知人の確定申告と葵区鷹匠のカレー屋さん「うたげ」についての話

友人の確定申告

訳あって、フリーのクラフト作家をしている知人の確定申告を代行することになった。
基本は電子申告だが、提出書類でわからないことがあったので税務署の「相談会」に行くことに。
この相談会では所得税相続税の相談から、確定申告の手続きまで、実際に話を聞くことができる。パソコンもあって、申告の代行もしてくれるという。

昨今の情勢により、事前予約制で混雑を避ける仕組みとなっていた。
この相談会(申告会場)は「とんでもない」と噂になっていたが、確かにひどかった。

自分の前の人も後の人も、領収書や源泉徴収票の束をそのまま持ち込んで、ほとんどの作業を税務署スタッフにお願いしていたのだ。
青色申告をする農家やアパート経営者まで、税務署員を専有して、計算書の項目を埋めていく。青色申告のコンセプトからして、これはおかしいのではないか。

例えば会社の登記や飲食店の衛生管理審査で、こういった丸投げが許されるなんて聞いたことがない。「そうはいっても、手伝わないと申告が終わらない」と甘やかした結果が、毎年恒例の丸投げ祭りになっているとしたら、行政サービスへのフリーライドも甚だしい。こういう時こそ税理士に頼ればいいのに。

せめて質問事項を押さえて、確定申告の目的くらいは理解しておけば、実際の相談会は、きちんとした相談の場になっただろう。
自分自身の待ち時間はそれほど長くなかったのだが、会場を眺めていてそんなことを思ったのだった。「医療費が10万円あればお金が返ってくると聞いて…」と語りだす老人に、無表情に「医療費控除の仕組みについて」のA4チラシを渡す税務署員の顔が印象に残っている。

あれは小さいけれど確実な社会的消耗の場だった。

 

スパイスカレーの店「うたげ」

静岡市葵区鷹匠にあるカレー店「うたげ」について書く。
最近よくある「あいがけスパイスカレー」のお店。
友人が「酷い目に遭った」と愚痴をブログに書いていたので、どんな店かと行ってみた。

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僕は酷い目には遭わなかった。
しかしカレーは好みではない。
悪い意味で「身体に良さそう」。
料理上手の友達の家で出されたら「えーと、何かあったの?」と心配する。
素材の味を生かした優しい味、と説明しても嘘にはならないけれど、いささか薄味の具合が押し付けがましい。同じくらいにヘルシーで、素材の良さも感じられて、かつ調味料やスパイスを上手に使って”外食の水準”ができている店はいくらでもある。


そういうタイプの少し極端な自然な感じを売りにしているのはわかる。ただし(繰り返しになるが)残念ながら、僕は「物足りなさ」を愉しみに来たわけではなかったのだ。

 

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店内も席の間隔も、とても狭い。衝立もなく、前の客の汚れがカウンターに残っていた*1。友達同士でマスクをせずお喋りをしていても店主はなにも言わない。
細かいところだが、今の時期にのんびりするのは難しい。

 

 

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ただし、店の雰囲気は面白かった。
昔はあちこちにあったオーガニックで南国趣味*2でスピリチュアルな感じが本当に懐かしい。
「誕生日大全」なんて定番中の定番である。探せば「スヌーピーの言葉」や「ドラゴンヘッド」がありそう。
建物自体は新しく、そして綺麗な内装なので、なんだか20年前にタイムスリップしたような気さえする。ただメニューの裏面全てと壁を使って「えんとつ町のプペル」がプッシュされていたのが、いかにも令和である*3

なんだか皮肉っぽい書き方になってしまったけれども、遠い平成の様式に思いがけず出会えたことだけでも、良かったと思う。
学生限定のドネーション制度の無料カレーチケットといった「あ、どこかで見た」があちこちにあるのも好ましい。

 

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かつての流行がそのまま愛すべき凡庸となっている、しかし実際は新しい「個性的な店」。
1人で(心のなかで)盛り上がってしまった。

 

 

お題「昨日食べたもの」

 

 

 

*1:最近はめったに使わなくなった消毒用のウエットティッシュが役に立った。

*2:沖縄離島趣味というべきか。沖縄か奄美で本当の生き方に目覚めた人が開業したお店が、ふた昔前には数多くあった。

*3:大統領選挙の陰謀本は無かった。

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