手遅れおじさん・唐揚げ・傘泥棒

手遅れおじさん

ドラッグストアのレジに並んでいた時の出来事。
僕の前に、小さなお子さんがいた。言葉を覚えたてのようで、ひたすら喋っている。母親らしき女性はそれを適当に流している。実に微笑ましい光景だ。

そのうち、その幼子が僕を指差して「ておくれです」と繰り返す。

子供の言うことだから傷つきはしないが、確かに僕には手遅れの事が多いな、と改めて思ったのだった。もはや若くはない。中年という"状態"は、手遅れにさえ慣れてしまうものなのだ。

母親らしき女性は大変に恐縮して僕に謝罪する。
しかし、僕だけでなく周りのお客さんも、それからレジの人も「子供の事だから」と笑っている。とても明るい雰囲気ではあるが、レジフォローに入った薬剤師さんだけが、"明るい"を通り越してゲラゲラ笑っていたのは気になるところ。

薬剤師さんは可愛らしい幼子ではないのだ。他人の「手遅れ」を嗤ってはいけない。これはマナーの問題である。
たとえ僕が手遅れおじさんだとしても、である。

 

 

 

唐揚げ

今日は、とある小さな会社にお邪魔していた。
この会社建屋には「社員食堂室」という大部屋はあるが、厨房は無い。そして、隣接する中華料理店から数種類の定食が届くという、ちょっと変わったシステムが導入されていた。


電話、あるいは直接にその店に連絡をすると、すぐに食事を届けてくれる。麺類を注文している人が皆無だったのは、なにか理由があるのかもしれない。
今日は大雨だったが、雨に濡れずに食べ物を届けることができるようで、店で食べるのと同じ状態でお盆にのった食事が届く。

 

中華料理店といっても台湾や中国の移民の方々が経営しているような店だ。
つまり、安くてボリュームがある。

僕はお弁当を持参していたが、同行者が唐揚げを1皿シェアしてくれた。
揚げたての唐揚げは、とても大きい。5個が積み重なっていて、花椒入りの塩が添えてある。
自作の地味なお弁当と合わせると、いささか異色な雰囲気。外食なのか何なのか、よくわからなくなってくる。中華料理店でお弁当を広げているような居心地の悪さを感じる。

でも、きちんとおいしい唐揚げだった。自宅では、こういうものは作れない。
そもそも家では、唐揚げは塩で食べない。
ソースとケチャップを、各人が好みに合わせて使う。

自宅で揚げ物を作る機会は少ない。唐揚げを買うこともほとんどない。だから、こうして不意に出会った唐揚げは、とてもうれしいものだ。

 

傘泥棒

ところで今日は、大雨だった。
春になれば雨も降るものだが、こんな急な雨は困る。
しかも、午後に立ち寄った訪問先で傘を盗まれた。
「盗む人がいるから印をつけよ。印が無い場合は警備員詰め所で印(テープ)を貰え」と貼り紙があった。僕の傘には印(革のタグ)が付いていたが、しっかり盗まれてしまった。

この場所で盗まれた傘は帰ってこないのだという*1


惜しむような傘ではない。必要に応じて購入した500円の傘だ。タグだって自作の試作品。
でも、車に乗るまでにびしょ濡れになった。
濡れるのは嫌なものだ。
思わず「ああ、手遅れです」と、小さく声に出してしまった。

 

今週のお題「小さい春みつけた」

 

 

*1:警備員詰め所がある施設なのに。

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