一昨日に行った場所のことを書く。
世界で一番好きな水族館、東海大学海洋博物館のことだ。
他にも大好きな水族館はいくつもあるけれども、自分の根っこの部分を形作った場所として、この「三保の水族館」は、常に特別なのだった。
その水族館が、いずれ閉鎖される。
具体的な日付は未定だが、清水区に新しい水族館を作る計画があって、その稼働に合わせて閉館することが決まっているのだった。
だから、というわけではないけれども、この閉館の話を聞いてからは、行きたい気分の時はできるだけ行くことに決めたのだった。
それにほら、最近は私事が色々大変で、心を癒やす必要があったのだ。
そんな久しぶりの水族館だから、感傷や寂寥に塗れそうな予感もしていたが、実際はとても楽しかった。自分でも意外なくらいに、普通に楽しんでしまった。
まず見た目。ずいぶんと綺麗になった印象。
表示の工夫は、今やどの水族館でも当たり前に行われている。
そうではなくて、例えば、薄暗く藻類で見づらかったアクリルガラスはぴかぴかになり、白い底砂はきちんと白く、床のひび割れは補修されるなど、どちらかといえばハードウェアの改良・改善がしっかりしている。もちろん古い建物ではあるが、だからといってことさら残念な印象にはならなかった。
一昨年、まだ感染症対策にセオリーも何も無かった時期に訪問した際は、使用禁止や通行止めの場所も多く、また大規模改修中でもあった。今回はフルコースを楽しめた*1点も、とても良かった。
大水槽を見た時だけは、ちょっと感傷的にはなってしまった。
子供の頃、まだ漢字も読めなかった時の記憶にある「砂泥の海」の表記が今もそのまま。あと何回、この水槽を、サメやエイを、見ることができるのだろう。そう考えたら、水槽の前を離れがたくなる。
そして大水槽の周囲にはたくさんのベンチがある。心に従い、存分に大水槽の青い光を堪能することにした。
大学生っぽい女性から、補助具を使った老人、そして幼稚園児の団体と、様々な入館者が目の前を通り過ぎていく。さっと見てスマホで撮影して次の水槽に向かう人なんて、一人もいない。平日ということもあり、全員が楽しむつもりで来ているのだろうけれど、それにしても各人がそれぞれの楽しみ方で堪能している。
水族館とはすごい場所だ。そして、東海大学海洋博物館はとてもすごい場所だ。
ところで、この水族館は「海洋博物館」の名の通り、海に関する多くの研究成果が集められている。駿河湾の深海調査からクジラの骨、水産資源にロープの結び方まで。ここも見応えがある。イメージ映像ではなくて模型や実物が多いのは、大学施設ならではかもしれない。
僕が好きなのは「メカニマル」のコーナー。
メカニマルとは、水生動物の動きを真似した機械のこと。魚のヒレのような機構で泳ぐロボットや、フナムシの足を模した歩行ロボットなどが展示されている。
ステンレス板とプーリーとモーターの、今の目で見るとシンプルなロボット達だが、子供の頃から大好きな「未来」だった。2022年の現実は、いささかつまらない。
今回は、かなりのメカニマル達が動かせる状態になっていた。今のちびっ子たちも、この機械たちに未来を見ているようで、なんだか嬉しい。
ところでメカニマル、昭和の昔から、それこそ「未来には水中に海洋牧場を作るんだ」みたいな時代から、今でいうところのバイオミメティクスを行っていたのだから、凄いことだ。
というわけで、今回は大水槽から小さな水槽、パネル展示も書籍コーナーも、ゆっくりと時間をかけて楽しんできた。外は嫌になるほど暑いが、しんと静かに涼しいのは水族館の素敵なところ。
順路は全て頭に入っているような水族館。それでも行けば、新しい発見がある。
あと何回行けるかわからない東海大学海洋博物館だが、今回もやはり大好きな場所だった。
ところで今日は選挙の日。
結果は不本意だったが、それでも投票できてよかった*2。
来年は地方統一選挙。次もきちんと考えて投票をしたい。
上の写真は今日のおやつ。本当に久しぶりのアトリエプティカラン。お持ち帰りの「黒糖シークヮーサージンジャーエール」を、テーブルでいただくことができた*3。
水族館も大切だけれど、僕の日常には沖縄も必須。ああ、旅に行きたい。