先月より入院している家族(母)の帰宅準備をした。
いわゆる一時帰宅という制度で、入院は続けるが数日だけ自宅に戻るというもの。
体調も考えて、今回は明日からの1泊を計画している。
「帰りたい」という母の要望を汲んでの帰宅ではあるが、他にもいくつか理由がある。
彼女の体調・病状からして今がチャンスである、という医学的な見地からの決断。
そしてベッド数に余裕が無い*1ため、早く"次"のアクションに移りたいという病院の思惑もある。
医師は簡単に「なんとでもなる。今すぐ帰宅だ」という。
数日だけでも受け入れ準備を…と訴えたところ、強く叱責されてしまった。
でも我が家には母のためのベッドもないのだ。
以前使っていたものは介護用品で、もう返却してしまっていた。
そういうものの手配も含め、何の準備も無いまま、薬の副作用に苦しみ、自分ひとりでは歩けず、なにより家族の識別も意思の疎通もほとんどできない状態となった老人を受け入れるのは、それはそれで辛い。
でも医師は「ベッドなんて無くても客用布団を重ねればいい。何かあったら救急車を呼べ。そもそも、そんなに簡単には死なない。そうやって準備だ何だと言いわけをして『もう病院に居たくない』という肉親の言葉を無視するのか!」と怒るのだった。
もしも余命数日なら、僕も父も無理もするだろう。
しかし、状況はそこまで逼迫していない。
となれば、ただ「帰宅したい」という病人の言葉だけで即日の帰宅or退院を強行できないことも、家族としての想いではある。素人の怠惰と言われそうだが、身体の不自由な肉親を世話するにあたり、どうしても慎重になってしまう事情も汲んでほしいものだ。そして、自宅に迎え入れるのならば、多少なりとも快適に過ごしてもらいたいという願いも理解してほしい。ただ短い思考しかできなくなって「もう帰りたい」と言い続ける母の言葉の、数分の1でもいいので。
結局、今日という1日の準備期間を貰って、一時帰宅は明日になった。
介護に関わる人達(ソーシャルワーカー・ケアマネージャー)と打ち合わせをし、介護用品レンタル会社にベッドを手配し、必要な品々について病院でレクチャーを受けてきた。
明日と明後日は、母の看護・介護にかかりきりになる。そのため自分たちの生活についても、できる限りの準備をしている。母も僕たちも食べられるようなお惣菜を作り置きしたり、冷蔵庫の中身を補充したりと、これもなかなか忙しい。
なにしろ初めての事だから、とても緊張している。
考えられる限りの想定はしているが、なにしろ病棟に立ち入ることさえできなかったのだ*2。入院中の状態については、看護師の言葉でしか知らない。
そんなわけで、今の段階で既に妙な疲れ方をしている。
なので今日はもう寝ます。おやすみなさい。