今日訪れた店「グレコ」も、安くて美味しいメニューで愛されている。
ちょうど3年前の今頃に観光で高松市を訪れた時に、この店は気になっていた。昼間は島巡りをしていた(瀬戸内国際芸術祭2016)うえに、四国にまで来て喫茶店も無いなあ、とその時は店に入らなかった。
それから数年前、出張で高松市に長期滞在した時、この「グレコ」でコーヒーを飲んだ。
そして昨年、この店の近くが勤め先になった。あまりに近いと訪れる機会が減るのだが、それでも打ち合わせの後にコーヒーを飲んだり、あるいは「グレコに行ったついでに」と立ち寄ってくれるお客さんがいたりと、何かしら縁がある店なのだった。
だからいつの間にか、高松の古い喫茶店の、個人的スタンダードが「グレコ」になっていた*1。
グレコといえば、モーニングと「豚の生姜焼き定食」と、そしてパフェだ。モーニングは1日中やっている(!)。なぜ豚の生姜焼き定食が有名なのかは知らないが、これ目当てに訪れる人もいるようなので美味しいのだろう。どんな時刻でも、何かをじゅうじゅうと焼いたり炒めたりしている音がするから、食べ物全般が美味しいのかもしれない。
パフェはそれらに比べたらいくぶん影が薄い*2。
取引先の会社では、仕事の区切りの後に社長が(取り巻きの女子社員だけを連れて)この店のパフェを食べるという変な風習があった。
また、街で会った知り合いが「今からグレコでパフェ食べるんやー」と嬉しそうに教えてくれたこともあった。だから「グレコのパフェ」はひとつの「喜ばしい日常の彩り」として、この街に定着しているのだと思う。
確かに良いパフェだ。
今どきのそれに比べるとさすがに地味である。“普通”と言ってしまえばそれまでのありきたりなパフェ。
季節のフルーツ*3、そしてバナナやオレンジが盛られた下にはバニラアイスと生クリームが詰まっている。メロン味のフルーツソースも入っている。
しかしこれが店の雰囲気にも合っていて、食べているだけで嬉しくなってしまうのだ。
バニラアイスは程よく柔らかいし、フルーツは生のものを飾り切りして使っている。これで600円、インスタ映えやキルフェボン的な特別感なんてまるで無いけれども、素晴らしいではないか。
レトロ喫茶好きの若い人から地元のお年寄り、平日は勤め人も多く訪れる。今日はとても静かだったが、賑やかな時は「幹線道路沿いのコメダ珈琲」より賑やかになる。でもコメダのそれは騒音だが、この店では喧騒として受け入れられる。古い喫茶店贔屓を差し引いても良い店だと思う*4。
古い店だが有名店なので、旅行者や慣れていない人にも優しい。PayPayが使える事も僕としては有り難い*5。
というわけで、今日はパフェを食べて幸せでした。
他には髪を切ったり、秋の服を買ったりしたけれど、そのへんはどうでもいいです。
本日はパフェの日、それで十分。
おやすみなさい。
多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。 (Sanctuary books)
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