この前の帰省でどさっと持ち込んだ荷物にようやく手を付けた。
といっても午後遅く、夕方になってからの作業開始。
まだ進捗は4割といったところ。夕方からの作業で4割ならば、昨日に頑張ればどれだけ片付いただろう。まあ、完全に空白の時間なんてものはなくて、昨日も今日も良く言えば「身体と心を存分に休め、ネットワーク経由で世界中の映像および文字情報を楽しんだ」ので、もう後悔はしない。
前に書いたように、かつて三重県で独り暮らしをしていた時の家財道具や雑貨や書籍が、この荷物の多くを占める。
中学高校のアルバムや古い楽器、大学時代の教科書なんてものもある。20代の頃から請け負ってきた、友人知人のお店のショップカードやメニューの印刷物も束になって出てきた。
束といえば、手紙も多い。
たぶん同年代の男性のなかでは手紙は多くやりとりしているほうだと思う。カフェや雑貨屋関係の友人知人も多かったし、交際した相手は手紙好きばかりだった。
懐かしい友人の手紙なら、読んでも大丈夫。
でも当然、いま読んだら心が揺さぶられるものだって多い。というか、わざわざ保管してあるものにはそういう相手のものも多い。
三重県の友人達なら知っているように、僕はそれなりにダメージを負った状態でかの土地から実家に戻った。だから当然、雑貨でも食器でも、そして手紙の入った箱も、当時のあれこれが凍結保存されている。今日はそれらを解凍し、取捨選択する作業だったのだ。
取捨選択とはいえ、実際には思い切って処分するものしかない。
持っていても先がない紙の束だ。
とはいえ、ゴミ箱に放り込んで、次の収集日(火曜日)まで平気というわけにもいかない。静岡県の戦闘マシーンとして育てられた自分*1とはいえ、それくらいの情緒はある。
さてどうしようか、と考える。
そもそもこういう思い入れのあるものを「ゴミの日」に出すというのがどうにも抵抗がある。
皆はどうしているのか。ビルの屋上で細かく千切って風に飛ばすか、神社の「お祓い箱」に古いお守りや人形と共に入れておくか、あるいはキャンプの時に焼くのか。
色々考えたけれど、最終的に埋めることにした。
アパートの近所に、現在埋め立て中のため池がある。
先週まで水を抜いていて、わずかとなった水面に鷺が群がっていた*2。昨日から土を入れ始めて、明日か明後日には更地になるだろう。
その最後に残った池の中央、明日に埋めるであろう場所に、手紙を放り込んできた。
詳細は書かない。工事の邪魔にならず、かつ誰の目にも触れない方法を選んだ。
袋も含めほぼ紙で、土中でも数十年で水と二酸化炭素に分解されるだろう。不法投棄になるし、環境に気を遣った行為とはいえない。
しかしこの程度の逸脱は目をつぶって欲しい。どちらかといえばエコロジーには配慮して生きてきたのだ。紙を数十グラム埋めた分、明日からさらにエコロジカルに生きます。
正直なところ、自分にこの種の情緒があったことに不思議な驚きがある。「よく考えた突発的行動」をしてしまった。
たぶん人生であと何度も無い行動だろう。
不思議な夜だ。まるで、昔のビーイング系女性アーティストの曲みたいだ。小松未歩やZARDを思い出す。
三重県で過ごしたあの時間、関わった人達は、紛れもなく忘れがたい思い出となっている。そして、生涯で1回だけやり直せるのならば、と考えたら迷わず選ぶのも、三重県での独り暮らし期間だ。
そういう、良くも悪くも濃密な時間の欠片を、こうして香川県の特徴的な「ため池」に埋めることができたことは、なかなか良くできているとは思う。
瀬戸内海に流すよりは人の目にも触れないだろうし。
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ふう、なんだか疲れた。
ストレスというわけでもなく、躁でも鬱でもなく、ただ心が「すうっ」と内向的になってしまう。これからきちんと眠れるだろうか。