元号が変わっても何も変わらないだろう、と考えていたら、なんだかもうびっくりするぐらいに自分が老いていた。老化という言葉がぴったりの、私生活と仕事と心と身体のトラブル、今までならあり得ない悪い事がまとめて発生している。
すっかり嫌になってしまった。全然元気が無い。
しかし1人で知らない土地に住んでいると、こういう時に逃げ場がみつからない。行きつけのお店も無いし、友人だっていない。しばらく連休だって無い。無い無い尽くしである。
そんなどん詰まりの状況だったので、お昼には「へちま文庫」に行った。本は買わなかったけれど、でも古本を眺めているとそれだけで少しだけ落ち着く。何も癒やされなくとも、好きな店の好きなものは自分を支えてくれる。
それからカレーを食べた。
この古本屋は水曜日にカレーを出すのだ。
カレーは優しくて複雑な味の、素朴なもの。手作りカフェっぽいカレーの上級版といった感じ。
一緒に頼んだタルトとチャイも良かった。
上述のようにぎすぎすした生活であっても、美味しいものを楽しめる。仕事の合間だったのでちょっと無理がある訪問だったが、無理して本当に良かった。
ストレスが原因で冷蔵庫の中のものをむしゃむしゃ食べる、なんて描写が漫画や映画ではあるけれど*1、僕も今は「食」への衝動が過剰になってしまっている。
愛読しているcimacox ( id:cimacox )さんのブログ「生きるとは自分の物語を創ること 日々のじだんだ ~明日に向かって撃て~」に沖縄旅行に行く旨の記述があり、自分なりにオススメの場所をコメントした。
沖縄、良い土地だ。定期的に行きたくなる。風土から歴史まで、行く度に好きになるものが増えていく。
何しろ食べ物が美味しい。安い食堂の定食から郷土料理、有名な沖縄ソバ、そしてアメリカ伝来の各種料理、お茶やお菓子もいい。
そういうものを思い出していたら、唐突にステーキが食べたくなってしまった。沖縄の、あの阿呆みたいなステーキ。ガイドブックに載っているようなお店でいいから、普段は食べない量の肉をひたすら食べたい。後半に後悔するくらいの量が食べたい。
しかし沖縄は遠い。高松空港までは車であっという間だが*2まさか休みをとって沖縄に飛ぶわけにはいかない。でも、ステーキは食べたい。他のものは食べたくない。
幸いなことに、先ほどスーパーマーケットでそれなりのサイズのステーキ肉を買うことができた。連休用に用意された“ごちそう”っぽい素材が半額シールを貼られて売られていたのだ。質は期待できないが、サイズと重量は立派なものだ。
今からこれを焼く。
下拵えは済んだ。付け合わせのニンジンとジャガイモも用意した。
塩胡椒だけで食べる。他には何も要らない。
食べたら、お風呂に入って寝る。
何もかもが上手くいかないのだから、美味しいものを食べてやり過ごす。洗濯とか手紙の返事は後回し。健やかとはとても言えない状況ではあるが、他にできることもない。自分を甘やかすために、肉を焼く日があってもいい。