ナイフ・公園・うさぎりんご

暦の上では春であり、実際にここ数日は暖かい日があるけれど、それでもまだ冬は続いている。夜は寒いし、食べ物だって自然だって真冬と変わらない。

今日は朝から晴れていたけれど、昼過ぎに急な雨があった。
こういう天気は、冬では珍しい。

ちょうど(運動不足解消のため)近所の市民公園を歩いていたときに雨に降られたのだった。
傘もいらないくらいに細かな雨。防水性能の高いジャケットを着ていたので、雨そのものに問題はなかった。
それでも、不意な雨に濡れたまま散歩を続けるわけにはいかないから、結局のところ散歩の時間は短くなってしまった。

そういえば、公園にはおかしな男がいた。
丘の上にあるベンチを占領して、ナイフの手入れをしていた。
アウトドア用の、グリップも刃もステンレスの立派なナイフが3本ほど並んでいた。砥石のほかにポンチやプライヤーがあったから、分解作業をしていたのだと思う。
小さな子供も多い市民公園にふさわしい作業ではないと思うが、問題はそこではない。

彼はナイフでリンゴを切っていたのだ。
試し切りなのかもしれないが、いわゆる「うさぎリンゴ」を作っていた。
小雨の降りしきるベンチに置かれた白い磁器の皿に、うさぎを模したリンゴが並んでいるのは、いささか不条理な光景だ。
これで彼の家族でもいれば一応の説明がつくのだが、一人でナイフの手入れをしている人間が、うさぎ形に切ったリンゴを皿に並べる理由がわからない。

ジョジョの奇妙な冒険みたいだな」と思った。もしかしたら「ジョジョの奇妙な冒険みたいだな」と声に出していたかもしれない。

 

 

幸いなことに、ナイフ・うさぎりんご男に関する事件は発生していないようだ。
ならば良し、もうこの件は深入りしない。考えても仕方がないことも人生には起こりうる。ただ通り過ぎるだけの事柄であるならば、固執してもどこにもたどり着かない。

 

 

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