タイムカプセル開封

今日は「安全パトロール」を行った。職場とその周辺設備を、何人かで見てまわり、安全衛生上の問題が無いかをチェックする。様々な視点があったほうが良かろう、ということで、ベテラン社員と、僕のような新参者、それから他部署の偉い人が今日の巡回メンバー。
トロール自体はつつがなく完了した。片付けができていないとか、見た目が良くないね、といった指摘事項があっただけ。
ただ、「せっかくだからkatoくんに、古い施設を見せてあげよう。これも勉強になるだろう」と、今は使っていない設備に寄り道した際に、ちょっと変わったものを発見した。
機械設備の一部に見える、銀色の丸い球状の物体。ガソリンスタンドにある、圧縮空気のタンク(タイヤの空気圧用)に似ている。ぱっと見た限り、配管は無い。かなり腐食していて、半分が土に埋もれている。銘板があるが、ほとんど読み取れず、かすかに「1977年」と書かれているのがわかる。
「これは何ですか?」と質問したが、誰も答えられなかった。どこにも配管が接続されていないタンクなんて珍しい。
万が一、危険な品だと困る。だから各部署に残る“昔を知る人達”や資料室、そして退職者にまで連絡が行き、夕方になってようやく正体が判明した。

1970年代後半に埋められた、タイムカプセルだった。

当時、その場所には特殊な材質を扱う部署があった。
誰かが技術の向上を目的として、新開発の素材で、半球状のパーツを2つ作った。
それはなかなか素晴らしい品だったが、リサイクルが難しい。だからタイムカプセルとして活用することになった。何かの祝賀会の後に記念品を入れて、敷地の隅に置かれた。
こぢんまりとした職場内のイベントだったため、記録が残っていない。かなり長い間、その金属球(見た目のわりに軽い)は、屋外で重石として、ブルーシートなどを押さえるために活用されていた。
そのうち、部署そのものが無くなり、当時を知る人も退職し、やがて雑学知識として「あれは昔の人達が作ったタイムカプセルだ」と口伝されるだけの存在となった。

そもそも、この物体が置かれていた区画が、ずいぶん前から(主にコストの問題で)放置されていたのだ。更地にもされず、ただ錆びた機械が野ざらしになるだけの場所。昔はそれでも現場判断で物置きとして扱われていたが、危険なもの、価値のあるもの、そして廃棄物も含めた全ての資材の置き場所が定められてからは、本当に空白地帯となっていたのだ。

 

違法なものや、問題のあるものでは無いと判明。資産的価値も無い。
「では開けてみようじゃないか」という偉い人の発案で、夕方に開けることになった。
継ぎ目にそってハンマーで叩いてみる。わりとあっけなく、ぱかりと開いた。

開いたのは良いが、中身はほとんど駄目になっていた。カプセル自体が腐食して微細な穴が開いていたらしく、気密が保たれていない(夢の新素材だったのに)。温度変化もあったのだろう。寄せ書きのようなものや、何かの記念メダルみたいな金属片、それにカセットテープや写真、そのほとんどが、触ると崩れるくらいに傷んでいる。
唯一、レトルトパウチみたいな感じで保存されていた冊子だけが、無事だった。どんな冊子だろうと、それなりに興味があったのだが、ただの社史だった。社史というか、「〇〇株式会社〇〇事業所のあゆみ」みたいな記念誌。

昔の人を悪く言うつもりは無いけれど、でも思う。タイムカプセルに社史を入れるなんて、ほとんど無意味じゃないだろうか。あれは会社の資料管理部門や図書室に置かれるべき書籍だろう。正直なところ、少しがっかりした。

 

とりあえず、この内容物とカプセルは、しばらくの間は保管される事となった。明日からは、このタイムカプセルの制作に関わった人達をつきとめ、連絡を取ることになるらしい。たぶん総務部門の仕事だろう。存命かどうかすら、わからない。
しかし総務の人達だって暇じゃない。なんとなく、このカプセル(の残骸)と内容物(ほとんどが残骸)は、次は総務部門の倉庫の片隅で、長い間放置されるようになりそうな、そんな予感がしている。

 

 

APPLE AirMac Time Capsule - 2TB ME177J/A

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18-8ステンレス 「タイムカプセルEGG TYPE S 2.4 L」 日本製

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