地図は面積で買う。


静岡ネコ。機嫌が悪い。 
友人の結婚式に使う案内状というか、県外から来る人(静岡市のホテルに宿泊)と、地元の人間向けの書類を試作した。
無くても全然構わないのだが「気配りを万全にする」という方針もあり、結婚式場の用意する紙よりは便利なものを作成する。
友人達も僕も、それなりに多くの結婚式に招かれてきて、トラブルこそ無かったものの、あれば良かったというアイデアはいくつかある。




今朝早くに、その書類を渡してきた。
そして友人(新婦)が、今日の午後、結婚式場まで打ち合わせに行った。おおむね好評で「本当は式場側が、こういう紙を用意できればいいんですけどね」という話になったという。


先ほど友人からメールが届いた。結婚式場の担当者の上司(部長や課長だと思う)から、僕に言いたいことがあると言う。
しばらく待っていたら、本当に結婚式場から電話がかかってきた。
「書類を拝見しました。あなたの描いた地図を買いたい」と言う。切って使ってもいいか?と聞かれた。黙ってコピーすればバレないような気がするが、ともあれ有り難いことである。
今まで使用していた地図では、稀に迷う人がいて「地図が見づらい」という意見は社内でも多少はあったという。
自分も「パンフレットの地図は見づらいなあ。特に市街からの位置関係がおかしい」と思って、地図を描いた。
結婚式場を繰り返し使う人は少ないので、ユーザーの意見は蓄積しづらい。そして多くの人が「いつか直したい」と思いつつ、後回しになっていた。
おそらく、この程度の些事にコストをかけられない、という理由もあったと思う。
そこで、僕の作った地図に目をつけてくれたらしい。



マチュアAdobe Illustrator使いとしては、望外の喜びである。どうぞどうぞと、許可というかOKの意思を示す。
すると相手のおじさんは「この面積ですと、800円ですね」と言う。
どうやら縦横の長さを図って、それで金額が決まるらしい。そういう慣習がかつて有ったと、出版デザインの本で読んだことがある。
僕としては、お金が貰えるなんて思ってもみなかった。しかし好奇心で「仮定の話ですが」と聞いてみる。「もう少し小さな地図に描きかえることもできます」と提案する。
「そうですね、最低ラインは500円です」と教えてくれる。面白い世界である。倍のサイズにしておけば良かった。



しかし普通に考えて、インクジェットプリンタで印刷した物をハサミで切って「800円です」は悪い気がする。どうせ使われるのなら、良い品質で使い続けて欲しい。
というわけで、数種類の汎用ファイル形式と生データをまとめて、メールに添付して送る事になった。
話の通じる若い社員と電話を代わり、メールアドレスを教えてもらう。
「パンフレットを作成した印刷会社やデザイン会社に渡すのがいちばんです。上手に活用してくれます」と言い添える。
「申し訳ないのですが、少額なのでクオカードでよろしいでしょうか?」と、本当に申し訳なさそうに言う。全然構わない。
そんな訳で、近いうちに僕の手元に、クオカード(1000円)が届く。データはもう送った。






こういう臨時収入は、関係者(友人カップルと僕)で使うべきだろう。ぱあっと飲食に使うのがいちばん。
しかし1000円では、タコ焼きを分け合ったら終わってしまう。
友人(新婦)は、僕の趣味(パソコンでイラストを描く)に投資しようと言ってくれたが、Adobe社製品も周辺機器も、プリンタのインクですら買えない。



僕は恥ずかしい事に、クオカードの使い方を知らない。避けてきた覚えは無いけれど、人生で使用する局面が来ない。いつも何らかの理由で、他人に渡してきた。
まず間違いなく、レジで差し出せば使える。でも「この部分にかざせ」とか「クオカード...ですか?あちらの端末でお願いします(苦笑)」と言われたら怖い。
こういう時は、Googleで「クオカードの使い方」と検索するに限る。「発言小町」辺りに、既に答えは書かれている筈だ。




実際のところ、この程度の作業で金銭の授受が発生するのがおかしい。地図の作成からメール送付まで、正味30分もかかっていない。「Wordで文字入力ができます」程度の仕事。
とはいえ、こういう(ほぼ)無料奉仕で、実際のプロの人達の仕事が1つ減ったとしたら、あまり能天気に笑ってもいられない。世の中にバッドデザインが多い原因が、クオカードと素人という事も大いにあり得る。




今日からこの本を読む。宇宙の各所でインフラ整備をしている技術者を描いた短篇集、らしい。月のトンネル掘削工事の現場責任者や、火星の極冠近くの大型開発事業に安全管理責任者として携わる人が出てくる。
基本的に平熱というか、もちろん事故が起これば人並みに焦るのだが、怒鳴っても仕方がない場面では黙るところが「現場の人間」らしくて良い。

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