映画『エイリアン:コヴェナント』を観た。
前作の『プロメテウス』がなんとなく消化不良で、それに比べると面白い。きちんと「エイリアン」だった。
『プロメテウス』は問題作だったが、こちらはきちんと娯楽SF作品として形になっている。
メインビジュアルと主役を担うヒロインよりも、そしてエイリアンよりも、お話の中心はアンドロイドのデヴィッドさん。前作から引き続き大活躍。
例によって例の如く、今回も登場人物の行動が雑である。エイリアン・サーガは各人がきちんと専門家らしく動き、ハイテク機器をまともに駆使するだけでお話が止まってしまう(そして哀れなエイリアンは殲滅される)のだが、それにしても、である。
新しい惑星だ!どうやら呼吸できる大気組成だ!よっしゃ降りよう、って生身でその日のうちに降りて、体調が悪くなってからあたふたするなんて、現代人たる僕の目からしても素人っぽい。
今作では、粘液がどろっと滴っているのを指で掬って「なんだこりゃ?まあいいや先を急ごう」という定番のシーンこそ無かったものの、全般的にガラパゴス諸島に上陸する観光客以下の気配りの無さで、やっぱり興醒めではある。日本の作品ならば、雑に行動できる理由や設定を何かしら盛り込むところなのだが(士郎正宗作品だったら欄外に書くし、最近のアニメならモニタ表示に凝るところだ)これはお国柄か、それとも雑さも含めてエイリアン・サーガなのか。
そういう意味では、賢くて強い黒幕的な人が待ち構えている、という今回の状況はいくぶんその不自然さを薄れさせていて有効だったかもしれない。
『プロメテウス』よりもテンポは速め。もう少し丁寧にじわっと怖くしても良さそうなのだが、シリーズものとしての配慮があるのだろうか。あまりに王道の展開で、先が読めるのも困りもの。
ともあれこれで、『プロメテウス』から続いて『エイリアン1』に繋がる前日譚はひとまず終わり、次は別の惑星と人々(今回の主人公たるジャネットダニエルズ博士は活躍するのだろうか?)のお話になるわけで、そういう分岐点かつシリーズ物としての“らしさ”も盛り込めたのだから、僕は満足。
ファンまたは興味がある人は観ておいて損はない、と思う。
『プロメテウス』の内容を把握していないと面白さ半減。しかし普通に怖いゴア映画として楽しめるのではないか。
怖くて強いエイリアンは登場するものの、お話の根っこは「エンジニア」と「種の起源」 ということで、昔の単純明快なエイリアンシリーズを期待した人は、がっかりするかもしれない。とはいえ、あれも3から4へと続くうちに変な感じになってしまったわけで、あれに比べればホラーとSFが良いバランスだと僕は思う。
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まるで関係無いけれど、今日はゴミ捨て場に「かけはり」が17個並んで捨ててあって、町内会のゴミ当番の人達が困っていた。
事件性はおそらく無いが、なんとなく異常。
しかし「17個のかけはりを見る」なんて経験、完全に想定外だ。なんとなく、現実が歪む感覚があった。
あれはどうなったのだろう。まさか貰って帰るわけにもいかないし、気になるけれどどうにもならない小さな不条理だった。