午前中は映画館に行った。
高松市の街にあるミニシアター「ソレイユ2」で「ア・ゴースト・ストーリー」を観てきた。
期待以上に素晴らしい映画だった。
たぶん予告編だけで「観たほうが良い人」とそうでない人を峻別できる。前者にはおすすめ。
最近は以前のように、映画を片っ端から観る習慣が無い*1。そのせいか、最初はいかにもミニシアターっぽいこの静謐でゆっくりしたペースの作品に集中できなかった。エンターテインメント性溢れるハリウッド映画ほどには、意識のスイッチを「映画鑑賞モード」に切り替え難い。
でもいつの間にか、スクリーンの向こうの世界に夢中になっていた。
登場人物が極めて少ない、寂しい夜空のような作品。
ただのシーツ姿の亡霊が佇む世界にどうしようもなく惹きつけられてしまう。愛の話だがラブストーリーではない。
心を残す、という意味では僕だって映画のゴースト(C氏)も僕も変わりは無い。違うのは、僕達は長く残れないこと、魂が浄化されてすぱっと終わることができないこと。
映画館を出てから、特大のため息が出た。
こういう感情はどこに持っていけば良いのだろう。
ところで今日は特段に寒かった。
四国に住んでから初めての、手や足の先が痛くなるような冷えかた。冷蔵庫の中にいるような、外を移動するのに制限時間がある気温だった。
正直なところ、自転車で娯楽の一環として街を探検する陽気ではない。でもせっかくなので街の周辺域を散策した。
お昼は瓦町駅の静かな側にある、老舗の洋食屋さん「アガペ」でAランチを食べた。Aランチというのはこのお店の基本セットなのだと思う。
アーモンド型で整えたご飯と、スープ。ハンバーグとエビフライとトマト味のスパゲティ、サラダというか生野菜。
どれも洋食屋さんらしいしっかりした味わいで、日常の贅沢といった感じ。食べていてにこにこする食事。
ここは、何を食べても美味しいだろう。そういう確信が持てる店を教えてくれた仕事の知り合いに感謝したい。
引っ越してから何度も行っているティールーム「スリール」でチョコレートのタルトと紅茶を楽しむ。
ここはケーキが抜群に美味しいし、紅茶をポットで頼むことができる。
特に今日は小説を集中して読みたかったので、ポットの美味しい紅茶は有難い。結果的にはケーキに夢中で小説はそれほど進まなかったけれど、これはこれで良しとする。
読みたかった小説「天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART2」は、結局夕方から今までかけて読破してしまった。ページ数はそれほどではないけれど(318ページ)、自分にとっては1日で読み終えるつもりはなくて、その衝動に驚いている。
完結まで残り1冊。なるほど風呂敷がするすると巻き込みはじめ、そしておそろしく気になるところで次の巻に続いている。2月後半発売の最終刊が待ち遠しい。思えば10年はこのシリーズを読んでいる。
こういう1日だったから、家事の類は最低限しか行っていない。
食料品の買い出しは済んだ。床に物は置いていない。いま部屋は暖かく、あとは寝るだけ。
夕食だって食べていない。お昼が充実していたので、今まで気にならなかった。
思えばこういう休日は久しぶりだ。仕事か何かに気を取られて、100%自分の娯楽に使う休みが無かった。うん、満喫した。
*1:静岡の「シネギャラリー」の年間パスポートはあと2回の無料鑑賞権が残ったままだ。