新しい潮トンネルを歩く

国道1号線のバイパスのうち、島田市から藤枝市にかけての区間藤枝バイパスという。
静岡県を東西に移動する時には便利な道だが、渋滞が多い道でもある。
特に古いトンネルは片側一車線の場所が多く、朝夕には混雑する。

広幡ICと薮田東ICの間にある潮トンネルもそんな場所だ。トンネルとしては300m程度と短いのだが、坂道と併せて慢性的な渋滞の原因になっていた。

その潮トンネルに並走する新しいトンネルを作り、併せて車線を増やす工事が何年も前から続いていた。

新しいトンネル*1が貫通したのが昨年の冬。その後も工事は続き、今日は地元住民へのお披露目イベントが開催された。徒歩で新しいトンネルを歩くことができて、セレモニーや機器の説明なども行われる。

自分は全く地域住民では無いのだが、仕事で関わった人達に誘われて行ってみたのだった。
よく使う道で、一時期は毎日使っていたバイパス。その新トンネルを歩く機会は、たぶん今日だけだ。珍しい機会ではある。自転車での散策も兼ねて、行くことにした。

 

 

なにしろ隣には現行のバイパスが運用中なので、トンネルへの進入路は仮説の歩道のみ。車道になる部分は砕石が敷き詰められていたが、まだ舗装も無いし、照明も仮のものだった。

そういう真っ更なトンネルは、近くに行くと迫力がある。
特に今回は真ん中に立つこともできるので、ちょっとした非日常感があった。

お客さんの数はそこそこ。視界には必ず誰かが入り、ちびっ子の喜ぶ声や泣き叫ぶ声が反響する。賑やかなイベントではないけれど、興味を持って楽しんでいるようだった。

トンネル内には、掘削計画やバイパスの歴史などのパネル展示、救護所、それにいくつかの体験コーナーが用意されていた。

これは国土交通省の対策本部車。災害時に現地近くで働く車だ。
今日は展開した状態で中に入れるようになっていた。
実際には2両を連結して使うこともできるのだという。
トンネルは国交省の管轄なので、こういった直接の関係の無いPRも行われているようだった。

 

 

投光器の車両も防災用。
土木マニアっぽい小学生男児が、この投光器がどれだけ凄いのかを早口&大声で語っていた。「そのへんのものとは違うんだぜ」とのこと。

 

 

これは走行しながら壁面の状態を検査する車。レーザーとカメラでトンネル内壁の状態をマッピングできるのだと言っていた。走りながらの検査ができることは、バイパスや高速道路では重要かつ特別だろう。

工事用車両(モーターグレーダーやパワーショベルのようなもの)や、道路パトロールカーといった働く車もたくさんあった。

写真には撮らなかったが、子供向けに高所作業車への試乗なども行われていた。
絶対に乗りたくないちびっ子と、一生に一度の事だからと乗せたい親御さんとの間で戦いが行われていた。
トンネルの上のほうまでゴンドラで運ばれ、喜んでいる子供達もいた。

 

 

トンネル内は、そこそこ涼しい。
ミストシャワーが各所に置かれていたし、日陰だったせいもあって、なかなかに過ごしやすい。
外に出ると外気温34℃の快晴、そして工事現場そのものの風景が広がり、隣ではバイパスの車が走っている。いきなり暑苦しい。

 

 

お土産も何もない。写真だって、たいして撮らなかった。
滞在時間は30分程度だろうか。

それでも、このイベントには行って良かった。
これから何度もこの道を使う。今年の冬にはバイパスとして運用開始するのではないか。そうなったら、「あのトンネルを歩いたことがある」と、いつも思い出すことができる。話の種にもなる。
ささやかだが、一生に一度のことだ。貴重な体験だった。

 

お題「ささやかな幸せ」

*1:図面では潮トンネルⅡという味気ない名前だった

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