自分が住む香川県の高松市は、細くて入り組んだ道が当たり前に使われている。用水路も多く、蓋どころか柵も無いところが多い。
この、柵が無い用水路については、岡山県が有名だったはず。静岡県などは神経質なくらいに安全対策がされていて、誰も通らないようなところも柵で囲われている。確か整備状況と落下事故に有意な相関があって、件の岡山県は早急に対策を進めているのではなかったか。
とにかくこの用水路、高松の細い道と組み合わさるとなかなかに怖い。土地と土地の境目を道路としている、いわゆる路地も多い土地だ。軽自動車でもすれ違えない程度の細い生活道路は当たり前にある。それらが曲がりくねって網の目を為しているうえに、暗いところも多い。知っている道でも夜はひやりとすることがある。
先ほど、自転車で散歩兼買い物をしていた時に、用水路に落ちている老人を発見した。歩行補助用の電動車みたいな乗り物とともに、幅2mほどの用水路に落ちていた。
とりあえず老人を助けていたら近所の人達が集まってきて、警察と救急車も来て、一件落着。まだ連絡は無いが、老人に大きな怪我は無かったと思う。
靴はぐちゃぐちゃ、ズボンも処分するか洗うか迷っているところ(とりあえず浸け置きしたが、汚れが取れるかどうか不明)。
服と靴下にピンク色の臭いものがべっとりと付いていた。
懐かしい、ジャンボタニシの卵塊だ。
高校生の頃、生物部で、このジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)の分布調査を行った経験がある。調査と併行して、なぜ静岡県中部に移入したのか等も調べた。食用として持ち込まれたものが養殖池から逃げた(というか養殖事業が失敗した)という話、その失敗した業者まで突き止めた。
食用ならば味はどんなだろう、と何度か試食したけれど、泥抜きをして、何度も洗って、しっかり茹でて、それでもほんのりと臭みがあって硬くて、あまり美味しいと思えるものではなかった。
清水環境で育てても、「美味しい貝」に求められる味にはならなかった。
少なくとも、海のある県で売れる代物ではないと思う。海外から持ち込まれた食用淡水生物、失敗の要因のひとつが「味」ではないだろうか。最近、ティラピアをスーパーで見かけるけれど、まだ買ったことがない。バンガシウスは、ちょっと特徴がなさ過ぎるくらいの「味も素っ気も無い白身魚」だった。ベトナム旅行で食べた時は美味しいと思ったのだけれど。
外来魚で食べたいものといえば、沖縄で見かけたプレコ。普通に宿の裏の川に泳いでいてびっくりした。那覇の、国際通りからすぐ近くの川にいた。子供の頃に飼っていたものより大きくて、身体も太かった。
見た限りでは、高松におけるジャンボタニシは、それほど大型化しないようだ。これは全国的な傾向だと聞いた。真夏の水不足をどうやって乗り切るのだろう。
しかし変なところで、大昔の思い出が引き出されるものだ。まさかあのピンクの卵の臭いを覚えているなんて、我が事ながら想定外である。