麻婆餅と昔の思い出について

餅が余っている。
便利な食材であり、僕は1年を通して食べたいのだけれど、家族は餅といえば正月のものだと思っているらしい。少なくとも、雑煮は食べたくない様子。せいぜい、油揚げを開いて餅を入れて、鍋の具にする程度。


独り暮らしをしていた時に、お雑煮は日常的に作ったものだが。
麺のように1品で主食になり、かつバリエーション展開が楽という、素晴らしい料理だと思っている。
個包装で長期保存が効く今の時代、米から餅への転換だって選択肢としてはあり得るだろう。学生時代に計算したところ、安売りの「サトウの切り餅」っぽいものならば、パスタと米の中間くらいのコストだった気がする。

 

さてその餅を、今日は「麻婆餅」にした。
これはあの懐かしい90年代後半に、さらに懐かしい「オレンジページ別冊:15分でできるフライパンレシピ」に掲載されていたメニュー。餅は少ししか使わないが、とにかく簡単なのが魅力。

餅は1個か2個を賽の目に切る。小さめが良いので、切り餅の厚みを基準にすれば良いと思う。とにかく切ればいい。

ネギはみじん切り。これは多め。斜めそぎ切りでも可。
生姜なども刻んでおく。
栄養を気にするのならばキノコを入れる。今日はえのき茸を使用。干し椎茸を使うと美味しい。

餅は、多めの油で揚げ焼きにする。
油を吸う食材ではないから、量はほどほど。表面ががりっとして、全体が柔らかくなったら出来上がり。焼き餅のように膨れる必要はないし、膨れるとべたっとなってしまって、この料理には適さない。
膨れ始めたかな、という辺りで皿にでも移せば、あとは余熱でなんとかなる。くっつかないようにだけ気をつける。

フライパンに残った油で生姜を炒め、そのまま豆腐抜きの麻婆豆腐を作ってしまう。挽肉があると素晴らしい。「麻婆豆腐の素」でもいいし、豆板醤などを駆使してももちろん良い。濃いめの味付け、できれば花椒を強く感じるほうが、この料理には合う。ネギは最初に“香味野菜”として炒め、後半に“具材”として分けて入れる習慣になっているが、効果の程はわかりません。

この豆腐抜き麻婆豆腐に、先ほどの餅を放り込み、混ぜて完成。
実はフライパンが2つあると、とても楽。洗い物も大したことはないだろう。
青梗菜を茹でて添えると、それっぽい感じがする。

さすがにこれだけで主食兼おかずにはならない。
だから炭水化物のおかずで、白いごはんを食べることになる。
餅と豆腐を同時使用、というのは試したことがない。

この揚げ焼きにした餅は、具沢山の味噌汁に入れても美味しい。
ひとりで簡単に済ませたい朝食兼昼食、なんて時には豚汁に入れる。とりあえず食べ応えだけは増やせる。

学生時代のアルバイト先、ホテルの厨房でこのこの小さく揚げ焼きにした餅がけんちん汁に入っていたことがある。老舗ホテルのまかないは気が利いているな、と感心した思い出がある(胡椒をがりがり摺って入れた)。
和食の厨房は仕事場ではなかったのだけれど(僕はバー・喫茶の担当)、不思議と気に入られていて、フランス料理や和食の偉い人が、よく食べ物を恵んでくれたのだ。今思うと、あのアルバイトはとても良い経験だった。長期休みの住み込みということで、お金も貯まった。

 

ただ夕食を作って食べただけなのに、うっかり昔のことを思い出してしまった。いつかあのホテルは泊まりに行かなければ、と思っている。今だって頑張れば行けるはずだが、ただそういう高級ホテルの旅は、今現在は興味が無いのだ。日帰り圏でもあるし。

 

 

 

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