ぬか漬けをいただく。強い雨の日に。

会社の先輩に呼び出され、ぬか漬けのキュウリとナスが詰まった密閉容器をいただいた。ずっしりと重く、食べ甲斐がありそう。
そういえば、数日前の昼休みに、キュウリのぬか漬けを1切れ貰ったのだった。ぬか漬けとしては浅いが、僕はわりと気に入った、そんな話をした。
そもそも先輩社員がどういう理由でぬか漬けを始めたのか、よくわからない。誰かが漬けているのを見聞きして、「なんだか良いらしい」くらいの印象から、自分も初めてみた、そんな話は聞いたような。つまりヨガやパワースポット巡りを始める時みたいな感じだろう、と推測している。


ぬか漬けについては、休憩時間などに何度か話題になって、僕は一般的なアドバイスをしたのだと思う。疑問や問題に的確に答えられることに驚いていた。それが巡り巡って、今日のお裾分けに繋がった。
でも、こういうものは、経験や個別のレシピも大切だが、発酵や保存食品の概要を把握していれば、具体的な情報は知らなくても答えられる。理科や生物が得意で、そういう方面に進学して、それなりに自炊もしているのだから、ぬか漬けの経験が無くとも「明礬を使う理由」や「温度管理の大切さ」は説明できる。
逆に多くの「なんだかこれが良いらしい」をきっかけに(ぬか漬けでもパン作りでも、それからダイエットでも)始めた人達が、口コミで少しずつ仕入れた情報を順番に導入していく手法は、僕には少し怖い。
とはいえ、例えば「カスピ海ヨーグルト」などは、多くの大切な(安全衛生管理上の)注意点を知らずにスタートしても、それなりの品が出来上がるのだから、世の中は上手くできていると思う。きっと、上手くいかずに世に出ることなく葬られた「素人手作り食品の墓場」が、どこかにあるのだと想像する。

 

さて、この先輩は、その辺りの「発酵食品に関する教養」が足りていないままスタートさせたにしては、きちんとぬか漬けを完成させている。2日目から最初の数週間は、不味い不味いと言いながら食べていたという話からも、豪快さが伝わってくる。そもそも、現代日本の自然手作り食品カルチャーにおいて、市販の「ぬか漬け用ミックス糠」を購入し、説明書きをきちんと読まずに水を投入し、野菜を入れて「完成」とするユーザーは、想定外ではないか。それでも後から煮干しや昆布を思いつきで追加して、冷蔵庫で数週間すれば、まともな糠床が完成する。完成された技術というのは、強靱なものなのだ。素晴らしい。
しかし豪快なのも良し悪しで、「糠床には錆びた釘」という情報を入手した日には、錆びた釘を拾ってきて洗って投入するという怖いこともしている。「そうか、錆びた釘か!」から情報収集して、「もっと扱いやすい鉄イオンの供給源が、100円ショップやスーパーマーケットには売られているのだな」と知れば、翌日に指先を怪我することも無かっただろうに。そういえば、仕事の時にも、そんな勇猛なところがある人ではある。

 

ところでこのお裾分け、つまりは「作ってはみたものの、好みの味ではなかった」という事らしい。スーパーマーケットやデパートの地下で売られている品は、あれは特別な技術で臭味やクセを減らしているのであって、確かに手作りの品は慣れていないと「きつい」かもしれない。
しかしそれを言ったら、世間の「ナチュラル和カフェ」で供される「本物のぬか漬け」は、もっと臭い。良し悪しではないし、むしろそのほうが自然なのかもしれないが、でもあれはなんとなく、「臭いほうが、クセがあるほうが本物なのです!常在菌!酵母!地球意識!」とお説教されているような気がして苦手だ。なぜそこで過激になるのか、と思ってしまう。

ちなみに僕は、ぬか漬けを作ったことがある。適当な密閉容器を滅菌して、糠と塩と、それから知人から貰った糠床を混ぜて、最初の数日間はインキュベーターで、その後は自宅の冷蔵庫で運用した。インキュベーターは職場の隅で眠っていたものを借用。
ちょうど野菜が高い時期でもあったため、あまり手作りの経済的旨味がなくて、手間と時間を考えて途中で止めてしまった。理論先行の糠床だったが、かなり上手に出来ていたと思う。家庭菜園から季節の野菜が山ほど届くような環境だったら、今も続けていたかもしれない。その糠床は、友人夫婦に引き継がれて、今も活用されていると聞く。

 

https://www.instagram.com/p/BHoUBWuj_g_/

さて、今日のおやつは、「bikini」のかき氷。レモン味。

さすがスイーツの名店、かき氷も美味しい。さっぱりと酸味が効いていて、どんよりした雨の日には良い選択だったと思う。

www.swbt.jp

 

cafe Bikiniの今日

 

 

 

ぼくらの哀しき超兵器――軍事と科学の夢のあと (岩波現代全書)
 

 

 

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