先週に我が家へ来た新車について書く。
長く乗っていたマツダ・アクセラを手放し、トヨタのシエンタを購入したわけだが、もう納車から一週間が経つ。
アクセラは良い車だったが、昨年から乗っている電動折り畳み自転車「 BESV PSF-1」には、いささか狭い。
トランクあるいは後席に乗せるのに、高難易度のパズルゲーム的な挑戦が必要となっていた。
それ以外にも様々な理由があって、今回はシエンタを選んだのだった。
全長は32cmほど短くなった。アクセラはボンネットが長い車だったから、狭い駐車場では"鼻先"が出ることがあった。
全幅は10cm短くなり、高さは24cm増えた。
左右で5cmは狭くなったわけで、自宅駐車場での取り回しは良くなったはずだ。
車高が増えたぶん、車内は広く感じる。背を屈めれば前席から後席への移動も簡単、そして荷室でも作業ができる。これはありがたい。
シエンタは、車の種類としてはMPV、あるいは超小型のミニバンとなる。
小型車かつ背の高い車として、フルゴネットのカテゴリとする場合もあるらしい。
トヨタ・アクアやホンダ・フィットの全高を上げて、荷物や人を載せられるようにしたような設計となっている。ある種、とても強引なパッケージングなので荷室は見た目ほど広くないけれど、狭苦しいセダンのトランクを活用していた自分としては、広大な自由空間に見える。
自分が買ったのは(シエンタという名前に反して)5人乗りのモデル。
7人乗りがシエンタのベースのようだが、それほど人を乗せることがない。もっというと、5人だって乗せる機会は少ないのだった。
折りたたみ自転車を2台に、キャンプや旅行の荷物を載せることができる新型車というのが、この車の選定理由だ。今までレザーシートと黒っぽい内装の、それなりに走れる*1セダンに乗っていたから、全くキャラクターの違う車に乗りたかったというのも理由のひとつ。
色はくすんだ青。
売れ筋はライトベージュやモスグリーンだが、それらはあまりにも今っぽいので、今回は少しだけ変わった色を選んでみた。とはいえ、こういうアースカラーっぽい青色も、数年後には「2020年代前半っぽさ全開の色合い」として、古臭く見えるかもしれない。黒い樹脂パーツが多い車だから、真っ白でもかわいかったかもしれない。
外観に関しては満足している。もう少しプレーンな線の少ないデザインでも良かったとは思うが、小さなタイヤ*2を上手に取り込んだ、かわいらしさとベーシックさが同居した良いかたちだと思う。
小さなエンジンとモーターで箱型の車を走らせるのだから、走行性能は大して期待していなかった。実際に、アクセラの時のようにアクセルワークでカーブを走り抜けるような気分にはならない。
でも、一週間乗り回した印象だと、走行に関する不満は驚くほど少ない。
豊富な運転アシスト機能を駆使して、できるかぎりのんびりと走りたくなる車だ。ちょっと把握できない数のアシスト機能が働いていて(しかも各機能はアルファベット3文字で略されていて覚えづらい)かなり頻繁に運転へ介入する。でも、すぐに慣れたし、シエンタと一緒に走るほうが安心かつ安全だと思えるのだ。
でも、今まで何度か借りたミニバン(トヨタ・ヴェルファイアや日産・エルグランド)に比べたら、走りはずいぶんと軽快だ。大きなミニバンはパワーがあっても走っていて楽しくはなかったけれど、シエンタは意のままに動いてくれるので飽きない。人馬一体がマツダ車のポリシーだと聞いたが、シエンタは人機一体の感覚がある。
軽快な小型車を乗りこなしている感覚が楽しい。大昔に乗っていた、トヨタ・ヴィッツを思い出した。
後席を倒せばキャンプ用の折りたたみベッド(コット)がそのまま入る荷室だが、後席を使ったままでもそれなりに広い。高さ方向に余裕があると、自転車などは積みやすいのだった。
室内にはM8のボルト穴が各所に隠されていて、自分はそこに荷掛け用のD環を増設した。ロープやゴムバンドを使えば、折りたたんだ自転車をしっかりと固定できる。
インテリアは安っぽい。価格相応といえる。
プラスチック部品のかたちを工夫して使い勝手を良くする、あるいはおしゃれな感じにするところは、100円ショップあるいは300円ショップを連想させる。
カタログ写真では機能的で夢が広がる車内空間に見えるが、収納そのものは意外と少ない。
センターコンソールが無い事や、シート下などのちょっとした空間まで機械が詰まっているせいで、位置を定めて隠す収納が設けにくい。コストダウンを徹底した結果もあるだろう。
今までセダンに乗っていたせいで、トランクでもダッシュボードでも「収納≒隠すこと」だったのが、いきなりオープンなポケットやラックを活用する世界に切り替わったので、今も少し戸惑っている。
これは、自分で収納箱などを購入し、きちんと整理する必要があるようだ。
色々と手を入れたい気分ではあるが、とりあえず我慢している。
購入直後のテンションでアフターパーツなどを買い揃えても、無駄遣いになるのは目に見えているので。納車日が決まった時に、USB接続用のケーブルやいくつかの電装部品、それに荷室のフックを買っていたけれど、それ以外は素のままで乗ろうと思っている。
そんなシエンタには、まだ名前が付いていない。
友人知人に会うたびに、「新しい車には、新しい名前を付けるべきだ」とアドバイスされた。そんな風習は初耳だが、何人も同じことを言うので従うことにした。
ちなみに無線接続をする時のID的な名前は「Sienta2023」である。スマホでも車でも、購入年を名前に加えておくと、後でちょっとだけ便利なのだ。
「名前は一ヶ月以内に付けましょう」と友人達は言う。車にふさわしい名前が全く思いつかないので、とりあえず運転中の課題としたい。名前を付けても、使い途も無いと思うのだが。