香川のため池

讃岐といえばうどん、そしてため池である。
小学校の時、社会の授業で習った。副読本に載っていた空撮写真を今も覚えている。池や湖や洞窟や入り江が大好きな子供だったせいか、なんとなく「四国には池の多い土地があって楽しそう」という印象が残ったまま大人になってしまった。

大人になって、仕事や観光で四国を訪れるたびに、車窓からため池が見えると、つい注視してしまう。本当に数が多く、また至る所にあるのだ。水不足対策というシリアスな理由があるにしろ、町や田畑に混ざって池が点在する風景はとても素敵だと思う。

何の因果か、こうして香川県に住むことになってからも、やはり池には興味がある。飽きることがない。
でも住んでみて解ったこともある。

ため池、普段はあまり眺める機会が無いのだ。

なにしろため池なので、水を溜めておいて、必要な時に供給する。つまり、家があって道路があって、田畑がある、つまり生活している地面の高さよりもその堤防は高くしなければならない。

そこそこの大きさの川は、日常生活では堤防に遮られて見ることができない。同じ状況が、この香川県では池に当てはまる。
もちろん住宅地のため池には周辺に親水公園や東屋が建てられ、市民の散歩コースともなっている。しかし自動車で幹線道路を走っている限りは、池そのもの、水面を眺めることはほとんど無い。

 

今日は夕方に時間があったので、移動の際にため池をいくつか巡ってみた。自転車なので多少の寄り道は許されるというか、移動時間への影響が少ないのだ。

池の周囲には必ず「堤」への上り道がある。大抵は石碑や立て札があって、ちょっとした謂われや、治水事業への顕彰について書いてある。
4つほど池を巡ってみたが、どのため池もきちんと周囲は整備されていた。散歩や自転車周遊に困るほど荒れた道は無い。
養魚場としての登録がされている池(何を育てているのだろう?)もあれば、ルアー釣りのゴミがフェンスに放置された残念な池もある*1
ちびっ子が安心して遊べるよう整備された明るい場所も多い。田畑を潰してマンションや新興住宅地になった土地では、周囲より一段高い開けた場所(しかも面積としてはそれほど広くない)は、幼い子供を連れた家族には安心の環境だろう。

珍しいところでは、「ゴルフの練習場」に活用されている池もあった。
池の片面が、いわゆる「打ちっぱなし」の練習場になっている。ボールが飛んできそうな部分は少し高めのフェンスで覆われているが、普通の練習場ほど高いネットは使われていない。
ボールは池に落ちるので、ネットは必要無いのだろう。
見ている限り、ゴルフボールは浮いている。だから回収は容易だろう*2。ブイと網で1箇所にボールが集まるように“仕掛け”が作ってあった。
ここは用水路への水門も併設されていたから、練習場兼ため池ともいえる。

 

こういう色々な活用をされているのが、香川県高松市のため池群。
山の方に行くと、谷の奥まったところに立派な池が備わっている。瀬戸内の島々にも、池が“現役”の集落がある。

 

 

地図を眺めている限り、「元はため池だったが埋め立てて宅地にした」ような場所はあまり目立たない。線路や水路が道路の形に残っている場所は多々あれど(飛行場の形の道路・区画もある)ため池は余所の土地に比べて大切にされているようだ。単なる農地の付属施設(?)ではない感じがする。

 

四国懐菓子88

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まだ僕は香川の夏を知らない。
年配の方からは「水不足の時に火事になって、消火用水が足りなくて、江戸時代みたいに家を突き崩したことがある」なんて昔話(平成時代だそうだ)も聞く。農地は減っていくのだろうが、そう簡単にため池を減らすわけにもいかないのだろう。

 

自転車散策ルートとしては、このため池はとても良い“寄り道”になる。
なにしろ見晴らしが良い。池の側はもちろん、堤の高さの分だけ周囲も見渡せる。高松は街も郊外も高い建物が少ないので、地図を見なくても位置関係が掴める。
それに車が走っていないから、落ち着いて走行できる。散歩の人に気を遣いつつ、自分の通ってきたルートと、この先進む方向を定めるのには、これほど優れた地形も無い。

今日は仕事の移動だったけれど、スマホを時々取り出さずに目的地にまで辿り着くことができた。目的地を定めないお散歩自転車散策ならば、「池巡り」も楽しいかもしれない。

 

 

四国サイクリング 四国旅マガジンGajA MOOK

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瀬戸の島旅 しまなみ海道+17島めぐり

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お題「ひとりの時間の過ごし方」

 

*1:ブラックバスの放流がされているのかもしれない。それっぽいゴミが多かった。

*2:沈んだ場合はどうするのか。ゴルフボールなんて手にした記憶さえ薄れているが、比重は1より大きくても不思議ではない。
それに、水辺に落ちたボールを打つシーンが、何かの映画であった気がするのだが。