人生最高の焼餅 長崎の思い出

先日の旅行について書く。
長崎で食べた焼き餅が本当に美味しかった。
餡をくるんだ餅のなかでは、人生最高だと思う。

焼餅とは言うが、正式な名前は「大徳寺焼餅」。たぶん、有名な太宰府天満宮の梅ヶ枝餠と同じものだろう。焼き付けられる梅の文様や、作り方も同じだ。

お店は小さな茶店といった風情。
隣が藤棚になっているが、僕が行った時には特に椅子などは設えていなかった。
お店のお婆さんに1人前を注文してしばらく待つ。注文を受けてから、餡を餅でくるみはじめるのだ。
濡れた手で、柔らかいお餅をくるくると伸ばし、こしあんの玉を包んでいく。4つできたら、炉の上に置いた型へ置いていく。しばらくすると、香ばしい香りが漂ってくる。
写真を撮っていいか、と問うたところ、もう少しで表側が良い加減に焼けるので、その時に撮るがよろしい、とアドバイスしてくれた。

何度かひっくり返していると、表面がぱりっとしてくる。
お店で焼いた餅といえば、一部がほとんど黒くなるまで焦げたものが多い。この焼餅は、中央がきつね色、周辺はぱりぱりと乾いているが焦げてはいない。

1人前で4つ。すぐに包んでくれる。
お店は神社の境内にあり、大きな楠の周りでちびっ子が遊んでいる。
僕は神社側の静かなエリアで、この餅を楽しんだ。

明るい午後、子供達の声を聞きながら食べる甘いもの。背には古い神社、目の前には長崎の景色。一人旅らしい過ごし方だった。

素晴らしい餅だが、難点がひとつ。
1個の量が多いのだ。
コンビニにも売っている酒饅頭、大人の手のひらくらいのあれと同じくらいの直径で、こしあんはたっぷり。
これが4つで1人分。僕は美味しさのあまり3つ食べてしまい、その後の中華街散策ではほとんど買い食いができない状態となった。
ちなみに長崎の中華街から、徒歩数分。石段を登るので、下からはわかりづらいかもしれない。
旅の最初に訪れれば、中華街からその北側の繁華街、観光地の位置関係がわかるから便利な場所でもある。

量が多いとはいうものの、餅が軟らかいからか、するするっと食べることができてしまった。つきたてのお餅を食べるような感覚。

最後の1つは、宿で食べた。
冷めてもそれなりに美味しかったが、やはり焼きたてがよろしい。
誰かと行ってシェアするのが現代的な楽しみ方だと考える。

昔ながらの名物のお店で、しかも規模の拡大などをしていないところでは、よくこういう“量の問題”に遭遇する。
昔の人達にとっては、これで1食というのがひとつの贅沢であり、旅や参拝の楽しみだったのだと思う。腹一杯、がそれだけで嬉しい時代が長く続いたのだ。

今の時代の僕としては、この量も含めて、お店全体を尊重したい。
書くと長くなるが、ミニサイズは要らないのです。

 

翌日の朝、「軍艦島クルーズ」に行く前に、この神社とお店には再訪した。またしても1人前を購入し、1つは朝食として食べ、3つは厳重に梱包して(この日の夜に、ホテルの冷蔵庫で冷凍した)持ち帰った。
今も冷凍庫に保管してある。味はぐっと落ちるだろう。でも、食べるのが楽しみでならない。

 

長崎は本当に楽しかった。
年季の入った観光地であり、かつ独自の文化が大切にされている。
夜の街を歩いていても風俗産業ではなくて洋食屋やレストランが目立つのも面白い。坂は大変だけれど(車の運転はもっと大変そうだ)どこまでも歩いてしまう風景が続く。
規模も散策にはちょうどいい。2時間で“街のかたち”は理解できてしまうし、路面電車(電気軌道、良い名前だ)があるから疲れても平気。
海側に出ると小綺麗な場所だってある。
さらに言うと、飲食店ではないお店のカタカナ外来語が珍しい。スペイン語やフランス語をカタカナにして、老人ホームやクリーニング店が使っていた。

というわけで、お餅だけで日記を書いてしまった。
本当に良かったので、強くおすすめする。
いつかまた訪れたい。あの石段を登り、神社の境内で焼餅をほおばりたい。

 

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お菓子の包み紙

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お題「思い出の味」

お題「行きたい場所」