静岡に帰省したら行ってみたかったカレー屋さん「ジャイアン」でお昼を食べた。
映画館「静岡東宝会館」のすぐ横の道にある、かつては大人のお店、かなり怪しいアダルトな店だったところ*1。
近くには水商売の小さなお店や横丁がある。横丁は若い人達が新しい店を始めていて、なかなか面白いことになっている*2。
そんな店だから店内も小さくて猥雑な感じがする。壁にはライブやクラブイベントのフライヤーがべたべた貼ってあって、あちこちに本やレコードが飾られてる。
身体の大きな店主さんがひとりできりもりしている。
カレー店というよりカツカレー専門店で、量が「普通」と「小」を選べるだけ*3。メニューはシンプルだが、後で書くようにとても手の込んだひと皿なので、混んでいる時はそれなりに待つ。店主さんはひたすら腰が低いが、カレーはきちんと主張が強い。
その「ジャイアン」のカツカレーはこんな感じ。
ターメリックかサフランで色づけされたご飯は、ちょっとだけ細長くて硬め。
肉も野菜もたっぷりの、辛みをつけたデミグラスソースみたいなカレー、そしてスパイシーなキーマカレーの2種類がかかっている。トンカツは160g程度と壁に書かれていたので、これだけで十分過ぎる量だ。
しっかりと味があるカニクリームコロッケも添えられている。
目玉焼きと福神漬け、スライスされた玉葱も少し。
なにしろワンマンオペレーションなので水はセルフサービス。
そしてなぜかあちこちに置かれているカルピスの原液。これはセルフ式のラッシー的なものなのだろう。ただし他のお客さんでセルフカルピスを楽しんでいる人がいなかったので、自分も試さなかった。食事中に甘い飲み物はあまり飲まない質だから、水で十分。
さすがカツカレーだけで勝負する店である。
本当に美味しい。カツカレーに求めるものが全て皿の上にある。自分が求めていないカツカレー的なものまで用意されている。全国大会レベルの味だと思う。
場所もわかりにくいし看板は未だにアレで、しかも完売したらその日は閉店という店なので気軽には行けないけれど、街に行った時の有力な選択肢として覚えておくと幸せになれると思う。大盛りの店だが大食いバカ食いの雰囲気でもないことも好ましい。
個人的には、「カツカレーをがつがつ食べたい」と魂に火がついた時の第一選択になり得る店だ。見た目は正統派の「カレーライスとトンカツ」ではないけれど、それでもこれは100%の、あるいは160%のカツカレーだった。
全体的に男性向きだが、ラーメン屋さんでこってりしたラーメンを食べる(食後のお喋りはしない)女性なら抵抗なく入れるだろう。店が狭いから少人数のほうが望ましい。
「ジャイアン」という看板は表に出ていないので「黒猫」を探しましょう。
しかし世の中には色々なお店がある。
ふた昔前のカフェ乱立期を思わせるアングラノリとこだわりの店が今も新しく生まれ、そして人気店になっているのは嬉しい限り。「街」はこうでなくては。